( ´_ゝ`)鍋パーティーのようです(´<_` )
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 20:18:29.74
ID:jFtJDnWe0
〜( ´_ゝ`)鍋パーティーのようです(´<_` )〜
(´<_` )ノ
それはとある朝、布団の中だというのにも関わらず寒さのせいで目を覚ますと、
窓の外にはちらほらと大粒の雪が舞っていた。
(´<_`;)「…………」
今年は灯油代が大きく値上がりしたせいか、母者が節約のため暖房の温度を大幅に下げると言い出した
んな無茶な、寒いよ寒い、とか言おうもんなら問答無用でフルボッコ。
要するに俺らには今布団でしか寒さを逃れる術が無いということで…
(´<_` )「…兄者、朝だぞ。起きろ」
隣のベッドで俺よりもニ重に布団を被り丸くなっている兄を足で蹴飛ばした。
すると奴は引きつったような悲鳴を上げ、更に丸くなりやがる
だがまあ、そんなものいつものことなので無視して布団を剥ぎ取った
-
- 3 : ◆RlTQEud5f. :2007/12/16(日)
20:19:47.93 ID:jFtJDnWe0
- ( ;_ゝ;)「あばばばばばばばおおおおとじゃのおにぃいいいい! さあささささ寒い寒い寒い寒い!」
(´<_` )「何を言うか、俺の方が寒いわ」
何せ俺の布団の方が一枚少ないんだからな。
まぁそのぶんちゃっかり湯たんぽ入れてるけどね。
しかし朝から夜まで一日中布団に篭られたんじゃ鬱陶しくてたまらない。
剥ぎ取った布団を押入れに仕舞いこみ窓を開けた。
( ;_ゝ;)「ぎゃあああああ!き、貴様正気か!? 早く閉めろ! 奴が来るだろ!」
(´<_` )「誰よ奴って」
( ;_ゝ;)「雪の野郎に決まってんだろ!ってうおおおお寒ぃいいい!!」
ちらちらと部屋の中に入り込んできた雪は運の悪いことに兄者のベッドの方へと流れていく。
寒さにも暑さにも弱い引きこもりは電気のついていないコタツの中へと潜り込んだが…
バカめ、そんなあったまってないコタツ入ったってなんの意味もないだろうが
予想通り震えながら這い出てくると俺の布団に入っている湯たんぽを奪って抱きかかえた。
- 6 : ◆RlTQEud5f. :2007/12/16(日)
20:21:29.08 ID:jFtJDnWe0
- その姿があまりにも哀れだったので漸く窓を閉めてやるとそのままその場へ横になる。
…いや、だから
(´<_` )「起きろっつってんだろうが」
(; _ゝ )「あべしっ! お前、お兄様を足蹴にするとは…」
うるせえよ、湯たんぽ返せ。
(;´_ゝ`)「だって寒いんだもんよー…お前この部屋の温度知ってるか?
この季節に15度なんだぜ?寒すぎだろ…jk」
奪い返した湯たんぽを見ながらしみじみと呟いた。
…まあ、それは知っているさ。
この寒さは尋常じゃないな。
しかしそれならば寒さを打ち破る策を考えればいいだけのことであって、布団に逃げ込むだけではダメ度を増徴させるだけだ
(´<_` )「じゃあなんかあったまることするか食べるかすればいいんじゃないのか。
とりあえず布団に篭っているよりは健康的だぞ」
( ´_ゝ`)「いや、引きこもりに健康とか求められても…」
(´<_`#)「OK兄者、今から外行って走って来い」
首根っこ掴んで扉まで歩いていくと下でギブギブ!と慌てたような兄者が映った
- 8 : ◆RlTQEud5f. :2007/12/16(日)
20:22:57.88 ID:jFtJDnWe0
(;´_ゝ`)「わかった弟者!何かあったかいもの食べよう! だから外にだけは連れ出さないで!!」
必死そうな表情でパソコンの前まで走り出し、ネットを開くと同時に2ちゃんねるへと飛んだ。
今夜のおかずからハッキングまで…とは言うが、お前が作るのかよ。
( ´_ゝ`)「弟よ、何がいい?」
(´<_` )「食えるものだな」
(#´_ゝ`)「失礼な!!俺が作る料理にまずいものなど有り得ない!!」
机を叩いて真剣にディスプレイへと向き合い始めた。
うわ…しまった、こいつはつまらんことにムキになっていくタイプだった。
後悔しても時すでに遅く、キーボードを叩きながら何やら口の中でもごもご呟いている。
完全にマジモードだ
俺はため息をつきながら視線を外し今日の予定を立てることとした。
せっかくの休日だし家でのんびり寝ていようという気持ちもあるがそれだとこいつと同じになってしまう。
かといってこの寒い中外に出るのもなあ……
- 9 : ◆RlTQEud5f. :2007/12/16(日)
20:24:33.12 ID:jFtJDnWe0
いや、いっそ友達でも誘ってどっか温泉とかあったまるところにでも行こうかな
のんびり考えあぐねていると、パソコンに向かっていた兄者が目を輝かせてこちらを振り返った
(*´_ゝ`)「弟者よ!」
(´<_` )「え、何?」
(*´_ゝ`)「決めた、決めたぞ! おでんにしよう!」
両手を挙げて嬉しそうにパソコンの画面を俺の方へ見せてきた。
映っていたのは『美味しいおでんの作り方』
鍋の中でぐつぐつと煮えているおでんの画像がなんとも食欲をそそる
(´<_` )「…本当に作る気か」
( ´_ゝ`)「無論だ、俺の辞書に口だけという言葉はない」
(´<_` )「今すごい大嘘を聞いた」
(#´_ゝ`)「とにかく! まずは食材だ! 今からメモに必要なもん書くから、すぐ買って来い!」
なんでだよ、嫌だよ。
言う前に部屋を追い出された。
…なんという理不尽、しかしまあまだ今日の予定も立ててはいなかったわけだし
散歩がてら行ってきても良いか。
- 11 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:27:26.66 ID:jFtJDnWe0
頭の中で味の染み込んだ大根とか、つるつると喉を落ちていくコンニャクとか
じっくり煮込まれた卵とか、寒い中それを食べるのも悪く無い
なんとなく頭の中で熱々のおでんをほお張る自分を想像して、口元に笑みを浮かべた。
玄関に立ち、お気に入りのコートを羽織るとサイフを持って商店街へと足を向けた。
しかし、家を出て気がついたんだが……もしかして食材の金って俺が払うのか?
聞きに戻ろうかとも思ったがどうせ俺が払うことになるのは分かりきっているし、
だとしたら、家に戻るよりも店に向かった方が賢明だよな。
うん
- 13 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:29:36.83 ID:jFtJDnWe0
- ( ´_ゝ`)ノ
弟者を部屋から追い出し、調理場に立ったはいいものの、食材がないことには始められない。
とりあえずおでんの元と…大根とこんにゃくはあるからそれだけでも切っておくか。
今日は家族がいないから思う存分腕前を揮えるぞ!
( ´_ゝ`)「よっし!がんばろう!」
母者のエプロンをつけて包丁を握る。こう見えて料理は嫌いじゃないんだ。
まあ嫌いじゃないだけで全然出来ないってだけだが、要は切って煮ればいいんだろう。楽勝楽勝!
(;´_ゝ`)「えーっと、まず大根の皮を剥い……ぎゃああああ!指切った!」
始めて2分で指から血が流れてきた。…こんな早く切るのは予想外だったが…、まあこういうアクシデントも料理には付き物だ
絆創膏を巻きつけて再び挑戦するが、なんと再び指が傷ついただけだった。
しかし、俺はくじけない!
なぜなら俺はやるときはやる男だからだ
( ´_ゝ`)「3cmくらいの輪切りにして…っと、米のとぎ汁?あったっけそんなの」
ブツブツと口の中でレシピを見ながら作るが、どうにもうまくいかない。
そのうちこれで本当にあってるのかという疑問さえ沸いてくる。
- 14 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:32:03.72 ID:jFtJDnWe0
( ´_ゝ`)「ええいもういい!やめだ!」
大根に十字の切れ目を入れたところで再び指を切って絶望した。
なんだよ畜生…始めて10分で絆創膏3枚消費ってどんだけだよ
出来上がる頃には俺死んでるんじゃないのか
がっくりとうな垂れてFMVに目を向けた。
明るい画面の中ではいとも簡単そうにやってのけているのに…うまくいかんもんだな
いや、むしろ料理得意な奴とか呼べばいいんじゃね?
( ´_ゝ`)「………!」
そこまで考えて俺は頭に電球を浮かべた。なんで今まで気づかなかったんだ!
そうだよ、そうだ、知り合い呼んで手伝ってもらえばいいんじゃないか!
そうと決まれば早速電話だろコレ!
二階に置きっ放しの携帯電話を速攻で取りに行きアドレス一覧を見た。
友達言える奴はあんまりいないが、まぁ俺よりは出来るだろう。
そんな期待を込めて、ボタンを押す
( ´_ゝ`)「>誰を呼ぼうか」
1( ・∀・)
2( ´∀`)
3( ФωФ) ←
4( ,,゚Д゚)
- 16 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:33:24.01 ID:jFtJDnWe0
- それにしても自分で見てて悲しくなるほど男ばっかりだな、俺のアドレス帳。
死にたい。
女の子の知り合いなんてあんまいないし、いたとしてもメルアドとか何故か絶対教えてくれないから
…畜生、いいじゃねえか、そんくらい教えてくれたって。
毎日メールするくらいだっての…っと、今はそんなことどうでもいいか
( ´_ゝ`)「杉浦にしよう」
呟いて携帯を開いた。
あいつならなんか年寄りじみてるし。色々知識を持っていそうだ。
俺は杉浦ロマネスクの文字を辿り、ボタンを押した
お馴染みのコール音が続くと、程なくして杉浦が電話に現れる
( ФωФ)『もしもし、こちら悪のヒーロー、ロマネスクだが』
そしていきなり矛盾だらけのセリフを言い放った。
悪なのか正義なのかどっちかにしろよ
( ´_ゝ`)「あ、もしもし?俺俺、俺だけど」
(;ФωФ)『え、お金は持ってませんよ!』
詐欺と勘違いされた。
- 17 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:34:51.12 ID:jFtJDnWe0
(;´_ゝ`)「いや、俺兄者だけど…」
それ以前に携帯に誰からかかってきたかとか出ないのか。それとも俺をアドレス帳に登録してくれてないのか、どっちだ。
場合によっては人間不信に陥るぞ
だが相手が俺だと分かると杉浦は急に態度をでかくして怒鳴るように叫んだ。
(#ФωФ)『なんだ貴様、驚かすな!!』
受話器から漏れる音声に耳を半分塞ぎながら話を続ける。
こいつはいつも大抵こうだから、気にするだけ無駄だ
(;´_ゝ`)「いや、驚かすつもりは毛頭無かったんだが…ところで杉浦、今暇か?」
( ФωФ)『暇じゃない。これからマリアンヌと食事だ』
( ´_ゝ`)「サボテン見ながら一人で飯食うってんなら、今から俺の家来ないか?
今夜はおでんだぞ」
- 20 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:37:48.93 ID:jFtJDnWe0
おでん、と言った瞬間受話器の向こう側で空気を震わせるような小さな声が聞こえた気がした。
( ФωФ)『………っ!』
( ´_ゝ`)「熱々のおでんを食べながら、お酒とか飲んだりして、うわ、コレ絶対あったまるだろうなあ〜〜
美味いだろうなぁ〜」
( ФωФ)『あ、兄者…』
( ´_ゝ`)「熱々のもち巾着とか、美味いんだよなー」
笑みを浮かべながら話しかけていく。杉浦は一人暮らしなせいか、鍋なんてやることはないのだろう
ごくり、と生唾を飲み込む音が受話器越しから聞こえてきた。
( ФωФ)『…………ど、どうしても来て欲しいというのならば行ってやらんこともないが…』
( ´_ゝ`)「いや、来たくないならいいんだ。 これから食事なのに悪かったな、じゃあ」
(;ФωФ)『今から行く! マリアンヌも連れて行くからそこで待ってろ!!』
俺の家だから動きようもないんだが。
ぶちっと、大きな音を立て電話を切った。最後まで騒がしい奴だ
まぁ、酒好きだからな、こういえば来るとは思っていたが
( ´_ゝ`)「問題は杉浦がおでんを作れるかどうかってことだよな…」
それは来てから考えればいいか。鼻歌を歌いながら、2ちゃんねるのページを開いた。
- 25 : ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:42:11.15 ID:jFtJDnWe0
- (´<_` )ノ
(´<_` )「う〜〜〜む…」
商店街にて。
現在兄者に買ってくるよう頼まれたリストを開いてどれから買っていくか悩み中
白滝にちくわぶ、昆布にハンペン…何故か此処だけ赤線引いてあるな。
あとはちくわ、がんもどき、じゃがいも?こんなものも入れるのか
それと練り物が数種類、と。
正直どこから手を付けていけばいいかわからん。
ひとまずはこの重要視されてるはんぺんから買いに行くか?しかしそこまで重要視するもんのだろうか…これは
立ち並んだ店先で立ち往生していると、耳に聞きなれた声が飛び込んできた。
(*゚ー゚) 「あれ、弟者さん?」
(´<_` )「ん?」
振り向いた先に立っていたのは、買い物籠片手にロングコートを着たしぃさんだった。
(*゚ー゚) 「あ…き、奇遇ですね!こんなところで会うなんて!」
(´<_` )「いや、兄者にちょっと買い物頼まれちゃってさ」
(*゚ー゚) 「あはっ、私もです!」
また奇遇ですね、とにっこり笑って買い物籠を上に持ち上げた。
彼女は俺の友人の妹であり、俺の周りでは数少ない常識人だ。
そしてその友人は大層な変人であり、変人の兄を持つという共通点のせいか、俺としぃさんは割と仲が良い
- 28 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:43:22.11 ID:jFtJDnWe0
- なんとなく一緒に歩き始めると、しぃさんが見上げるようにして俺に問いかけてきた
(*゚ー゚) 「ところで、一体何を頼まれたんですか?」
(´<_` )「おでんの具」
(*゚ー゚) 「おでん?」
(´<_` )「そう、いきなりやるとか言いだしてさ」
(;*゚ー゚) 「…きっ、奇遇ですね!!」
(´<_` )「え?」
立ち止まったしぃさんは慌てて買い物籠を漁り、下から黄色いメモ用紙を取り出し俺に見せた。
そこには俺がこれから買おうとしていた食材の他に色々なおでんの具が書いてある。
(*゚ー゚)
「あの、私も今日は兄に頼まれておでんの具を買いに来てたんですよ」
(´<_` )「なんと」
それは本当に奇遇だ。
(*゚ー゚) 「今日は寒いから鍋がいーね!とか言っちゃって」
(´<_` )「すげぇリアルに想像できるよ」
(*゚ー゚) 「で、買いに来たはいいんですけど…ちょっと買いすぎちゃったんですよー」
- 32 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:46:23.01 ID:jFtJDnWe0
- ホラ、と開かれたカゴの中にはなるほど、様々な食材が顔を出している。
女の子の細腕じゃそれを家まで持って変えるのは大変だろうに、あの兄貴も妹の荷物もちくらいしてやれよ…
基本が兄者と同じ引きこもりだからか、外に出たがらないのかな。
(´<_` )「じゃあ、よければ、俺の家来る?」
(*゚ー゚) 「え?」
(´<_` )「いや、どうせおでんやるなら一緒に…って、あーでもあれか」
女の子一人がムサイ男の家に来るのも抵抗あるか、ましてや相手は年下。
一人で来るのは怖いだろう
となるとしぃさんと同年代な女友達でも誘うか…?
1(*゚∀゚)
2川 ゚ -゚)
3ξ゚听)ξ ←
- 35 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:48:37.57 ID:jFtJDnWe0
瞬間、頭の中で勝気な少女が浮かんできた。
咄嗟に勝手なことを言い、彼女を引き止める
(´<_`;)「あー、ええっと、ツンとか呼んで、みんなでパーティしない?鍋パーティ的な」
(*゚ー゚) 「え、でも…」
(´<_` )「それにほら、重いだろうし」
持っていた買い物籠を指差すと困ったような、図星を指されたような顔をしてしぃさんは曖昧に微笑んだ。
とりあえずその荷物は持つよ、と受け取り、まだ買ってない食材を買いに行くことにした。
(*゚ー゚) 「あの、ありがとうございます…」
(´<_` )「なんのこれしき」
鍛えてますから、と冗談交じりに笑った。
さて、買い物に行くのはいいとして、その前にツンに電話しなくちゃなー。
うまいことこっちに来てくれればいいんだが…
- 37 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:51:25.76 ID:jFtJDnWe0
- ( ´_ゝ`)ノ
サボテン片手にほいほいやってきた杉浦は、我が家の台所を見るなり一言こう言い放った。
( ФωФ)「騙したな」
失礼な
( ´_ゝ`)「いいや、今夜がおでんなのは本当だ」
( ФωФ)「嘘付け、台所が殺人現場みたいになっておるではないか。 帰るぞマリアンヌ
今日は二人でチャーハンを食べよう」
真っ黒のコートの中にトゲ満載のサボテンを抱え込み(それ危なくね?)扉の方に歩き出したので
慌てて近くにあったマフラーで首を絞めた
杉浦はしばらくもがいていたがやがて顔を真っ赤にして近くにおいてあったハンガーを投げつけてきた。
(;´_ゝ`)「うおっ危ねっ!!」
間一髪でそれを避けると、自由になった杉浦が俺の目の前にずいとサボテンを突き出す。
…危な!!
(#ФωФ)「危ないのは貴様の方だ!! 殺す気か!」
(#´_ゝ`)「なんだと! お前が話聞かないからだろ!」
(#ФωФ)「最初に言っておく!! 我輩におでんを作れというのならばお断りだぞ!」
- 38 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:54:13.29 ID:jFtJDnWe0
- なぜならば我輩は作るよりも食べる方が好きだからだ!
と妙に誇らしげに胸を張り、再び扉の方へと歩き出した。畜生め、逃がすか料理人!
どたばたと音を立てて廊下を走り出した杉浦を、俺は大根片手に追いかけていく。
気分は立派なサザエさんだ。なんとなく
玄関までたどり着くと振り返ってバカにした表情で杉浦が言った
( ФωФ)「バーカバーカ!もう二度と来るかこんな家!
帰るぞマリアンξ゚听)ξ*゚ー゚)「お邪魔しまーす」(´<_` )「ただいま」
捨て台詞を穿きながらドアノブに手をかけた瞬間、扉が開いた
鈍い音を立てて頭をぶつけ杉浦は涙目その場に座り込んだ。ふはは、天罰というやつだな
どうやら弟者が帰ってきたらしい…が、なぜ女の子までいる?
モテ男気取りはこれだから嫌になる。
( ´_ゝ`)「すれ違う女の子でさえ自分に惚れてるとか思ってんだろどうせ。 そんなフラグは一生消滅しろ」
(´<_` )「何言ってんだ兄者。 いや…それよりもそこで蹲っているのは一体…」
玄関先で頭を抑えてもんどりをうっている杉浦に大丈夫ですかと声をかける美少女二人。
ああ、いいなあ。
俺も杉浦になりたいなあ
- 39 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:56:25.00 ID:jFtJDnWe0
巻き髪の女の子が杉浦に手を差し伸べ、ロングコートを着た女の子が背中をさすっている。
何だあの微ハーレムは。
あいつ呼ぶんじゃなかった
そう思っていたら巻き髪の方の女の子が俺の方を睨みつけてきた
ξ゚听)ξ「あの!こんなおじさんをいじめて楽しいですか!」
(;ФωФ)「おじ…っ!?」
( ´_ゝ`)「いや、俺は美少女美幼女をいじめて楽しむのならいいけど
おっさんをいじめて楽しむ趣味はないです」
ついでに言うと、杉浦は俺と同じ年でまだおっさんと呼ばれるような年齢じゃない。
更に言えば今のは君らがやったことだよ。
散々そういってやりたかったが、その前に杉浦が巻き髪の女の子に向き直り言ってしまった。
( ФωФ)「>>92!!」
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/12(水)
23:27:44.44 ID:NC2Dr+jDO
( ФωФ)「結婚してくれ!」
- 41 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 20:58:11.23 ID:jFtJDnWe0
- (´<_` )ノ
なんだか家に見知らぬ男がいる、と思っていたら妙な展開になっているなあ。
そして、気がつけば更に妙な展開になっている。
( ФωФ)「結婚してくれ!」
ξ゚听)ξ「無理」
突然のプロポーズ!
しかしツンはそれをばっさりと切捨て、お邪魔します、とやけに行儀良く家に上がった。
後ろではしぃさんがどうしたらいいのか分からないらしくおろおろと不安げな視線を
こちらに寄せてくる。
うん、悪い。
俺もこの状況よく分からない
( ´_ゝ`)「まぁ元気出せよ杉浦」
励ますように兄者が男の肩を叩いた。
どうやら杉浦というらしい男は懐からサボテンを取り出し泣きじゃくっている。
…なんだこいつ。
(
。ФωФ)「うっ、うっ…マリアンヌゥウウウ…やはり我輩にはお前だけだ…ちょっと可愛いからって女はすぐ調子に乗る…」
ξ゚听)ξ「ごめんなさい。あたし彼氏いるんです」
- 44 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:00:05.71 ID:jFtJDnWe0
ああ、またそんな追い討ちをかけるような事を…。
しかしツンは思ったことをはっきり言うタイプ、悪く言えば遠慮しない奴なので
畳み掛けるように言葉の日本刀で男を傷つけていく
ξ゚听)ξ「あと、私年の離れすぎてる人とはちょっと結婚できないっていうか、付き合いたくないっていうか…
おじさんいかにも神経質そうだし私付き合うならもっとおだやかな人がいいんですよ
優しくていつもにこにこしているようなそんな人が理想なんです、だから」
(´<_`;)「ツン、ツン、もうその辺に…!」
杉浦、と呼ばれた男はトドメとも思えるその言葉で更に涙を流し、泣きながら走りだした
(;´_ゝ`)「あ、おい!」
兄者の制止する声も聞かず、部屋を飛び出し、後にはなんだか気まずい雰囲気だけが俺たちに残った。
.。゚*( うωФ)「うおおおおおおおおん!!」
え…どうすりゃいいんだ、これ。
- 48 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:04:21.54 ID:jFtJDnWe0
取り残された俺たちを最初に救ったのは家に響いたチャイムだった。
俺や兄者が出る前に扉が開き、見知った顔が二つ現れる。
(*゚∀゚)ノ「やっほー!弟者!」
(ノ・∀・)ノ「妹よ!やはりここにいたのか!!!」
一人は、小柄な女の子。
大きめなジャケットに身を包み赤チェックマフラーを暖かそうに首に巻いている。
一人は、何故かよれよれの男
なぜか白衣のままのモララーが雪まみれで立っていた。寒くないのかアンタ
二人とも俺の親しい友人なのだが、一体どうして此処に来たのだろう
隣ではしぃさんが驚いたように口元へ手を宛てている。大方突然兄貴が登場して驚いたのだろう
呆然と突っ立っていると、つーが俺の方へ近寄りにこにこと嬉しそうに肉を渡してきた。
ん…なんで肉?
(*゚∀゚)「あのな、ツンからメール貰ったんだ!! 鍋やるんだろ?その肉使ってくれ!」
( ´_ゝ`)「つーちゃんつーちゃん、鍋は鍋でもおでんだよ。 牛肉はどっちかってーと使わないが」
(*゚∀゚)「え」
兄者の言葉に、一瞬固まったつーは恨みがましそうな視線をツンへ寄越した。
ξ゚听)ξ「…言ってなかったっけ」
(#*゚∀゚)「バカー!」
- 52 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:07:10.68 ID:jFtJDnWe0
更に鞄に入っていたキノコも取り出しツンにぶつける。
…うーむ、材料から見るにスキヤキ?とか思っていたのかな。しかし牛肉とはまた豪勢な…
そういえばこいつは金持ちだったっけ。いかにも高そうな肉にもう一度目線を移した。
……霜降りじゃねえか。
なんつーか、これはもう鍋に入れるの勿体無い。普通に焼いて食いたいよ。
ξ゚听)ξ「何よ、いいじゃない。牛肉とキノコも入れちゃえば!」
それはもうおでんではないだろう。常識的に考えて
(*゚∀゚)「あ、そっか!」
納得すんのかよ。
(*゚ー゚) 「お兄ちゃん、どうして此処に来たの?」
隣ではしぃさんが雪まみれの兄へ心配そうに問いかけていた。
この場合どういう手段で此処まで来たのかと、どうやって此処にいることを掴んだのかが不思議なのだろう
( ・∀・)「うんうんっ、良くぞ聞いてくれたねっ、可愛い妹よ!」
ばっと両手を広げて飛び込んでくるよう促すがしぃさんが飛び込んでくることはなかった。
( ・∀・)「それはお前にいつどんな危険が及ぶかわからないからさっ!
ふふっ、正しい兄とは常に妹に発信機をつけているのだよ、まったく怖い世の中だからねぇ!」
- 54 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:10:00.41 ID:jFtJDnWe0
(;*゚ー゚) 「お兄ちゃん…」
怖いのはどう考えても妹に変質的な愛を注いでいるお前だ
( ・∀・)「そして予想通り悪い虫にひっかかっていたというわけさ…」
胡乱な視線を投げてくるモララーに俺は身を引いた
(´<_`;)「なんだよ…」
(#・∀・)「君に妹は渡さない!!」
(;*゚ー゚)
「もうやめてよ恥ずかしい!お兄ちゃんのバカ!!」
しぃさんが近くに置いてあった買い物籠をモララー目掛けて投げつけたが、
いつものことで慣れているのか、ひょいと簡単な仕草でそれを避けた
( ・∀・)「ああ、それと通行手段は徒歩さね、それ以外あるかい?」
(;*゚ー゚) 「それならコートくらい着てくればよかったのに…。あと靴も、夏靴じゃない、それ」
唯一マフラーだけはしているが、見ているだけで寒々しい。夏靴っていうかそれサンダルだし
きっと何回も転んだのだろう、いたるところがびしょ濡れだ
( ・∀・)「…むっ!? 弟者くん! 君は今私が転んだと思っているねっ!?」
(´<_` )「そうだろ」
- 56 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:11:13.60 ID:jFtJDnWe0
( ・∀・)「ふはははははは!! まったく片腹痛いねっ、雪まみれ=転んだとはなんて簡単な方式を立てているんだかっ
これは雪が積もっていたから嬉しくて遊びながら来ただけなのだからね!」
(´<_` )「それもどうかと思うが…」
(*゚∀゚)「あ、でもそいつさっき家の前で転んでたぞ」
( ・∀・)「…………………」
(´<_` )「………………」
(*゚ー゚) 「………………」
ξ゚听)ξ「…………………」
( ´_ゝ`)「(俺セリフまったくないなぁ…)」
そして気まずい沈黙は再び訪れることとなった。
- 57 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:12:48.82 ID:jFtJDnWe0
- ( ´_ゝ`)ノ
(´<_` )「とりあえず兄者、下ごしらえとかそういったものは済んでいるのか?」
全員が黙り込んだ中で、最初に話を切り出したのは弟者だ。
俺は慌てて首を縦に振った
(;´_ゝ`)「えええ、えも、もちろんだとも」
頷きはしたものの俺が台所でやったことといえば指を3回切って大根剥いただけだ。
しかもその大根は今出しっぱなしだから完全に乾いているだろうし、
杉浦の野郎に殺人現場と失礼極まりないことを言われた状態で放置している。
今あの台所見られたら怒られるだろうなあ
ていうかお前その女の子たち紹介しろよ。
つーちゃんは知ってるけど後二人の子は知らないぞ。
そんな俺の表情を察したのか、しぃ、と呼ばれていた女の子が前に来てぺこりと小さく頭を下げてきた。
(*゚ー゚)
「あの、私モララーの妹でしぃと申します。 本日は突然お邪魔してすみません」
- 60 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:15:27.41 ID:jFtJDnWe0
- ξ゚听)ξ「あ、私はツンって言います。弟者さんに呼ばれて」
続けて巻き髪の女の子も手を挙げた。……いや、女の子の知り合いいすぎだろう弟者
普通はいいとこ名前だけ知ってくれてる女子が2,3人いるくらいだろ…?
(;´_ゝ`)「あー、いやそれはいいんだが」
俺も杉浦とか呼んだしね、帰ったけど。
というか、そんなことよりも重要なことがある。
( ・∀・)「なんだい兄者くん、その目は」
モララーは唯一俺と弟者共通の友人だ。
弟者には変人扱いされているが、こいつは手先が器用でたまに頼んで作ってもらうフィギュアは一級品だ
付き合っていて損はない。…多分
しかしごくたまにこいつの家に行く時、家にいるのはいつもモララー一人で
こんな可愛い女の子の姿なんぞ見たことはなかった
( ´_ゝ`)「お前、妹いたの?」
(*・∀・)「いかにも、可愛いだろうっ! 天使みたいだろうっ!!」
- 63 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:18:08.01 ID:jFtJDnWe0
- (*´_ゝ`)「嫁にくれ!!」
(#・∀・)「死にたまえ!!」
近くにあった鉢植えを投げつけてきやがった。
さっきのしぃちゃんを見てるとこの兄妹は物を投げるクセがあるらしい。
ていうか投げるな!母者に怒られるだろうが!俺が!
(#・∀・)「しぃの嫁はかっこよく白衣が似合いかつユーモアに溢れるナイスガイと決めているのさっ!
そう、私のようなねっ!」
(;*゚ー゚) 「(嫌だなあ…)」
ξ゚听)ξ「相変わらずのシスコンバカ兄貴ね」
ツンちゃんが冷静に言い放った。
すると後ろからつーちゃんが腕を大きく上げ弟者の方へと寄っていく
(*゚∀゚)ъ「そんなことどうでもいいからさっ、弟者、オレ様がおでん作ろうか!?」
一連の会話を丸無視しての大胆発言。
そのセリフに対して弟者が何か言う前に俺が先に手をあげる
(*´_ゝ`)「それはありがたい!ありがとうつーちゃん。俺のお嫁さんになる?」
(*゚∀゚)「るっさい!お前のことはどうでもいいんだよ!」
- 68 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:22:34.91 ID:jFtJDnWe0
- 今度は猫の置物投げつけてきやがった。
何、今の世間では人に物投げるの流行ってんのか?
間一髪で避けたが、置物を投げてきた当の本人は別の所に意識を飛ばしているらしい。
(*゚∀゚)「(おでん美味く作って弟者に女の子らしさアピール…アピール…!アヒャヒャヒャ!)」
両手を頬に当て赤くなっている姿を見れば何を考えているのか大体わかる。
弟者はまったくわかってないだろうがな。
(´<_` )「それは嬉しいけど、作れるのか?」
(;*゚∀゚)「ばっ、バカにすんな!作れるよ!作れる!」
あわあわと手を横に振りうろたえている。…俺もちょっと心配になってきた。
すると、突然後ろから控えめにしぃさんが手を挙げた。
(*゚ー゚) 「あの、じゃあ私も手伝います…」
(´<_`;)「え、いいの?」
(*゚ー゚)
「元々そのつもりでしたし、それに…」
ちらり、とすでにエプロンを取り出しているつーに目を向けたが、すぐに顔を逸らした。
なんつーか……うわあ…、弟者うわあ…
フラグ立てすぎだろ、常考。
すげえ殺したい。実の弟だけど殺したい。
- 71 名前: ◆RlTQEud5f.
:2007/12/16(日) 21:27:27.29 ID:jFtJDnWe0
(*゚ー゚) 「…いえ、なんでもないです」
( ・∀・)「…………………」
(´<_` )「じゃあ、よろしくお願いしようかな」
ξ゚听)ξ「しょうがないなー、じゃあ私も」
最後に手を挙げたのはツンちゃんだ。
彼女の場合、他二人の女の子が料理しているのに自分だけ何もしないのは気が引けたのだろう。
ていうか美少女の手作り料理ktkr!!
鼻息荒くして喜んでいたが内二人の女の子の目線が弟者に向いていたのは心底面白くない。
最近、あいつがやたらモテるとかどうこうとか言うよりも、兄弟で同じ顔なのになぜもてないのかという
方が疑問だよ畜生。
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