( ´_ゝ`)兄者は押入れから出てこないようです
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:50:54.12 ID:S7K1hYPT0
- (´<_` )「ただいまー」
いつもの通り玄関の扉を開けた、弟者には一つ心配なことがあった。
学校の授業を昼休みで放り出して帰ってしまった双子の兄のことである。
そんな弟者の心配を煽るように、小さな妹が弟者に駆け寄った。
l从;∀;ノ!リ人「たいへんなのじゃ、ちっちゃいあにじゃー! おっきいあにじゃが〜〜」
(´<_`;)「どうした 妹者?
兄者に何かされたか?」
l从;∀;ノ!リ人「おっきいあにじゃがひきこもっちゃったのじゃ!」
(´<_` )「何だいつものことじゃないか、びっくりさせないでくれよ」
l从;∀;ノ!リ人「ちっちゃいあにじゃのわからずや〜〜〜!」
大きな瞳に負けないほど、大粒の涙を零しながら階段を上っていく。
弟者は半分呆れ顔でその後姿を見送った。
(´<_` )(まあちょっとは心配したけど、ひきこもったくらいなら大丈夫か)
安堵の溜息をついて自室の扉を開ける。
しかしいくら見渡しても、いるはずの人物は見当たらなかった。
(´<_`;)「…どこいった?」
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:52:53.76 ID:S7K1hYPT0
( ´_ゝ`)兄者は押入れから出てこないようです
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:53:31.15 ID:S7K1hYPT0
- l从・∀・ノ!リ人「もぐもぐ…もぐっちゃいもにじゃー」
(´<_`;)「妹者。食べ終わってから喋ってくれないか?」
l从・∀・ノ!リ人「おっきいあにじゃはまだでてこないのか?」
(´<_` )「うーん…気配0だなあ。一応飯はおいてきたけど」
【 】『ほっといてくれ!!』
(´<_` )「って言われたからな」
l从;∀;ノ!リ人「うっ…ううっ……」
(´<_`;)「ってどうした妹者」
l从;∀;ノ!リ人「やなのじゃ…おっきいあにじゃ押入れなんかにこもっちゃいやなのじゃー!!」
(´<_` )「妹者……」
l从;∀;ノ!リ人「押入れにいたらおっきいあにじゃは耳がなくなってしまうのじゃ!
泣きすぎで喉がかれてしまうのじゃ!塗装がはげてしまうのじゃ!」
(´<_`;)「!?」
l从・∀・*ノ!リ人「はっ!でも、10次元ポケットがでてくるかもしれないのじゃ!
どこにもドアで海につれてってもらうのじゃ!」
(´<_`;)「何かと思えばノマえもんか」
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:54:24.31 ID:S7K1hYPT0
- (´<_` )「おーい兄者。いい加減出てこいって」
【 】「………」
(´<_` )「無視ですかそうですか。何だかんだ言いつつ結局飯食べてるし」
(´<_` )「しかもニンジンだけ残すなよ。全部食えよ」
【 】「自分だってピーマン残すくせに」
(´<_`#)「そういう微妙なとこだけ反応しないでくんない?」
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:55:57.00 ID:S7K1hYPT0
- 携帯電話のアラームが鳴る。
弟者は布団の中から腕を伸ばしてアラームを止め、一度大きく欠伸をしてから体を起こした。
いつものように布団をたたむ。
兄者の使っていたベッドを使おうかとも思ったが、何となくやめた。
(´<_` )「よっ…と 布団を毎朝あげるのも面倒なんだけどな」
そしていつものように押入れを開ける。
いつもと違っていたのは、そこに人がいた、ということだ。
弟者はすっかり失念していた。
しかし布団をこのまま部屋に出しっぱなし、というのもはばられる。
( ´_ゝ`)「zzz…」
(´<_` )「………」
ドサ
ぐえっ
ピシャッ
(´<_` )「さーて朝飯朝飯」
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
18:58:04.69 ID:S7K1hYPT0
- l从・∀・*ノ!リ人「おっきいあにじゃ〜〜!遊んでほしいのじゃ〜!」
【 】「なんだ妹者、俺は今忙しいのだ」
l从・∀・;ノ!リ人「引き出しはとんでもないものを盗んでいきました。それはあにじゃの心です」
【 】「いや引き出しじゃないし」
l从;∀;ノ!リ人「うっ…ひっく…」
【 】「や、すまん!ひきだしです!何してあそぼうか!」
l从・∀・*ノ!リ人「かくれんぼをするのじゃ!妹者が鬼するからあにじゃは隠れるのじゃ!」
l从・∀-ノ!リ人「10数えるうちに隠れるのじゃ!」
l从-∀-ノ!リ人「いーち、にーい、さーん ……… きゅーう、じゅう!」
l从・∀・ノ!リ人「よーし!あにじゃはどこいったか!」
嬉々として開いた押入れの中には、どうしようかとうろたえる兄者。
妹者は満面の笑みで指をさした。
l从・∀・*ノ!リ人「みつけたのじゃー!おっきいあにじゃは隠れるのがへたなのじゃ!」
( ´_ゝ`)「……押入れの前で数えるとは何という策士…将来は大物だな妹者」
l从・∀・ノ!リ人「負けたほうはバツゲーム!」
(;´_ゝ`)「ええ!聞いてないよ!?」
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:00:48.29 ID:S7K1hYPT0
- l从・∀・*ノ!リ人「おっきいあにじゃ〜〜!遊んでほしいのじゃ〜!」
【 】「なんだ妹者、俺は忙しいのだ」
l从・∀・;ノ!リ人「引き出しの壁いっぱいの『死にたい』…ちっちゃいあにじゃにばれたら…」
【 】「書いてない!書いてないから!」
l从;∀;ノ!リ人「おっきいあにじゃはそれでも生きたいというのか!人生むなしいだけなのに!」
【;
】「さあ何して遊ぼうか妹者!」
l从・∀・ノ!リ人「最近の流行なのじゃ!リアルかくれんぼなのじゃ!」
【 】「リアル…聞いたことあるような名前だよな…」
l从・∀・*ノ!リ人「妹者は鬼なのじゃ!見つけたら半殺しなのじゃ!」
【 】「それ本当に流行ってるの!?」
l从・∀-ノ!リ人「いーち、にーい、ごーお、じゅう!」
【 】「飛ばしたよな、今絶対飛ばしたよな!」
兄者の訴えをスルーして、妹者は押入れを開く。
見つけた。そう開いた口は、そのままの形で止まった。
l从・∀・;ノ!リ人「…あれ?いないのじゃ」
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:04:42.33 ID:S7K1hYPT0
- (´<_` )「ただいまー。兄者は今日も押入れですか、っと」
l从;∀;ノ!リ人「ちっちゃいあにじゃー大変なのじゃー」
(´<_` )「どうした、兄者になにかされたか?」
l从;∀;ノ!リ人「おっきいあにじゃが次元の狭間にすいこまれたのじゃー!
いなくなってしまったのじゃー」
(´<_` )「そりゃ大変だなーどこにいったんだろうなー」
l从;∀;ノ!リ人「ちっちゃいあにじゃのわからずやー!」
(´<_`;)「あ おいおい」
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:06:52.27 ID:S7K1hYPT0
- (´<_` )「おーい兄者ー」
弟者は押入れを開いた。
いつもならそこにいるべき者がおらず、ぽっかりと暗い空間が空いているだけ。
中をぐるりと見渡す。
(´<_` )「…本当にいない。どこいったんだろ」
兄者はどこにもいなかった。
布団の中に埋もれていることもなかったし
勿論机の一番上の引き出しにもいなかった。
もしやと思い、兄者の楽しみに取っておいていたプリンの蓋を開けてもみたが
そこには黄色くプルプルしたプリンがいるだけで、
やはり兄者はいなかった。
仕方なく弟者はプリンを食べた。
どこに行ってしまったのだろうか。
外にでることを、ましてや押入れから出ることすら殆どなかった兄者が
外出をしたとは考え難い。しかし、現に彼はいないのだ。
(´<_` )「さよなら兄者。あんたのことは、忘れるまで忘れないよ…」
ガタガタと揺れるタンスを、開かないように色んな方法で固定する。
中から聞こえる声は、恐らく弟者の疲れからくる幻聴だろう。
【 】「―――けて…!たすけてー!あけてくれー!」
(´<_` )「俺は何も聞いてない聞いてない。っと」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:10:30.41 ID:S7K1hYPT0
- 【 】「おーい弟者」
(´<_` )「なんだ押入れ」
押入れからの声に、弟者は雑誌を捲りながら答える。
どうせ大した用事じゃない。とわかっての対応だ。
【 】「とうとう名前も呼んでくれなくなったか…。べ、べつにないてなんか」
(´<_` )「いいから用件を言え押入れ」
【 】「電池買ってきてくれんか?」
(´<_` )「電池?何につかうんだ?押入れのくせに」
【 】「懐中電灯の電池が無くなってしまったのだ」
(´<_`;)「…今までずっと懐中電灯だったのか、流石だな押入れ」
【 】「これがないとマンガも読めません!だから早く買ってきてくれ」
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:11:24.81 ID:S7K1hYPT0
- マンガくらいパソコンの光で見ろよ。と思うも、暗くてきっと見えないのだろうと改める。
それでも懐中電灯は如何なものか。
つらつらと考えつつ、弟者は机の引き出しを漁った。
【単三電池】⊂(´<_` )「ほらよ」
【 】「おお、流石は弟者準備が…って単三ではないか!単一持って来いよ!」
(´<_` )「自分で買いに行けよ。そこまで面倒みてられるか」
【 】「べ、べつにないてなんか」
(´<_` )「早く行け」
わざとらしい啜り泣きは、弟者の冷たい声に消された。
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:13:54.72 ID:S7K1hYPT0
- 兄者はしぶしぶと押入れから降りる。
いつもであれば諦めるのが兄者なのだが、あかりがないと何もできないらしい。
普通に部屋でやればいいのでは。
弟者は兄者に言ったのだが、即答で却下された。
何を押入れにこだわっているのか、弟者には全く理解できない。
(´<_` )「…一つ質問していいか?」
出発の準備をしていた兄者を弟者はぼーっと眺めていた。
あえて何も言わないでいたが、元来のつっこみ精神に負けたのだ。
部屋の中にいる、一匹の奇怪なモンスターが振り向く。
甲羅の変わりにコタツを背負った、でかい亀が。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:14:24.91 ID:S7K1hYPT0
- 【 】ゝ`)「なんだ」
(´<_` )「その…コタツは電池を買いにいくのに必要なのか?
正直劣化棺桶死オサムなんだが」
【# 】ゝ`)「当たり前ではないか!きさま外を舐めているな!
危険がいっぱい夢いっぱい!一歩を進むにも戦いが秘められている!」
(´<_` )「夢いっぱいなんだったら別にいいじゃん」
【# 】ゝ`)「今日からは棺桶氏兄者でいこうと思う」
(´<_` )「………」
【 】ゝ`#)つ「ええいうるさいうるさい! とにかく行ってくるから!」
(´<_` )「うん、いってらっしゃい」
踏み出した一歩は、それ以上進まなかった。
頭上から鈍い音がして、兄者は立ちすくむ。
前には行けず、後ろには戻りたくない。
兄者のコタツは、完全に扉に引っかかっていた。
【 】_ゝ`)「………」
(´<_` )「とりあえず炬燵はずしていきなよ」
【 】ゝ`)「…うん」
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:16:10.03 ID:S7K1hYPT0
- (´・ω・`)「やあ(´・ω・`) ようこそバーボンハウスへ
この単一電池はサービスだから、まず落ち着いて飲んで欲しい」
( ´_ゝ`)「ありがとうさようなら」
(´・ω・`)「あれ?もういっちゃうの?」
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:16:55.53 ID:S7K1hYPT0
- (*´_ゝ`)「よーし。これで素晴らしき引きこもり生活が再開するぞー!」
ノハ*゚听)「おねえさま!布団が歩いてる!布団が歩いてるよ!捕まえていい!?」
川 ゚
-゚)「駄目だヒート、あれは"布団"ではない。"布団"だ!」
ノパ听)「ぬの…だん……?」
川 ゚
-゚)「人々の朝を脅かす、布団…やつに関わってはいけない」
ノハ*゚听)「そうなのかああ!おねえさまは博識だな!」
川 ゚
-゚)「そうだろう、そうだろう」
ノハ*゚听)「捕まえていいかな?家で飼いたいな!
名前も考えたんだ!ふーとんっていうんだよ!空も飛べるんだよ!」
川;゚
-゚)「またんかヒート!……あいつめ人の話全く聞いてないな」
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:19:22.41 ID:S7K1hYPT0
- ノパ听) が あらわれた
ノパ听)「ぬのた〜〜〜〜〜ん!!覚悟だああああああ!!」
(;´_ゝ`)「は?おいおい、ちょっ…ひっぱんな!」
ノパ听)「捕まえたぞおおおおおおお!!」
(;´_ゝ`)「重い重い重い重い!!!」
ノハ*゚听)「さあ飛べえええええええええええええ!!」
( ;_ゝ;)「痛い痛い痛い痛い!!!」
川 ゚ -゚)「ぬのだんめ!!私が成敗してくれる!」
( ;_ゝ;)「ぎゃぁぁあああ!火はやめて!!燃える!燃える〜〜!!」
ノハ*゚听)「燃え尽きるぞヒーーート!!」
川 ゚ -゚)「燃えたよ…まっ白に…燃えつきた…まっ白な灰に…」
ノハ;゚听)「おねえさまあああ!ぬのたんが逃げたああああああ!」
川 ゚ -゚)「そしてあとにはまっ白な灰だけが残る
燃えかすなんか残りやしない。まっ白な灰だけだ」
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:21:56.01 ID:S7K1hYPT0
- (;´_ゝ`)「な、なんだったんだあいつらは…」
( ´_ゝ`)「まあここまでくれば安全だろう」
息切れをしながら、兄者はあるマンションの下を歩いていた。
足取りは重い。普段の運動不足と、布団の重みのせいだ。
そんな、だらだらと歩く彼の遥か頭上、マンションの屋上から、
男の緊迫した怒鳴り声が微かに聞こえる。
(,,゚Д゚)「バカなことは止めるんだ!早くこっちへ戻ってこい!」
(*゚ー゚)「あなたはバカなことだと笑うかもしれない。でも私にとっては重大なことなの」
フェンスを間に挟んで、二人は対照的な表情だった。
女は薄く笑みを浮かべ、男は焦りを含んだ顔を強張らせている。
(,,゚Д゚)「大丈夫、治る可能性だってあるんだ、ゆっくり話し合おう
だから飛び降りなんて…」
(*゚ー゚)「夢も希望もありません。私には未来がありません。ギコ君さようなら」
戸惑いなど微塵も感じさせず、女は軽やかに飛び降りた。
後には、男が女の名を呼ぶ声だけが虚しく響き渡る。
(,,TДT)「しぃ…何故だ、何故なんだ…!」
「きゃー!!! いやー!!」
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:24:15.65 ID:S7K1hYPT0
- (;*゚ー゚)「だだだだだいじょうぶですか!?すみません、下を見ていなかったもので!」
(; _ゝ
)「俺は天使をみた。空から降ってきた」
(;*゚ー゚)「可愛くてごめんなさい!」
(,,TДT)「しいいいいいいい〜〜〜!!!無事だったかああああ!」
( ゚_ゝ゚)「!」
(;*゚ー゚)「あ」
(,,TДT)「布団がクッションになってたのか!
きっと今ここに布団が通りがかったのも、神様がしぃに生きろと言ってくれたからなんだよ」
(*゚ー゚)「ギコくん…」
(,,゚Д゚)「だから…例え確立は低くても…もし先が短くても…一緒に生きていこう」
(*゚ー゚)「…うん。ありがとう…ごめんね」
(,,TДT)「しぃ…」
(*゚ー゚)「もうっ、なんでギコ君が泣くの?」
( _ゝ
)「…う…ぐええ……早く……おりて…ください………」
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:27:09.65 ID:S7K1hYPT0
- (;´_ゝ`)「はぁ…はぁ、えらい目にあった…。これだから下界は…」
火をつけられそうになっても
空から人が振ってきても
更に踏み潰されても、負けない人にならなくてもいい。
ただ僕は、平穏な日常を手に入れたいのだ。
と軽くポエムを脳内で描いたところで、兄者は布団越しに背中を殴られた。
衝撃で3mほど前にぶっとんで転んだ。
前に転んだので、布団はクッションにはならなかった。
先ほどの姉妹かと、緊張の面持ちで振り返ると
鼻先10cmの近さで、満面の笑みでは表しきれないほど笑顔の知人が居た。
(*゚∀゚)「オーッス!なんだおめー最近みねーと思ったらこんなとこで布団被って何してんだ?」
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:29:57.95 ID:S7K1hYPT0
- (;´_ゝ`)「何だつーか、びっくりさせんなよ」
兄者よりも背の高いつーを見上げる。
彼女はあと3cmで2m。
背はそこまで低くない兄者だが、つーと並ぶと子供にしか見えない。
(*゚∀゚)「何だとは何だ、心配してやってんじゃねーかよ!なあおい、なんで学校休んでんだ?」
問いに、兄者は答えようとはしなかった。
つーは不満を全面に表した声色でもう一度問う。
(*゚∀゚)「アン? ちゃんといわねーと聞こえねえよ」
(;´_ゝ`)「………」
(*゚∀゚)「おい何俯いてんだよ。あ、この布団邪魔だな、何で被ってんだ?馬鹿じゃねー…」
( ;_ゝ;)「じんいるなんて滅んでしまえ!!」
(*゚∀゚)「セリフ噛んでるぞ」
( ;_ゝ;)「じんるいなんて滅んでしまえ!!」
(;*゚∀゚)「ゲッ! 脱皮しやがった!」
かぶっていた布団を、トカゲの尻尾の如くその場に残し、兄者は全力で走り去る。
追いかけようとしたつーは、掴んでうた布団に戸惑い、結局追いつけなかった。
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:32:58.51 ID:S7K1hYPT0
- ミセ*゚ー゚)リ「パパー。布団さんが歩いてるー」
(;´・_ゝ・`)「み、ミセリ!指さしちゃ駄目だよ!」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでー?おとうさん、布団さんに挨拶しないとー」
(;´・_ゝ・`)「声が大きいよ。しーっ!」
(#゚∀゚)「………兄者のやろー、次あったらただじゃおかねえ」
ミセ*゚ー゚)リ「布団さんこんにちはー!」
(*゚∀゚)「おう!威勢の良いガキだな!挨拶が出来るなんて上出来だ!」
(;´・_ゝ・`)
(*゚∀゚)
(;´・_ゝ・`)
ミセ*゚ー゚)リ「布団さんにほめられたー」
(;´・_ゝ・`)「そ、それはよかったね。ほら、行くよ」
(*゚∀゚)「………」
(*゚∀゚)「ゼッテー殺ス」
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:35:29.68 ID:S7K1hYPT0
- ( ;_ゝ;)「こんにちはさようならまた会う日までただいま帰りました」
( う_ゝ;)「外なんか大っ嫌いだ、俺はもう二度と外になんかでない」
決心してから、不貞寝をしようとタンスを開ける。
開けて、来る前にはなかったものを発見して、兄者は一瞬固まった。
(´<_`;)「………」
( ´_ゝ`)「………」
(´<_`;)「あ、お帰り」
( ´_ゝ`)「………」
( ´_ゝ`)「…何してんの?」
(´<_`;)「べ、別に兄者のパソコンなんか使ってないから」
( ´_ゝ`)「………」
(´<_`;)「………」
( ;_ゝ;)「帰れよ!!そこから出ろよ!!!俺のFMVたんを"なんか"呼ばわりすんなよ!!
リア充なんかにPCは必要ないだろ!!!俺の安息の地を汚すなよ!!」
(´<_`;)「あー……いや、なんかすまんかった」
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:39:04.08 ID:S7K1hYPT0
- ピンポーン ピンポン ピンポン ピピピンポン ポンポコポン
(´<_` )「一度鳴らせば聞こえるというのに誰ですか、と」
(*゚∀゚)「そこにいるのはわかってるんだ!さっさと開けろ!」
(´<_` )「つーちゃんじゃないか、どうしたんだ?布団なんか被って」
(#゚∀゚)「お前の馬鹿兄者が追いてったんだよ!
持って来てやったオレに感謝しろ!兄者はどこだ!」
(´<_` )「帰ってきて速攻押入れに入っていったけど」
(#゚∀゚)「首洗って待ってやがれよおおおお!」
(´<_` )「何か飲んでく?」
(*゚∀゚)「カントリーママン」
(´<_`;)「…了解」
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:41:01.29 ID:S7K1hYPT0
- (*゚∀゚)「オハコンバンニチハー!ヒキオタニート君はどこにいるのかな?」
【 】「ほっとけ」
(*゚∀゚)「え、マジで押入れいんの?何で?」
【 】「煩い帰れ」
(*゚∀゚)「………」
【 】「………」
(#゚∀゚)「ワザワザ テメーノ 布団 持ッテキテ ヤッタノニ ソノ
イイグサハ ネーンジャネーノ!?」
【 】「おまえが剥いだんだろ!ああっ!鍵壊れる!止めて!」
(#゚∀゚)「ウルセー 壊シテヤル!」
(´<_` )「鍵壊すのは良いけど、家は壊さないでくれ。あと半角になってるぞ」
(*゚∀゚)「オヤ 弟者クン」
(´<_` )「それとあんまり兄者をせめないでやってくれないか
…こうなったのも俺のせいなんだ」
(;*゚∀゚)「何かあったのか?喧嘩でもしたのか?」
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:43:37.33 ID:S7K1hYPT0
- (´<_` )「兄者が引きこもり始めた日…っていっても1ヶ月くらい前なんだが」
その日兄者は隣のクラスの渡辺さんに告白をしようとしていた。
どうせまた振られるだろうと簡単に予想ができることだったので、
ふられる度に死ぬほど落ち込んでいる兄者を、弟者は励まそうと思っていた。
(*゚∀゚)「っていうか、何で知ってたんだ?」
(´<_` )「日記に書いてあった」
兄者は校舎裏に渡辺さんを呼び出した。
渡辺さんは相変わらずぼーっとした感じだったのだが、
兄者は雰囲気もへったくれもなく
(*´_ゝ`)「すきでえええええす!付き合ってください!」
从'ー'从「え〜。弟者君ならいいけど、兄者君はやだなー」
(;´_ゝ`) ドビーン
ショックを受けている兄者に弟者はクラッカーを鳴らした。
甲高い音が響いて、二人は驚いて弟者を見る。
(´<_` )「100人抜き達成おめでとう兄者!」
( ゚_ゝ゚)「……………」
从'ー'从「あ、弟者君〜」
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:45:46.55 ID:S7K1hYPT0
- (;*゚∀゚)「………」
(´<_` )「…それで何故か泣いて帰ったんだよな。何が悪かったんだろ」
首を傾げる弟者の質問には答えずに、つーは兄者のいる押入れに声をかけた。
可哀想だと言う声色で、嬉しそうな表情で。
(*゚∀゚)「振られたくらい別にいいじゃねーか」
【 】「よくない!おまえらに俺の気持ちなんかわかるか!」
(*゚∀゚)「本当にそいつのことが好きなのか?」
【 】「好きだね!!」
(*゚∀゚)「本当に好きなら、好きな人をそんなに簡単に変えれねーと思うけどな
100人とか、手当たり次第女なら誰でもいいとかおもってんじゃねーの?」
【 】「………」
(*゚∀゚)「そんなやつらに振られたって別にいいじゃねーか
兄者は……いいものいっぱい持ってるんだからさ」
【 】「つー…」
(*゚∀゚)「兄者…」
つーは、弟者の持ってきたカントリーマームを袋ごと、食べることなく手の中で揉みくだいた。
既にクッキーではなく、ただの粉と化している。
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:47:12.98 ID:S7K1hYPT0
- 【 】「なんだ、貸して欲しかったんなら
そんな遠まわしに言わずに直接言えばよかったのに」
(*/∀/)「あ?」
【 】「ほら」
そう言って押入れの隙間から差し出された数枚のケースをつーは受け取る。
何かと思ってみてみれば
(*゚∀゚)つ【 エロゲ 】
つーは言葉を失った。
嫌な汗を流しながら、その中身を開ける。
メロンにも負けじと膨らんだ胸を持った登場人物が、つーに向かって微笑んでいた。
(;*゚∀゚)「………」
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:47:31.47 ID:S7K1hYPT0
- 更にもう一枚。
全てのキャラクターが巨乳。
つーは即座に下を見た。
冬なのに薄着なつーには、胸よりも先に足が見える。
割れているものといえば、二つの乳の間よりも、六つの鍛えられた腹筋。
洗濯だってできそうだ。
(*゚∀゚)「………」
代わって、エロゲの女の子たちは、つーにある筋肉はない。
更に彼女たちにある柔らかい胸がつーにはない。
(#;∀;)「ばかやろおおおおおおおおおおおおお!!!」
2階の窓から、泣きながら飛び出して行ったつーを
弟者は手を振って見送った。
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/16(水)
19:48:29.54 ID:S7K1hYPT0
- めでたしめでたし!
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→安価
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