( ´_ゝ`)魔王が世界を征服するようです



456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:09:24.25 ID:MQBSP7+Z0
( ・∀・)「医師はこう言った」


( ・∀・)「内臓が ないぞう!」








(;*゚∀゚)「………」

(;*゚ー゚)「………」

(´<_` )「………」

(;ФωФ)「………」




( ´_ゝ`)「……で?」





457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:14:37.80 ID:MQBSP7+Z0
( ・∀・)「え?でって言われると返事に困るけど、
      すごい風穴だなぁ、と思ってさー!」

すごいねぇ、人間だったら絶対に死んでるんだけど、
魔物ってどういう体の作りをしてるんだろうねぇ。

と、冷め切った空気の中で、
全く空気を読まないで、兄者の腹をじろじろと観察する。
空気を読めないのではなくて、読むつもりがないらしい。

( ・∀・)「いやー、ブリーチの登場人物もびっくりだよね!
      見てないけど」

( ´_ゝ`)「はぁ」

珍しくも不機嫌そうな声色で返事をした兄者に、
兄者の膝の上で丸まっていたつーがびくりとした。





462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:23:47.93 ID:MQBSP7+Z0
(*゚∀゚)「おい、オマエさぁ、【空気】って読めるか?おい読んでみろよ」

( ・∀・)「え、難しいなぁ、なんて読むだろう。
      地球を包む大気の下層部分を構成する無色透明の混合気体(辞書引用)かな?」

完全に読むつもりがないモライドに、
あまり空気を読めていないつーですら呆れて一瞬言葉に詰まった。

(*゚∀゚)「わかったぞ!お前実は悪の使者だろ!」

( ・∀・)「えー、何それ」

(*゚∀゚)「そうとわかったら、容赦はしねーぞ!」

1人で盛り上がり始めたつーは、
兄者の腹を踏み台に、思いっきり蹴飛ばして、ひらりと玉座から降りた。

戦闘体勢に入り、拳を振り上げる。



(*゚∀゚)「オレはジャスティスウーマンTWO!
     正義は勝つ!かならずだ!」





463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:27:26.65 ID:MQBSP7+Z0
決闘が始まるのかと思って、モライドは慌てて杖を構えた。
しかし、つーは予想外の行動に出る。




(*゚∀゚)「さーいしょーはグー!!」

その振り上げた拳を、思いっきり振り下ろした。
それに釣られて、モライドもグーを出す。

( ・∀・)「えっ?え、はいっ、グー」

(*゚∀゚)「じゃーんけーん、ぽいっ!」





466 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:33:35.73 ID:MQBSP7+Z0
つーは手を握ったまま出した。
対してモライドはパーを出す。

つーは驚愕に数歩下がってから項垂れた。
地面に手をついて、がくりとしているほどの徹底ぶりだ。


(;゚∀゚)「そ、そ、そんな……正義が負けるはずない!」

(*゚∀゚)「これは何かの間違いだ!モライド!もう一勝負しろ!」

( ・∀・)「え、良いけど……」


2人はその後10回ほどジャンケンをした。
しかしその10回全てにつーは負ける。


(;゚∀゚)「な……お、オレは悪だったのか……!?
     悪は滅びなければならない……オレは、オレはどうしたら良いんだ……!」

( ・∀・)(それは君が獣型でやるから、グーとパーしか出せないんだよ……)


ジャンケン如きで本人の存在まで発展して、
モライドは呆れながら頭をかいた。





470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:38:29.61 ID:MQBSP7+Z0
( ・∀・)「いやー、実は僕、正義の味方なんだよね。
      だから君に勝つことができるっていう寸法さ」

(*゚∀゚)「なるほど!ていうことは、オレは悪じゃないのか!?」

( ・∀・)「そういうことになるね」



(*゚∀゚)「よかった!オレ、悪じゃないんだって!やったぞ魔王!!」

:(; _ゝ )::

喜びを全身で表現したつーだったが、
肝心の兄者はつーの攻撃のせいで、腹を押さえて悶えていた。

その上につーが更に追い討ちをかける。
兄者の腹に向かって突進して、抱きついたのだ。

兄者はあまりの激痛に、潰れた蛙のような声を出した。




472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:48:23.95 ID:MQBSP7+Z0
(*゚∀゚)「よーし、それじゃ、正義の味方は正義の味方らしく、
     正義な行動をしないといけない!」

(;´_ゝ`)「ほう?」

お前の行動のどこが正義だ。という言葉がもう少しで出かけた。
しかしなんとか我慢する。

(*゚∀゚)「今、世界は混沌に満ちている!
     だからこそ、われわれは悪を滅し、弱きものを助けるのだ!」

(;´_ゝ`)「ゲームとかマンガとかテレビの見過ぎじゃないか?」

両足は肩幅よりも少し広く、左手を脇の下に固め、右手を天高く上げ、つーは叫んだ。








(*゚∀゚)「魔物戦隊!マモレンジャー!」

( ・∀・)「あー完全に日曜朝の見過ぎだね」



これこそが、混沌の時代の幕開けである。






475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 14:54:16.80 ID:MQBSP7+Z0
その後のつーは、非常に手際が良かった。

普段は皆にくっついてうろうろしているだけだったが、
目を輝かせて、非常に生き生きとしている。


(*゚∀゚)「オレの名はマモレッド! リーダーだ!」

(*゚∀゚)「魔王は、マモブルー! 常に海パン」

(*゚∀゚)「弟者が、マモグリーン! 植物を操る癒し系」

(*゚∀゚)「しぃは、マモピンク! お色気担当」

(*゚∀゚)「ロマネスクが、マモイエロー! 毎日カレーを食べている」



(*゚∀゚)「異論はあるか!!?」




478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:00:14.29 ID:MQBSP7+Z0
(;´_ゝ`)「ありまくりだよ!!何だよ常に海パンって!こち亀か!」

(;ФωФ)「そうである、毎日カレーってなんであるか!
        別に黄色っていうイメージないのに、
        あまりもの感がいなめないのである!」


(*゚ー゚)「えー、別に良いんじゃない?」

(´<_` )「問題ないけど」

(;´_ゝ`)「しぃちゃんはともかく、お前は癒し系じゃないだろ!!」

(´<_` )「え……癒し系のつもりだったんだけど……」



(*゚∀゚)「異論はないな!それじゃあ出動だ!」





480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:06:10.34 ID:MQBSP7+Z0
走り出そうとしたつーに、弟者が軽く挙手をした。


(´<_` )「あ、悪いけど俺、城での仕事あるから」

( ФωФ)「我輩も、色々片付けてない書類があるのである」


あ、そうなのかぁ。とつーは落胆の色を見せた。
当たり前のような発言だったが、それに驚いたのは城の主である魔王である。

(;´_ゝ`)「え?仕事とかあったの?知らなかったんだけど!
      俺も手伝った方が良いよな、何すれば良い?」

(´<_` )「兄者は遊んでて良いぞ」

( ФωФ)「うむ、魔王は居るだけで良いのである」


優しさから来た言葉のはずが、兄者には重く圧し掛かった。
さ、仕事仕事、と言って玉座の間を出て行く2人を悲しそうに見つめる。

「やっぱり魔王が必要だ」といわれるのを待っていたのだが、
結局2人は振り返ることすらしなかった。

( ;_ゝ;)「事実上のマスコット!!!
       魔界の象徴なのに非権力者!!」

哀れに思って、モライドが兄者の肩をぽんと叩いた。





481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:12:38.41 ID:MQBSP7+Z0
(*゚∀゚)「さぁそれでは正義の仕事をはじめよう!」

勢いづいたつーに、兄者が口を尖らせて反論する。
非常につまらなそうだった。

( ´_ゝ`)「仕事ってなんだよ……
      そもそも正義っていう職業ないだろ……」

(*゚∀゚)「そうだな、まずは悪の使者が何を仕出かすのか
     事前に見極めないと」

腕を組んだつーが、隅の方でうすぼんやりと浮いていた精霊に、
ちょいちょいと手で招いた。

(*゚∀゚)「皆に紹介しよう、彼女は我々の味方である、超高性能精霊だ」

川   川「あ……よろしくおねがいします……」

( ・∀・)「あ、どうもはじめまして」




483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:21:29.62 ID:MQBSP7+Z0
川д川「悪の使徒、VIP星人が出動する場所を知りたいのね……」

(*゚∀゚)「うんっ」

つーは素で答えてしまい、あわてて言い直した。


(*゚∀゚)「うむ。そうなのだ!次は一体どこに悪が出没するのか!」

(;´_ゝ`)「すげーな超高性能精霊」



川д川「幼稚園送迎バスのバスジャック犯を捕まえろ  難易度★★★☆☆」

川д川「世界を汚染するための装置が作られている。
     研究所を破壊せよ                   難易度★★★★☆」

川д川「どうやら城では新しい生物を作っていらしい。
     城に侵入し、神をも冒涜する生物を捕獲せよ   難易度★★★★★」



(*゚∀゚)「さあ、どのクエストをやるか!>>488




488 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:27:45.52 ID:WsC+Skce0
幼稚園に決まってる




491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:34:51.92 ID:MQBSP7+Z0
(*゚∀゚)「こういうのは難易度低いところからっていうのが定石だよな!」

つーは「よしっ」と気合を入れると、
やる気のない兄者を引っ張って城から出る。

ひっぱられているときに、周りの魔物から
「魔王!おはようございます」との挨拶をされ
兄者は苦笑いでそれに返した。



ひゅう、とつーが笛を吹くとワイバーンがどこからともなく現れる。
それに乗ると、つーは楽しそうに叫んだ。


(*゚∀゚)「ときめきバグベアー号発進!!」

(;´_ゝ`)「え?こいつそんな名前だったの!?」

ワイバーンが低い声でぐるる、と唸って答えた。


(*゚∀゚)「おまえこの名前気に入らないんだよなー」

当たり前だ、と兄者もしぃも思った。




493 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:41:35.03 ID:MQBSP7+Z0
 


ワイバーンが降り立ったのは、何の変哲もない森の中だった。
幼稚園がどうたらと言っていたので、街中にでも下りるのかと思った兄者は拍子抜けする。

だが、森を更に進んで行くと、なるほど、魔物の集落があった。




その集落の外れで、何やら不穏な気配がしている。
血の臭いが漂っている。

(;*゚∀゚)「間に合わなかったか!!」

3人は慌ててそこへと向かう。




494 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:44:22.63 ID:MQBSP7+Z0
 

そこはひどい有様だった。

魔物狩りをされている。
地面に魔物の死体が、ごろごろと転がっている。

兄者らはそれを踏まないように、進む。


もしかしたら既に終わった後なのかもしれない。
そんな不安が彼等を襲ったが、
子供の小さな叫び声が聞こえたことで、その歩を早める。




496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:52:16.10 ID:MQBSP7+Z0
l从;∀;ノ!リ人「嫌じゃあ!嫌なのじゃああ!」

川 ゚ -゚)「ふん、うるさいモンスターだ」

l从;∀;ノ!リ人「うぐっ! ……あぁ……っ」

泣き叫ぶ魔物。
ハンターが腹に一発入れたことによって、その叫び声すら聞こえなくなった。

( ゚д゚ )「クール、大事な商品なんだから、あまり手荒に扱うなよ」

川#゚ -゚)「……わかっては居るが……。
     人型のモンスターを見るとどうしても、妹を思い出してしまって」

魔物の子供を鉄の縄で縛る。手と、足と。
首には首輪をして、ハンターはモンスターボールを取り出した。

l从;∀;ノ!リ人「ううっ……」

魔物に投げつけると、光が覆って、すぐに魔物が消えてなくなる。
そこにはモンスターボールだけが残っている。





500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 15:57:06.50 ID:MQBSP7+Z0
ハンターはそれを拾うと、鞄の中へしまった。
同じようなボールがいくつも入っている。
全て魔物入りのボールだ。

( ゚д゚ )「中々大量だったな、見た目も良いやつが多かったし、
     一匹10万と安く見積もっても、100万は軽く超えるか」

川 ゚ -゚)「私も一匹買おうかな」

( ゚д゚ )「なんだ、珍しい。モンスター嫌いのクールがか?」

川 ゚ ー゚)「うさ晴らし用だ」

つまりは虐待用だ。
虐待するためだけに飼われる魔物。
このような用途で買われるのは、別段珍しくもない。


さあ帰ろう、とした時、周囲に気配を感じてクールは弓を構えた。




501 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:02:27.49 ID:MQBSP7+Z0
(* ∀ )「天呼ぶ、地呼ぶ、海が呼ぶ……悪を倒せと我を呼ぶ!」

どこから声が来ているのか、
クールとミルナは辺りを見渡す。

すると、探すまでもなく、目の前にそれらは躍り出た。

川#゚ -゚)「き、きさまらはっ!!」

(*゚∀゚)「正義の使者、魔物戦隊マモレンジャー!ここに見参!!」





502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:05:50.09 ID:MQBSP7+Z0
(*゚∀゚)「か弱き子供を攫い、奴隷にしようなんて、許されることじゃねえ!
     おまえらはここでオレらが改心させてやろうじゃねえか!」

川#゚ -゚)「なんだと……、貴様等、私の顔を忘れたのか?」

(*゚∀゚)「ああん?おめーの顔なんか知るわけ……」

ねえよ!と叫ぼうとすると、しぃがその言葉を遮った。
つーの体をそっと制して、前へ出る。

(*゚ー゚)「ヒートのお姉さんね?」

川#゚ -゚)「どうやら覚えてくださっていたか。
      そうだ。私はヒートの姉だ」




504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:10:16.58 ID:MQBSP7+Z0
川#゚ -゚)「貴様らは、私の仲間を殺した。
      あまつさえ、私の大切な妹を攫い、奴隷にした」

(*゚ー゚)「………」

川#゚ -゚)「それなのに、モンスターを殺すのはいけないという」

(*゚∀゚)「それは、おまえらが先に魔物を殺してたからだろ。
     オレらは、おまえらが仲間を殺していたから、攻撃しただけだ」

川#゚ -゚)「確かにその時はそうかもしれない。
      しかし私たちはみんな、親や兄弟をモンスターに殺されているのだ。
      それを復讐したいと思って何が悪い」

つーは顔をしかめた。
ちらりと兄者を見て、それからしぃを見る。
段々、言っていることが理解できなくなってきたのだ。




506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:14:35.11 ID:MQBSP7+Z0
川 ゚ -゚)「だから、私は何を言われようが、モンスターを殺し続ける。
     私にとってモンスターに種類なんかない。全て私の敵だ」

弓を引いて、しぃに照準を合わせた。
そしてにこりと笑う。
口元だけの笑みで、目は血走ったままだ。

川 ゚ ー゚)「そうだ、お前を捕まえてやろう。
      私が責任を持って育てよう。
      毎日いたぶって、死にたいと思うほどかわいがってやる」

(*゚ー゚)「あら、それはありがとう。気持ちだけうけとっておくわ」

川#゚ -゚)「ほざけ!!」




507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:19:58.47 ID:MQBSP7+Z0
クールが矢を放った。
大気を切り裂いて、しぃにまっすぐ飛んでくる。

しかし、しぃは簡単にそれを避けた。


川#゚ -゚)「……はなから当たるとは思ってないさ!」

短剣を抜いて、しぃに飛び掛る。
軽さを武器にした特有の攻撃で、クールはサキュバスに攻め入る。

しぃは、攻撃することなく、
悪魔の羽をぱたぱたとさせながら、その全てをふわりと裂ける。


しかし、ただ避けているだけではなく、
機会をうかがっているように、鋭い目つきだった。

(*゚ー゚)(さぁ、この子はどうしようかな?
     従えるか、倒しちゃうか……。
     ちょっと可哀想だから、逃げるのもありかな)


>>511




511 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:23:27.94 ID:+GnmhWabO
殺さん程度に倒す




514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:33:55.22 ID:MQBSP7+Z0
(*゚ー゚)(ま、めんどくさいから倒しちゃおうかな)

しぃは拳に力を込めた。
武器などは持って来ていないから、素手である。
が、素手でも十分威力は強い。

川#゚ -゚)「戦闘中に考えごとか? 余裕じゃないか!」

クールが突いた一撃が、しぃの顔に掠った。
思わず舌打ちをする。

(*゚ -゚)「クールッテ名前ナンダカラ、モウ少シ冷静ニナリナサイヨ」

顔っていうのは命なのよ。
普段微笑を浮かべている口を、大きく開けて吼えた。
その姿からは想像できないほど鋭い牙が、剥き出しになった。




515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:37:08.00 ID:MQBSP7+Z0
その少し離れたところでは、つーとミルナが対峙していた。

どうやらつーは未だに「マモレンジャーレッド」のキャラを貫いているらしく、
生真面目そうなミルナは少し困惑気味に、しかし真っ当に対応している。



兄者はその間をすり抜けて、
地面に置き去りにされているクールの荷物を奪い取った。

そのまま、4人の姿が見えないように離れた場所へと避難する。




517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:42:43.00 ID:MQBSP7+Z0
兄者はモンスターボールを取り出すと、
全てのボールを投げ始めた。

ぽん、ぽんっと音がして、ボールの中から子供の魔物が現れた。
しかし、その全てが、縄でぐるぐる巻きにされていて痛ましい。

(;´_ゝ`)「おまえら大丈夫か!もう怖いことないからな!」

兄者はそうやって一人一人の封印を解いて回る。
すると子供たちは、一様に兄者にすがりついて泣き始めた。


ミ*;∀;彡「アヒャアアアアン! ヒャアアン!!」

(*;A;)「あううっうっ……こわかったぁーー!」

(;´_ゝ`)「ああ、うん!大丈夫だから、ちょっと離れて!まだ残ってるから!」

最後の封印を解くと、そこにはさきほどの声の主がいた。
やはり他の子供らと同じように泣いている。

ハンターらに聞こえないかどうか、兄者は少し心配になった。




518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:49:51.09 ID:MQBSP7+Z0
l从;∀;ノ!リ人「………」

他の子供たちが兄者に群がって泣いているなか、
一人だけ円から外れ、声を殺して泣いていたのは、最後の魔物だった。

( ´_ゝ`)「どうしたんだ?」

兄者が問うと、その魔物は声を震わせながら答える。


l从;∀;ノ!リ人「これからどうすれば良いのかわからないのじゃ。
         僕は最後に捕まったから、全て見ておる。
         ここに居る者だけしか、生き残ってないということを」

子供がそういうと、他の魔物たちもしんとなった。
魔物は長く生き、知能の高い魔物は結束力も高い。

それゆえか家族を失った子供は
捕まえやすく従わせやすいということが、人間のデータにもある。




519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 16:56:11.68 ID:MQBSP7+Z0
(;´_ゝ`)「大丈夫だ、みんな城に来れば良い。
      まだ部屋は空いているから、みんなで城に来なさい」

さわさわ、と子供らは囁きあった。
どうする?行く?信用できる?
でも、行かないとしたら、どうするの?

l从;∀;ノ!リ人「僕は、行くのじゃ。
         城で鍛えて、人間に復讐をするのじゃ」

( ´_ゝ`)「!」

復讐という言葉に兄者は眉を潜めた。
そうやっているから戦が止まないのだ。
まだいくつにもなっていない子供が、こんなことを言うなんて。

少し切なくなった。その時だ。



( ・∀・)「あ、魔王いたいたー。向こうは何か長引きそうだよー」

エアーブレイカー2号のモライドが、ひょっこり草むらから顔をだしたのだ。




521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:02:32.29 ID:MQBSP7+Z0
(;*゚A゚)「人間!!」

ミ;゚∀゚彡「人間だ!」

l从・∀・#!リ人「に、人間!よくもぬけぬけと……家族の仇!!!」

一人の子供がモライドの足に突進してくる。
モライドはひょーいとそれを避けると、
次々に子供らが突進してきた。

( ・∀・)「あ、何々?何の歓迎?」

その全てを、闘牛士のようにひらひらと裂ける。
一度突撃に失敗した子供が、後ろから再び襲い掛かる。



( ・∀・)「ぎゃあモラたんの足の周りに魔物の子供が群がって
      そのぬくもりにぎゃあモラたんの中心は思わず硬く熱くなっていく」

モライドの股間がもっこりとしだして、
兄者は慌てて魔物の子供に叫んだ。

(;´_ゝ`)「にげてえええええええええええ」




525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:11:23.03 ID:MQBSP7+Z0
剥がし終わって、そのまりもっこりを隠そうともしないモライドに、
兄者は憤慨した様子で怒鳴り散らした。

(#´_ゝ`)「お、お、おまえなあ!!子供相手に何っ……変態!!
      てか隠せよ!!少しははずかしがれよ!」

( ・∀・)「そんなこと言われても……
      気をつけよう。勃起は急に、治まらない」

(;´_ゝ`)「車と同じ扱いした!!」


魔物である兄者と親しげに話しているモライドを、
子供たちは遠くから睨みつける。
その表情に、モライドは一層硬くして、少し頬を赤らめた。


(*・∀・)「いやぁ、憎まれるって気持ち良いね。
      憎んでいる相手に無理やり……っていうの、萌えると思わない?」

(;´_ゝ`)「い、い、いい加減にしろよ!おまえそのうち殺されるぞ!」




529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:18:56.23 ID:MQBSP7+Z0
l从・∀・;!リ人「魔王は、その人間と仲が良いのか?」

(;´_ゝ`)「え?仲良いっていうか……まぁ、こいつは悪いやつじゃないよ」

l从・∀・ノ!リ人「おい人間。お主も、魔王と仲が良いのか?」

( ・∀・)「え、うん仲良いよ」

l从・∀・ノ!リ人「人間なのに、魔王を倒そうとは思わないというのか?」

( ・∀・)「別に魔王を倒したところで、僕に何のメリットもないし」




530 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:23:38.09 ID:MQBSP7+Z0
ふむ。と子供は考え込んだ。
彼が自分の敵かどうか、悩んでいるのだろう。
そのうち、一人の子供が前に出た。

ミ*゚∀゚彡「どのくらい仲が良いんだ?」

その問いに、モライドはううむと考える。
暫く考えこんでから、ああそうだ、と指を鳴らした。


( ・∀・)「それは中々難しい質問だね。
      言葉で説明するのは難しいと思うんだ」

だからさぁ、と兄者をちらっと見る。

( ・∀・)「ちょっと魔王、そこに手をついて」

( ´_ゝ`)「え?なんだ?」

疑問に思いつつも、兄者はモライドの指示通り、地に手を突いた。

せめて、この子供ら程度でも良いから、
他人を疑う心が兄者にあれば。

これから起きる災難は降りかからなかっただろう。




532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:26:44.53 ID:MQBSP7+Z0
         ∧_∧
         ( ・∀・)
   ズボッ ( つ つ   ,∧__∧ アッー!!
       (( )  )ィ⌒⌒(; ゚_ゝ゚)
       (__と、_入_,,つλつ
                     〃'´⌒`ヽ
                    〈(( ,'⌒ヽヽ
                    人;从!j !リノ
                    ⊂!,.!(( ))
                     〈/_|j_)!(
                      ∪∪




538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:32:51.78 ID:MQBSP7+Z0
         ∧_∧
         ( *・∀・)
  パンパン ( つ つ   :∧__∧:
       (( )  )ィ⌒⌒(; _ゝ ):
       (__と、_入_,,つλつ :


         ∧_∧  ハァハァハァハァ
         (;*・∀・) ))
    カクカク ( つ つ  ::∧__∧:
       (( )  )ィ⌒⌒(; _ゝ ):
       (__と、_入_,,つλつ:


         ∧_∧ ハァハァウッ
         (;*・∀・)
    ドピュ ( つ つ  :::∧:_:∧: て
       (( )  )ィ⌒⌒(; _ゝ ):: そ
       (__と、_入_,,つλつ:





         ∧_∧  フゥ
         ( ・∀・)
       ( つ つ :::∧:_:∧::
         )  )ィ⌒⌒(; _ゝ )::
       (__と、_入_,,つλつ::




542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:36:51.58 ID:MQBSP7+Z0
( ・∀・)「まぁ、このくらい仲良いかな」


l从 ∀ ;!リ人「………」

ミ* ∀ 彡「………」

(* A )「………」



( ;_ゝ;)「………」




こうして、モライドは純粋な魔物の心を穢すことに成功した!
しかし、モライドの戦いはまだ始まったばかり!
この世に純粋な魔物がいる限り、モライドの戦いはまだまだ終わらない!
がんばれモライド!負けるなモライド!!

この世の平和は、君の手にかかっている!!!!



       モライドの大冒険  〜続〜




544 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/13(水) 17:38:29.38 ID:MQBSP7+Z0
ということで終わります。
色々ごめんなさい。反省はしてません。





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