( ´_ゝ`)魔王が世界を征服するようです
- 414 : ◆AsyYKJceLA
:2009/05/06(水) 09:11:25.51 ID:b5UxxbAQ0
-
(*゚ー゚)「おっはよー」
ノパ听)「おはようございます」
( ´_ゝ`)「あー……おはよう……」
早朝、2人が玉座の間へ行くと、
玉座に座ってうつらうつらとしていた兄者が出迎えた。
その肘掛には、やはり弟者が座っている。
- 416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:14:01.91
ID:b5UxxbAQ0
- (*゚ー゚)「なぁに、昨夜は頑張ったの?」
うふふ、と俗っぽい表現で問いかけると、
そうなんだよ。と、それに気付かずに兄者が答える。
( ´_ゝ`)「いやー昨日はロマネスクと徹夜で特訓してて」
(*゚ー゚)「あ、そうなんだ。特訓の成果はでた?」
しぃが首を傾げると、それに呼応するように兄者が顔をそむける。
結局、何の変化もないままに終わったのだろう。
- 417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:16:34.77
ID:b5UxxbAQ0
- ( ФωФ)「このロマネスク、今日も魔王に付き合う次第である!」
弟者とは反対の位置に控えていたロマネスクが、そう叫んだ。
中々に大きな声だったので、兄者が思わず耳を塞ぐ。
( ´_ゝ`)「俺と同じ睡眠時間のはずなのに、元気だな……」
( ФωФ)「修行の賜物である。数日くらい寝なくとも支障はない」
(;´_ゝ`)「修行すごいな」
( ФωФ)「魔王もご要望とあらば」
( ´_ゝ`)「全力で遠慮します」
(*ФωФ)「はっはっは、またまたご謙遜を」
(*´_ゝ`)「あっはっは、本気だよこのやろー」
- 418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:18:35.47
ID:b5UxxbAQ0
- そこでヒートが一歩前にでる。
ノパ听)「ところで、100年前の魔王は強かったとお聞きしました。
私もそう祖母から聞かされました」
ノパ听)「どれほど強かったのですか?」
そうヒートが聞くと、兄者は俯き、弟者は不機嫌そうに顔をしかめ、
ロマネスクは嬉々として口を開いた。
- 421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:23:11.67
ID:b5UxxbAQ0
- (*ФωФ)「そりゃあもう、襲ってくる人間共、何千何百という数を
腕の一振りでなぎ払ってしまうほど!」
(*ФωФ)「剣の腕前は誰にも劣らず、世界一の剣豪すらも打ち負かし、
まさに魔王の名に相応しい方だった」
( ФωФ)「そしてその広大な魔力と言ったら、天候を自在に操ることが出来、
だからこそ我がAA大陸は、これほどまでに豊かな土地となったのである」
( ФωФ)「ただ、この100年のうちに、
荒野に成り果てた土地も少なくはないが……」
ノパ听)「なるほど……」
ヒートがその続きを促し、ロマネスクが更に話を広げる。
その話が「そうして5人目の勇者が果敢に乗り込むも」まで行った時、
兄者は俯いていた顔を上げて、遮った。
- 422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:25:31.91
ID:b5UxxbAQ0
- (;´_ゝ`)「ロマネスク、もう良いだろ。
すごい惨めになるから、昔の話はやめてくれ」
( ФωФ)「おや、そうですかな?
その辛いお気持ちをバネに、力を取り戻すのを期待しておりますぞ」
ロマネスクがそう言うと、兄者は玉座の上で膝を抱え、そこに顔を埋めた。
ご丁寧に耳に手を当てている。
見ざる聞かざる言わざるの体勢だ。
この武勇伝が相当心に突き刺さったらしい。
- 424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:32:55.21
ID:b5UxxbAQ0
- (;´_ゝ`)「まあ、とにかく、ええと……まぁあれだ……えー……」
(;´_ゝ`)「今日は何をしようか?」
(´<_` )「VIP大陸になぐりこみ」
(*゚ー゚)「人間世界にもぐりこみー」
ノパ听)「現在、VIP城で勇者選抜を行っているから、
そこに潜り込むとかどうでしょう?」
( ФωФ)「その前に魔王の装備をそろえたいのだが……。
魔王はいつまでひのきの棒を腰にさげているつもりなのか……」
( ´_ゝ`)「じゃあ>>428で」
- 428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:40:08.75
ID:cU+V0KnsO
- 武器強化に人間世界へ
- 433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:45:49.62
ID:b5UxxbAQ0
- (*´_ゝ`)「と、いうことで、人間世界へ行くことにした。
人間の作る武器は中々良いらしいし」
(´<_` )「あんたそれ、行ってみたいだけじゃないの……」
(;´_ゝ`)ギクッ
( ФωФ)「しかし我々が行ってもすぐに魔物とばれてしまうのである」
( ´_ゝ`)「あー……」
どうしたものか、と首をひねる。
ヒートがうれしそうに手を上げた。
ノハ*゚听)「私、変装できるものを持っています」
- 434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:49:33.59
ID:b5UxxbAQ0
- ノパ听)「人間世界では、魔物に変身をして、弱い魔物から気付かれなくする。
というアイテムを普通に売ってるんです」
( ´_ゝ`)「へー、それって便利だなぁ」
ノパ听)「まぁでも、強い魔物相手だと、
人間だと気付かれちゃうんで意味ないんですけど」
ヒートはポケットの中からグミのようなものを取り出した。
銀色のようで、光に当たると角度により虹色に変化する。
ノパ听)「ドッペルゲンガーの体液を加工したものなんですよ」
と、ヒートが説明すると、ロマネスクが少し怯んだ。
- 437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:54:52.91
ID:b5UxxbAQ0
- (;ФωФ)「ドッペルゲンガーの体液であるか」
ノパ听)「そうです、で、それを食べて、なりたいものを強く想像する。
そうすると、そのなりたいものに変身することができます」
(*゚ー゚)「ヒートかっこいー。何でも持ってるのねー」
ノハ*゚听)「ご主人様の足元にも及びませんっ!」
(´<_` )「ふむ、それじゃ、それで人間世界に行ってみるか」
(*´_ゝ`)「おー」
- 440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 09:59:54.74
ID:b5UxxbAQ0
- そして5人はVIP城正門前までやってきた。
ワイバーンに乗ってきていたため、少し離れたところに着地した。
そこから歩いてくると、意外と時間がかかる。
日は傾きかけていた。
ノパ听)「あれ?あいてない?」
硬く閉ざされた門の前で、ヒートは首を傾げる。
まだ日が落ちる前だから、普段であればあいているはずなのだ。
- 441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:05:43.49
ID:b5UxxbAQ0
- ノパ听)「おーい、あけてくれー」
と、叫ぶと、門の横の小さな扉が開いて人が出てくる。
厳重に装備をした兵だった。
「ヒートじゃないか!どうしたんだ!
連絡がないから死んだものだと思っていたよ」
ノパ听)「すまんすまん、ところで、扉を開けてくれないか?」
ヒートが頼むと、軽装備兵は快く扉を開けた。
- 443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:10:42.92
ID:b5UxxbAQ0
- (´<_` )「なんだ、まったく警戒の意味がないじゃないか」
( ФωФ)「これが人間の生活……魔物とあまり変わらないのだな」
男2人が辺りを見回しながら中へ入っていく。
きょろきょろとするしぐさは、まるで田舎者のようだ、としぃは笑った。
(´<_` )「人間世界なんて、滅多にくるところじゃないから」
弟者が言い訳するように口を尖らせると、ますますしぃは笑みを深くする。
- 446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:17:50.52
ID:b5UxxbAQ0
- ( ФωФ)「ところで、武器屋はどこかな?」
ノパ听)「ああ、こっちだ」
ヒートを先頭に、5人は武器屋に移動する。
大陸一大きな街の武器屋だけあって、その種類も豊富だった。
ここはこの街でも一番大きな武器屋なんだ。とヒートは言う。
だが、店員の姿はない。
ヒートがカウンターにあるベルをちりんちりんと何度も鳴らすと、
店の奥から店主が現れた。
_、_
( ,_ノ` )y━・~「いらっしゃい……見慣れない顔だね、ゆっくりしてきな」
(´<_` )「………」
( ФωФ)「………」
(;´_ゝ`)「思い出したように安価消化しやがった!こんな微妙なとこで!」
_、_
( ,_ノ`
)y━・~「ははは、何のことだい、青年」
- 450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:26:51.69
ID:b5UxxbAQ0
- ( ФωФ)「まぁ魔王、こっちに来て剣を取ってみるのである」
(;´_ゝ`)「はぁ……うん」
(;*゚ー゚)「ちょっとちょっと、ここで魔王とか言うのはあぶないんじゃない?」
(*゚ー゚)「一応周りは人間ばっかりなんだから、気をつけないと」
( ´_ゝ`)「あー確かに」
(*ФωФ)「そ、それでは兄者、この剣を持ってみるのである」
(;´_ゝ`)「何で照れるかな?」
( ФωФ)「……で、どうであるか?」
(;´_ゝ`)「うーん、よくわからないなぁ……」
(;ФωФ)「まぁ、100年も剣など触ってないと」
- 452 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:30:06.97
ID:b5UxxbAQ0
- ( ´_ゝ`)「とりあえずこれで良いかなーと思うんだけど、なー弟者、どう思う?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええっ、すごーい!AA大陸からきたんですか!?
モンスターがいて危険だって聞くのに!」
(´<_` )「うん、でもそんなに危険じゃないよ、その辺の魔物なんて弱いから」
ζ(>ー<*ζ「すごーい!弟者さんって強いんですね!」
( ´_ゝ`)「………」
(#´_ゝ`)「ファアアアアアアアアアアアアック!!!」
- 456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:38:00.43
ID:b5UxxbAQ0
- ζ(゚ー゚;ζ「きゃあっ!何ですかぁー!?あなたいきなりなんなんですかぁー!?」
(#´_ゝ`)「うるさいっ!うるさいっ!これだから人間はっ!」
と、兄者が剣を振り上げる。
人間に向かって振り下ろそうとしたとき、弟者が短剣でそれを制した。
キンッ、と金属音が響く。
(´<_` )「兄者、おちつけ、店内で剣を振り回すな」
(#´_ゝ`)「なにがっ!おちつけだっ!いっつも!人間殺すとかっ!いってるくせにっ!」
一言一言の合間に剣を入れる。
斬り、そして突き。
それを弟者は短剣で受けたり、体を捻って避けたりする。
時折剣が棚や壁にあたり、がらがらと商品がばらまかれた。
- 461 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:46:31.16
ID:b5UxxbAQ0
- _、_
( ,_ノ` )y━・~「いやぁ、最近の若者は元気があっていいねぇ……」
(;*゚ー゚)「いいねぇっていうか、止めなくて良いの?」
_、_
( ,_ノ`
)y━・~「若者の喧嘩に水を差すようなことをしちゃぁいけねぇよ」
(;*゚ー゚)「そんなものなのかなぁ」
再び、ガキン、と鈍い音が響いた。
兄者の渾身の一撃を、弟者が軽々と防いだ音だ。
ちりちり、と刀身同士がせめぎ合っていたが、
弟者が兄者の腹に一発、拳を入れた。
( ゚_ゝ゚)「ぎゃふんっ!」
と兄者は叫んで、扉を突き破り道路の真ん中まで吹っ飛んだ。
通行人が目を丸くして兄者をのぞきこんでいる。
- 462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:52:09.37
ID:b5UxxbAQ0
- (*゚ー゚)「兄者ー大丈夫?」
その通行人と共に、しぃは兄者を覗き込んだが、兄者から返事はない。
目を見開いたまま気絶しているようだった。
そんな、体を張った兄者の訴えは、
(´<_` )「いやあ、ごめんね、うちのバカが……後で厳しく言っておくから」
ζ(゚ー゚;ζ「ううん。ちょっとびっくりしたけど大丈夫……」
(´<_` )「お詫びに、今晩食事とかどう?ご馳走するよ」
ζ(゚ー゚*ζ「え、本当?ありがとう……うれしい!
私ね、そこの宿屋の203号室に泊まってて……」
弟者には全く届いていなかった。
- 464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 10:57:11.91
ID:b5UxxbAQ0
- とりあえず剣の会計を済ませたロマネスクが、慌てて兄者の元に駆け寄った。
野次馬をちらすと、兄者を抱きかかえて道の端へと避難する。
(;ФωФ)「店は気にしないで良いって言ってくれたのである」
(*゚ー゚)「そうなの?太っ腹ね〜」
(*゚ー゚)「それで、もう日も暮れてきたけど、これからどうする?」
( ФωФ)「ふむ、そうであるな、とりあえず>>467で」
- 467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:00:12.12
ID:31E99bdH0
- 戦力探し
- 470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:05:53.91
ID:b5UxxbAQ0
- ( ФωФ)「ということで、戦力を探そうかと思う」
(*゚ー゚)「人間ばっかりなのにみつかるかしら?」
( ФωФ)「うーむ、そればかりは……。
とりあえず、魔王を宿屋に連れて行こう、完全に伸びているのである」
(*゚ー゚)「ってことなんだけど、弟者〜」
しぃが手を振ると、弟者が一瞬だけこちらを見た。
そしてひらひらと手を振っている。
「さきに行って良いよ」である。
(;ФωФ)「なんと協調性のないことか」
- 473 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:10:51.53
ID:b5UxxbAQ0
- 弟者に呆れつつも、一同は宿屋に向かった。
そして部屋を取り、その一室に兄者を寝かせる。
そうして、彼等は夜の街の広場へとたどり着いたのだ。
星明りに負けず、昼のように明るく広場が照らされている。
松明の炎だけでなく、あちらこちらに大きな水晶のようなものが浮いていた。
そこから魔力があふれ出し、光を放っている。
( ФωФ)「おお、活気のある……、昔の我が城を思い出すのである」
歩けないほどではないが、すぐ近くの大勢の人がいた。
人々の浮かれ具合を見ると祭りのようだった。
- 475 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:17:47.03
ID:b5UxxbAQ0
- ノパ听)「勇者の気質を持った者が現れたようですよ、
だから祝っているみたいです」
あちらこちらに話を聞いて回っていたヒートが、
人の波に流されながら、懸命に近づいてきた。
( ФωФ)「ははあ、なるほど……勇者か」
ロマネスクは顎に手を当てて考え込んだ。
勇者がどれほどの実力があるのか、この時点ではわからない。
だが、いつかは敵として目の前に現れるはずの者だ。
( ФωФ)「それはどこに行けば会えるかわかるか?」
ノパ听)「おそらく、VIP城の中にいると思います」
(;ФωФ)「城の中であるか」
- 476 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:21:07.94
ID:b5UxxbAQ0
- それでは会うことはできないな。とロマネスクは手をこまねいた。
そうしていると、背中がちょんちょん、とつつかれる。
(*゚ー゚)「ロマネスク、私もちょっと、色々回ってきても良い?」
( ФωФ)「む?良いが、どこへ行くのであるか?」
うふふ、としぃは笑った。
そして唇に人差し指を当て囁く。
(*゚ー゚)「お と こ が り」
はぁ、とロマネスクは溜息をついた。
なんとまぁ、協調性のないもの達なのだろうか。
- 478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:25:51.68
ID:b5UxxbAQ0
-
気付くと、そこは知らない部屋だった。
いつもの部屋よりも格段に狭く、格段に汚い。
ベッドも硬くて、その寝難さに目覚めたほどだった。
(;´_ゝ`)「あれ?ここどこだ?」
問うても誰も答えない。
木の壁に、声が吸い込まれるだけだ。
恐る恐る体を起こし、部屋の角で小さくなる。
耳を澄ますと、下方から宴会のような、男達の笑い声が響いてきた。
随分薄い壁で、安い作りなのだろう。
隣の部屋で音がするたびに、兄者は飛びはね、さきほど買ったばかりの剣を構えた。
- 481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:31:32.45
ID:b5UxxbAQ0
- ここはどこなんだ。
そして、皆はどこに行ったんだ。
右も左もわからない。
そんな誰もいない場所に一人放置され、
兄者は非常に寂しい気持ちになった。
(;´_ゝ`)(ど、ど、どうしよう……)
皆を探しに行くか、はたまたここで、誰かが来るのを待つか。
どちらも兄者にとっては心細いものである。
(;´_ゝ`)(ええい、>>485!)
- 485 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:35:17.70
ID:kZ656lAj0
- 長い声の猫召還
- 489 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:43:36.03
ID:b5UxxbAQ0
- (*´_ゝ`)(そ、そうだ、こういう時こそ魔法の出番だ。
何かを召還して気を紛らわせよう)
兄者は剣を仕舞い、神経を集中させた。
(#´_ゝ`)「いでよ!長い声の猫!!」
両手を前に突き出し、そう叫んだ。
目の前の空間が歪み、それが現れる。
はずだった。
(#´_ゝ`)「………」
(#´_ゝ`)「………」
(#´_ゝ`)「………」
しかし、まてどもまてども、それは現れない。
( ;_ゝ;)「………」
誰もいなくてよかった。
兄者は心底そう思った。
- 491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:49:22.85
ID:b5UxxbAQ0
- (;´_ゝ`)「仕方ない……とりあえず明かりでもつけよう」
昨日何度も練習して、ようやく使えるようになった魔法だ。
ライト、という低級魔法で、魔法を嗜もうと考えている人なら、子供でも使える。
( ´_ゝ`)「えいっ、ライトー」
いくら「名称を言うのは小学生までだ」と言われても、
名前を言った方が具現化しやすいのだからしょうがない。
しかし、明かりがつくことはなかった。
かわりに、
__ノ´ ̄ ̄´
|\ lVVVVl
/| __ノ´ ̄ ̄´
ヽ\>┴(@)┴<// ノ ̄__||_ =====ッ
〉´ /
\ `〈 /  ̄/|| ̄ || 〃 ============
i ⊂'⊃ ⊂'⊃ i 〃 || ;リ
_|/_ ▽ _\|_ ―--- __
>ヽ -モ_人_チ- / く  ̄ ̄ ―-- _
Z \ ヽノ /__「  ̄
└v'~r-----r^v┘
⊂へ |―――|
| | |‐―――|
ヽニ.|ー―――|
└-------┘
( ´_ゝ`)「今は……出てくるところじゃないと思うんだ……?」
- 496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:55:54.63
ID:b5UxxbAQ0
- (;´_ゝ`)「くそう……昨日せっかくライト使えるようになったのに!」
(;´_ゝ`)「こうなったら意地だ!意地でもライトを使ってやる!」
(;´_ゝ`)「部屋の電気使えば良いだろとかいうつっこみは聞かない!」
(#´_ゝ`)「ライトッ!ライトッ!ライトッ!ライトッ!」
(#´_ゝ`)「ライトッラーイートー!」
(#´_ゝ`)「ラーイトライト!ライトでライト!」
(#´_ゝ`)「ラーイトライトでライトでろー!」
しかし、何度叫んでも明かりがつくことはなかった。
そのかわり、地響きのようなものが、ごごご、と唸る。
部屋中をその轟音が満たしたとき、目の前が明るく光った。
ライトができた。と兄者は喜んだ。
- 498 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:57:29.04
ID:b5UxxbAQ0
- ゴゴゴゴゴゴゴゴ
.@@@
@# _、_@
(#
ノ`)
__〃` ^ 〈_
γ´⌒´-−ヾvーヽ⌒ヽ
/⌒ ィ `i´ ); `ヽ
ゴゴゴ
/ ノ^ 、★__¥★_人 |
! ,,,ノ爻\_ _人 ノr;^ > )
(
<_ \ヘ、,, __,+、__rノ/ /
ヽ_ \ )ゝ、__,+、_ア〃 /
ヽ、___ ヽ.=┬─┬〈 ソ、
〈J .〉、| 母|, |ヽ-´
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| ,, ソ ヽ )
.,ゝ ) イ ヽ ノ
y `レl 〈´ リ
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〉 〈 〉 |
/ ::| (_ヽ \、 ゴゴゴゴゴゴゴ
(。mnノ `ヽnm
( ゚_ゝ゚)「………」
ゴゴゴゴ
- 499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 11:59:21.70
ID:P3EHRf7W0
- どう時空を捻じ曲げれば生贄が必要な母者が召還されるんだよwww
- 500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:02:17.53
ID:Pzh9AsfSO
- 低級魔法なのに最強wwww
- 501 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:02:42.89
ID:FNi4X3jGO
- 何故母者wwwwW
- 502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:04:40.54
ID:/gsRfHlEO
- 魔力だけは凄いんだなwwww
- 503 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:05:11.19
ID:Xo+9QWNZO
- 母者なのに胸板やべぇww
- 504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:05:40.79
ID:b5UxxbAQ0
- @@@
@#_、_@
( ノ`)「あんた……一体何をあそんでるんだい!」
(;´_ゝ`)「い、いや……別に遊んでなんか……」
@@@
@#_、_@
(
ノ`)「これが遊んでなかったら何を遊んでるって言うんだい!?
しかもなんだいここ!人間の部屋じゃないかい!」
(;´_ゝ`)「そ、それは別に俺のせいじゃ……!」
@@@
@#_、_@
(
ノ`)「言い訳は聞きたくないよ!」
@@@ 「覚悟をし!」
\\ @# _、_@
\\\(, ノ`)
/ ^ ⌒\
ノ\ \?/ /
( | .|????
/\丿 | ????? 「ぎゃああああああ!!」
(___へ_ノ ゝ?????
???グシャッ
- 506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:09:10.61
ID:lp7CzS2gO
- 安価消化したwwwww
- 507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:11:11.24
ID:GMGruNi40
- さよなら兄者wwwwwwwwwwww
- 509 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:13:18.44
ID:b5UxxbAQ0
- 兄者は血を吐きながら、床をはいずって母者から逃れようとした。
しかし母者が兄者の足を掴んだため、ばたばたと床で暴れるだけ。
しかもそれだけでは留まらず、母者は更に兄者を殴り飛ばす。
体中、色んなところの骨が折れ、兄者は痙攣しながら血を吐き出した。
(;#;,;_ゝ")「だ、誰か……誰か、助けてくれ……!!」
半ば喘ぐような悲鳴だった。
それでも、異様な物音に駆けつけた人間が駆けつける。
扉が開かれると、兄者は転がるようにして廊下に飛び出した。
- 513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:17:38.25
ID:b5UxxbAQ0
- 从;゚∀从「おい、お前大丈夫か?」
廊下で震えている兄者を、鎧を着た人間が声をかけ、揺すった。
部屋の中を見ると、先ほど召還された母者が霧に紛れ消えていくところだった。
駆けつけた人間の一人が、その姿を見て「魔王だ」と呟いた。
兄者の前の魔王。
この世界に生きる人間であれば、一度は本で見たことのある姿だ。
泣く子を更に泣かせる。そんな存在である。
- 515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:22:38.56
ID:b5UxxbAQ0
- 兄者は差し伸べられた手をとって、大丈夫。と言った。
震えが止まらない上に、殴られたショックで顎がガクガクするから、
実際に発音されたのは
(#;,;_ゝ")「だだだだ、だい、だい、じょじょじょうぶぶぶ……」
というものだったが。
兄者を立たせた人間は、兄者を顔を見ると手を強張らせた。
その手の緊張が兄者にも伝わり、ふとその人の顔を見上げる。
先ほどまで優しかった笑みが、ぴたりと消えていた。
- 516 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:27:56.98
ID:b5UxxbAQ0
- 从 ゚∀从「おまえ……何でこんなとこにいる」
(;;;"_ゝ")「え?」
人間は剣を手に取った。
それで、つ、と兄者の首元を撫でる。
首の皮が裂けて、血がうっすら溢れ出た。
(;;;"_ゝ")「あれ?」
周囲を見れば、彼等もまたこの人間と同じ目をしていた。
魔物が、獲物を見る目に非常に似ていて、
それは、ハンターがモンスターを見る目にも酷似していた。
- 521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:35:45.39
ID:b5UxxbAQ0
- 兄者は恐る恐る、自分の手を見た。
肌色だった肌が、元の自分の色に戻っている。
変身が解けたのだ。
慌てて兄者は剣を抜こうとした。
が、そうする前に、人間により壁に押し付けられる。
そいつは、にたり、と笑って
从 ゚∀从「おい、オレの獲物だからな、手出しすんじゃねーぞ」
と、周囲に威嚇し、
空いている手で、腰に提げた袋から首輪と手錠を取り出した。
モンスターをテイムするときに使う、最近ハンターに人気のアイテムだ。
(;´_ゝ`)(げっ……ちょ、ちょ……!冗談じゃない!)
さてどうする>>527
- 527 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:39:46.61
ID:fOVDkWtZ0
- ライトォォォォッ!と唱える
- 532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:44:29.16
ID:b5UxxbAQ0
- 一か八か。
何かが出ることに期待して、兄者は叫んだ。
他のことをしても意味がない。だから、唯一”何か”がでる魔法を唱えたのだ。
(#´_ゝ`)「ライトォォォォッ!」
すると、辺りを眩い光が包んだ。
- 536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:49:24.52
ID:b5UxxbAQ0
- 人間の目が突如光りだしたのだ。
これは成功と言えるのか、失敗と言えるのか。
从;
∀从「あわわわわわ!なんだこれ!目から何か出てる!」
目から懐中電灯のごとく溢れ出る光は、非常にまばゆいものだった。
非常に間抜けにも見えるが、薄暗い場所の中で光り輝く瞳は2億4千万の輝きだった。
どうにかしてくれ、と他の人間を見ると、その人間はことごとく目潰しに合う。
強いフラッシュをたかれたように、目の前が真っ暗になるのだ。
(;´_ゝ`)「と、兎に角この隙に……!」
- 538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 12:52:45.00
ID:b5UxxbAQ0
- 人の隙間を縫い、兄者は階段を駆け下りる。
从; ∀从「あ!てめえ!まちやがれ!!」
兄者を見た者は「モンスターだ!」と口々に叫んだのだが、
その後を人間が追うものだから、彼等は「モンスターだ!」と叫ぶばかりで
目が見えなくなってしまい、それ以上の活躍は期待できなかった。
モンスターの後を、目から光線をだしている人間が追いかける。
はたから見れば異様な光景である。
- 558 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:23:04.28
ID:b5UxxbAQ0
- とうとう、行き止まりにたどり着いてしまった。
頑丈な石造りの高い壁。
それに背をつけて、にじりよってくる人間を睨みつける。
从 ∀从「くくくく……とうとう追い詰めたぞ、モンスターめ」
その目は相変わらずさんさんと輝いているため、
兄者はさながら、警察に見つかった泥棒のようになっていた。
(;´_ゝ`)「頼む、ここは見逃してくれないか」
从
∀从「断る」
(;´_ゝ`)「世界の半分をお前にくれてやる!」
从 ∀从「魔王か!」
欧米か。のノリで人間はつっこんだが、
まさしくその通りである。
- 561 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:33:32.76
ID:b5UxxbAQ0
- 突きつけた剣も、いとも簡単に撥ねられる。
そして息つく暇もなく、人間は兄者の首に首輪をつけ、
両腕を背中に捻り上げて、手錠をつけた。
壁に押し付けられたまま「うひひ」と背後で笑われて、
兄者は少し、変態にセクハラされる幼女の気持ちがわかった気がした。
从 ∀从「さあ、さっさと歩け!」
人間に、どん、と背中を押されて、
兄者はされるがままに歩き出す。
(;´_ゝ`)(な、なんでこんな目に……)
从 ∀从「安心しろ!変態趣味のおじ様が可愛がってくれるから」
(;´_ゝ`)「全然安心できねえし!」
- 565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:42:54.40
ID:b5UxxbAQ0
- モンスターは売れる。
モンスターを捕まえて
競わせたり観賞したりという目的で、ペットや奴隷にしている。
そういえば、弟者が最初の方でそんなこと言っていたなぁ、と兄者は思い出した。
人間に引きずられるようにして通りに出ると、人々が一斉にこちらを見る。
その中にはモンスター売買人も混ざっていて、人間はその人のところへ走っていった。
_
(;゚∀゚)「うおっまぶしっ!」
从 ∀从「おう!ごくろうさま!」
_
( ゚∀゚)「ああ?何がごくろうさまだ!このモンスターが!」
男はそういうと、人間ともども、兄者を牢の中に放り込んだ。
牢の鉄一本一本にルーンが刻まれている。封印の紋章だ。
- 567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:46:15.49
ID:b5UxxbAQ0
-
_
( ゚∀゚)「Hello Kids!」
_
( ゚∀゚)「キミはもう、たっぷりポケモンつかまえた?」
_
( ゚∀゚)「ポケモン151匹つかまえたキミも、まだまだのキミも、
《ポケモン言えるかな?》に挑戦だ!」
_
( ゚∀゚)「How's your mouth rolling today!」
从#
∀从「………おい」
ご機嫌に歌う男に、人間が怒りを露に声をかけた。
男はめんどくさそうな声を上げたが、振り返ることはしない。まぶしいのだ。
- 572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:52:36.78
ID:b5UxxbAQ0
- _
( ゚∀゚)「ん?なんだよ。安心しろって、ちゃんと良い飼い主見つけてやるから」
_
( ゚∀゚)「こう見えて、俺、モンスターには優しいんだぜ。性的な意味で」
从# ∀从「そうじゃなくてな」
_
( ゚∀゚)「ん?ポケモン?ポケモンっていうのは、このボールに入れてポケットにも入っちゃうから
ポケット☆モンスターっていうんだよ。略してポケモン」
从# ∀从「きいてんのかてめ!」
_
( ゚∀゚)「このモンスターボールには、最近開発された特殊な魔術がかかっていて、
大きなモンスターもこの中にはいっちまうんだ」
_
( ゚∀゚)「あ、人間を入れたら犯罪だぜ☆」
- 573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 13:58:08.54
ID:b5UxxbAQ0
- _
( ゚∀゚)「そういえば、お前らみたいな種類のモンスターはじめて見るな」
_
( ゚∀゚)「どれどれ、何ていう種類かわかんないと売れねえからな」
そういうと、男は鞄の中からある装置を取り出した。
そしてそれを自分の目にかざす。
_
( ゚∀゚)「あ、これ?これはスカウターって言って、相手の能力が見れるんだ」
_
( ゚∀゚)「モンスター図鑑と連動して、
会ったことのあるモンスターを書き込むことができるんだよ」
(;´_ゝ`)「魔物相手に随分とおしゃべりなやつだな……」
从 ∀从「おれはっモンスターじゃねえ!」
- 576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:03:38.03
ID:b5UxxbAQ0
- _
( ゚∀゚)「どれどれ……名称:ハインリッヒ
種族:人間
性別:女
身長:168cm
体重:55kg
好きな体位:うしろやぐら」
从; ∀从「うわああああああああああああああああああああああ」
(;´_ゝ`)「うわあ……」
_
(;゚∀゚)「あ、ごめん、人間だったんだ……」
从 ;∀从「だから言ってたのにいいいいいいいいいい」
- 582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:08:45.81
ID:b5UxxbAQ0
- 男はそこそこ大きな声で話しをしていたため、
周囲にもその会話の内容が聞こえていた。
モンスターを買いにきていた人の中で「うしろやぐら……」
「うしろやぐらだって……」と、噂する。
それはもちろんハインリッヒにも聞こえていた。
彼女のハンターとしての生活は、終わったかもしれない。
男はハインリッヒに謝って、牢から出した。
思いっきりぶんなぐった後、泣きながらこの場を後にした。
- 586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:14:25.15
ID:b5UxxbAQ0
- その後、男は兄者のデータも見た。
兄者はさきほどのハインリッヒの件もあり怯んだが、
逃げる場所がないため大人しくスカウターにかかる。
_
( ゚∀゚)「あれ……これ、壊れたかな?」
男が目に留めたのは種族の欄だ。
モンスターの種類にはないものが書かれている。
しかし、人間でもない。妖精でも、エルフでもない。
魔王。と書かれているのだ。
_
( ゚∀゚)「おっかしいなー……」
男は他のデータも続けて見た。
そして兄者に向かって話しかける。
_
( ゚∀゚)「あのさ、データの確認したいから、当たってるかどうか言ってくんねえ?」
(;´_ゝ`)「え?何、良いけど」
- 591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:22:05.44
ID:b5UxxbAQ0
- _
( ゚∀゚)「年齢:425歳」
( ´_ゝ`)「多分そのくらい」
_
( ゚∀゚)「性別:男」
(;´_ゝ`)「見たら分かるだろ」
_
( ゚∀゚)「レベル:75。意外とレベル高いんだな」
(*´_ゝ`)「あ、俺そんなレベルだったんだ」
_
( ゚∀゚)「あとは……属性:M」
(;´_ゝ`)「おい!ちょっとまて!」
_
( ゚∀゚)「備考:童貞……400年も生きてて童貞か……」
(;´_ゝ`)「やめろ!!ふざけんな!!そのスカウターよこせ!!!」
_
( ゚∀゚)「備考:ネギに処女を( ;_ゝ;)「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお」
_
(;゚∀゚)「ってことは間違ってないのかー」
- 597 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:31:11.75
ID:b5UxxbAQ0
- 首を傾げる男に対し、兄者は牢の中でふるふると震えていた。
周囲の人間の「ネギだって……」「処女をネギに……ねぇ?」
「童貞より先に処女かぁ……俺だったら生きていけないなぁ」という嘲笑が耳に入る。
魔王だというのに、奴隷まがいの扱いを受け、
さらにはこんな辱めを受けて、いたたまれなさに、ぽたぽたと涙を流す。
男が励ますつもりで
_
(;゚∀゚)「大丈夫だよ、俺はお前の味方だぞ!性的な意味で」
と言ったが、どう頑張ってもバカにしているようにしか聞こえなかった。
- 604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:37:47.55
ID:b5UxxbAQ0
- くすくす、と笑われる中、兄者は呟いた。
本当に小さな声だった。誰も聞こえなかったかもしれない。
( ;_ゝ;)「こんな……こんなやつら……み、みんな、殺してやる!」
背に回された手の、手錠に力を込めた。
これには魔力を封じ、吸収するルーンが刻まれている。
しかし、その手錠から、恐れるほどの魔力が立ち上っていた。
瞬間、雷が落ちたような轟音をもって、手錠がはじけ飛ぶ。
ゆらゆらとどす黒い光が、その牢を包む。
兄者はゆっくりと扉に手をかざす。
魔力によって封じられていた鉄の塊は、
兄者が手を触れるのを待つことなく、蒸発して消えていった。
- 614 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:47:13.25
ID:b5UxxbAQ0
- _
(;゚∀゚)「うわわわ、あわわわわ!!」
その黒い光から男は逃げようとした。
しかし、どうしても兄者から目が放せない。
立ちすくんでいる男を兄者は見下ろすと、
静かに牢から下りていった。
その一つ一つの動作は、静かで無駄がない。
周囲の人間は兄者の動き一つ一つを見逃さないように、
瞬きもせずに目で追っていた。
彼等もまた男のように、一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
だが、体が動かない。目が兄者から放せない。
- 620 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:52:12.58
ID:b5UxxbAQ0
-
(;ФωФ)「こ、この気配は、魔王!?」
異様な空気に、魔物の誰しもが気づいた。
暗い空に伸びる、異質な光。
それを追いかけると、不思議なものを見た。
その場にいる全員が、膝を突いて兄者を見上げているのだ。
中央にいるのは兄者だった。
怯えたように両手で顔を隠し、何やらうわごとを繰り返している。
- 623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 14:58:10.38
ID:b5UxxbAQ0
-
( _ゝ )「……人間など………人間など……しねば、いいんだ……」
声は徐々に大きくなり、静まり返った広場に響き始める。
この声を聞いた者はみな涙した。
大きく見開いた瞳を真っ黒く染め上げて、真赤な血で顔を染める。
( _ゝ
)「生きる価値など……」
それらの人は、次第に頭をぐらぐらと揺らし始める。
頭を持ち上げるのも辛くなってくる。
地に伏せる頃には、全身の穴という穴から血を噴出していた。
魔物の全員が集まるのも待たず、
VIP城城下町。”モンスター売り場”を中心とした広場一体は、血の海と化したのだった。
- 628 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:07:30.57
ID:b5UxxbAQ0
- (;*゚ー゚)「きゃっ……やだ、何これ……、酷い血の臭い」
ノハ;゚听)「あわわわ」
しぃが広場に駆けつけると、
血の海にぽつんと立ち尽くした兄者の姿があった。
相変わらず顔を覆ったままの兄者だったが、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
しぃは顔をしかめた。
(*゚ー゚)「ヒート、出来るだけ遠くに逃げて、後で迎えにいくから」
ノハ;゚听)「わ、わかりました」
ヒートが走りさったのを見計らって、
噴水の淵に腰掛けていた弟者が笑う。
(´<_` )「それで、いつ、誰にネギをつっこまれたの?
しぃの時はネギじゃなかったもんなあー」
- 640 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:17:40.13
ID:b5UxxbAQ0
- ぽかんと、首を捻ったロマネスクとしぃとは裏腹に、
兄者はピクリと肩をゆらした。
(´<_` )「いやー、流石は魔王、俺には出来ないことをいとも簡単にやってのける」
お手上げだ。と、実際に両手を上げて見せると、
兄者は再び怒りを露にした。
一度は止んだ黒い光を、更にどす黒く光らせて、剣を抜く。
互いの距離は、互いが指の先ほどの大きさに見えていた距離だった。
だが、その距離を一瞬で無にするほどの速さで、兄者は弟者に飛びかかった。
(#´_ゝ`)「調子に乗るなぁぁぁああああああ!!!!!」
剣を振る。
しかし、弟者もまた剣を抜き、防いだ。
今度は短剣ではなく、本来使っているものだ。
金属音はしなかった。
剣と剣がぶつかり合う前に、互いの魔力がぶつかり合った。
その衝撃波で、周囲の建物が一斉に崩壊をはじめる。
- 647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:29:24.90
ID:b5UxxbAQ0
- 更に力を込める兄者を、弟者は鼻で笑った。
キリキリと耳障りな音を立ててせめぎ合っていた剣だったが、
次第に力の差が現れ始めたのだ。
(#´_ゝ`)「く……くそっ……!!」
兄者の振るった剣に、亀裂が生じている。
所詮その辺の武器屋で量産品。
兄者の魔力に剣が耐え切れないのだ。
亀裂が根本まで走ると、瞬く間に剣は砕けた。
その瞬間を見計らって、弟者は剣を振り上げる。
兄者はその衝撃を喰らい、高く打ち上げられた。
状態を立て直そうと、兄者は空中で半回転する。
が、落ち始める直前、弟者が空を指差しているのに気がついた
何が、とその指の先を見る。
空中で魔力が形を成し、いかずちとなって兄者に直撃した。
- 658 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:37:55.48
ID:b5UxxbAQ0
- それをまともにくらい、兄者は血の海に叩きつけられる。
全身を血だらけにさせて、その場にうずくまった。
膝が笑う。立てない。
(´<_` )「まったく、その程度で勇者に勝てると思ってるのか。
返り討ちに遭うのが関の山だ」
兄者がそれ以上動かないと見ると、
弟者は剣をしまって腕組みをした。
「勇者単品はそんなに強くないと思うわ」としぃは思ったが、
目の前の光景があまりにもすごすぎて、その言葉は口から出ない。
ロマネスクが慌てて兄者に駆け寄った。
這うように兄者がロマネスクにしがみつく。
(;ФωФ)「魔王、大丈夫であるか!」
( ;_ゝ;)「ろ、ロマ……」
悔しさからか、痛みからか。
ぼろぼろとこぼしていた涙は、しばらく止むことがなかった。
- 659 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:40:10.96
ID:b5UxxbAQ0
- それ から どした♪
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
( ・∀・) ( ・∀・) ( ・∀・)
⊂ ⊂ ) ( U つ ⊂__へ つ
< < < ) ) ) (_)|
(_(_) (__)_) 彡(__)
- 665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:47:40.57
ID:b5UxxbAQ0
- ノパ听)「おーい、新聞を手に入れたぞー」
ヒートがぱたぱたと足音を響かせて、玉座の間に飛び込んできた。
仲間はずれにされたことを未だに根に持っているつーが、
ヒートの道を邪魔しようと飛び掛ってきたが、さっと飛び跳ねて避ける。
( ФωФ)「おお、どれどれ……?」
魔物世界には新聞というものはないので、これは人間世界の新聞だ。
先日のあの事件が、でかでかと一面に載っている。
( ФωФ)「『魔王来襲!!勇者手も足も出ず』……か」
(*ФωФ)「ふふふ、人間に魔王の存在が明らかになってよかったものだ」
( ´_ゝ`)「あ……そ」
よろこぶロマネスクだったが、
兄者は気のない返事で、頬杖をつくばかりだ。
- 670 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 15:55:16.01
ID:b5UxxbAQ0
- ( ФωФ)「何を気落ちしておるのです!
人間どもに一泡ふかせられたし、ようやく魔物もこの城に集まってきて、
100年来の賑わいを見せているではないですか!」
( ´_ゝ`)「別に……そんなにうれしくない……」
( ФωФ)「何故ですか!」
(*゚ー゚)(そりゃーきっかけがねぇ……)
(´<_` )「思い出したくもない思い出を暴露されたことにキレてやったことだもんな、
あんまり思い出したくないんだろ、ロマネスクも察してやれよ」
やれやれ、と弟者が肩をすくめる。
その言葉に兄者はむっときたが、
弟者の座っていない方の肘掛を思いっきり叩くだけに留まった。
- 676 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 16:02:52.35
ID:b5UxxbAQ0
- (*゚∀゚)「ま、世界征服に一歩近づいたってことでご愛嬌?」
川д川「でも……あの時城ごとふっとばせば早かったんじゃない?」
(´<_` )「世界征服には色々と手順があるのだ」
川д川「あっ、そうなんだ」
(*゚∀゚)(へー、そうなんだ)
(´<_` )「うむ、ただ壊せば良いってもんじゃないからな」
( ´_ゝ`)(そうなんだ……
人間皆殺しとか言うから関係ないと思ってた)
(*゚ー゚)(王家も色々大変なのねー)
(´<_` )「と、言うわけで、次回からは世界征服に向けてまた頑張るぞ!」
(;´_ゝ`)「おー」
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