( ´_ゝ`)魔王が世界を征服するようです
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:26:53.83
ID:Wc1NCvU20
- 俺はまた、いつものようにその部屋の前にいる。
石造りの城の地下深くにある、真っ暗で牢屋みたいな部屋だ。
厳重に閉ざされた扉に、力いっぱい拳をくれてやる。
どん、と衝撃音がしたが、頑丈な扉は壊れない。
(´<_`#)「おいクソ兄者!いつまでひきこもってんだ!!」
(´<_`#)「いい加減にしろよ!今日でもう100年目だぞ!」
いくら怒鳴っても、扉は無反応だった。
俺はまた、いつものようにその部屋の前で溜息をつく。
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:28:08.48
ID:Wc1NCvU20
- 今から100年前、とある人間の勇者がいた。
勇者はその大いなる力で魔王軍らを破った。
そして魔王も、この城に封印されてしまったのだ。
封印。それは永遠の約束ではないが、
それだけでも世界を魔物から奪い取り、人間のものにするには十分だった。
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:30:26.48
ID:Wc1NCvU20
- (´<_`#)「おい、兄者、兄者だって知ってるんだろ!
今の世界情勢をさ!」
世界を人間に奪われてからずっと、魔物にとっては棲み難い世の中だ。
ハンター等が魔物狩りをするわ、
捕まえてペットにするわ、
そのペットにした魔物を戦わせて、競わせたり。
「人間とモンスターは友達だ!」とか言っちゃってる。バカかと。
とにかく、俺としても、魔物としても、今の現状は鼻持ちならない。
(´<_`#)「……だっつーのによぉ」
いくら俺が、この世界をどうにかしたいと思っていても、
世界を束ねるはずの魔王。兄者がこの通りでは、どうもできないのだ。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:32:32.78
ID:Wc1NCvU20
- 再び溜息をついた。
この溜息で、兄者が封印されてから、一体何万回になるんだろう。
封印と言っても、俺が解いてしまっているから、出ようと思えばすぐに出れる。
兄者にその気がなくて、内側から鍵をかけているだけだ。
「それならお前が魔王になれば良い」
(´<_` ;)「……兄者?」
この100年間、うんともすんとも言わなかった扉が、ようやく口をきいた。
俺がうまれたのは兄者が封印されてからだから、実際声を聞くのははじめてだ。
その声はずっと使っていなかったのだろう。
かすれている上に、時々裏返っている。
「お前、俺の弟なんだろ。なら魔王になれば良いよ。お前ならできる。うん」
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:34:10.30
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` ;)「いや、魔王は兄者なんだから、兄者がしきってもらわないと」
「やだ」
(´<_`
;)「やだじゃなくて」
「ぜってーーーーやだ」
(´<_` ;)「なんでだよ」
「人間なんて嫌いだ。見たくもない」
(´<_` ;)「ただの人間不信じゃねえか!魔王がそんなんでどうする!」
「だからぁー。お前が魔王になれば良いじゃん」
(´<_` ;)「なれないから、こうやって毎日迎えにきてるんだよ。
なれたらとっくの昔に兄者なんてほっといてる」
「……お前冷たいな。お兄ちゃんないちゃうわ」
(´<_` )「……あんたは俺にどうしてほしいんだ」
「どっか行って欲しい」
(´<_`
;)「言ってることが矛盾してるんだけど」
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:36:09.41
ID:Wc1NCvU20
- このままではにっちもさっちも行かない。
せっかく喋ってくれてるんだから、いまのうちにどうにかしないと。
(´<_` )「兄者、わかった。俺が魔王をやろう」
「おお、本当か!」
(´<_` )「ああ、兄者はもう魔王をやらなくても良いんだ」
(´<_` )「だから出て来い」
「な、なんだその理屈」
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:38:16.03
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` #)「良いからでてこいよ。玉座で踏ん反り返ってるだけで良いからさ」
「結局魔王ポジションじゃん!」
(´<_` )「大丈夫だ、めんどくさいことは全部俺がやるから」
「……本当だろうなぁ……」
(´<_` )「うむ。その為に俺はうまれたのだ」
それから暫くの間、扉の向こうからは何も聞こえてこなかった。
ようやく兄者が出てきたのは、数時間経ってからのこと。
いつの間にか兄者はひっそりと扉を開けて、その隙間からこちらを確認していた。
廊下側も扉の奥も真っ暗だった為、その変化に中々気付けなかったが、
兄者の気が変わらないうちに引きずり出すことには成功した。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:40:38.28
ID:Wc1NCvU20
- 長い長い螺旋階段を上って、崩れかけた廊下を渡って。
石畳に根をはった、蠢く蔦の魔物の側を通り抜けて。
最上階に位置する、玉座の間へと兄者を放り投げた。
(;´_ゝ`)「あいたたた!お前は人をいたわるとか出来ないのか!」
(´<_` )「良いからさっさと玉座に座れこのタコ」
(;´_ゝ`)「た、タコォ!?俺ってお前の兄なんだろ!もうちょっと尊敬とか……」
(´<_`#)「良いから座れって言ってんだよカス!」
(;´_ゝ`)「は、はいいいい!」
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:42:46.30
ID:Wc1NCvU20
- 俺が思いっきり背中を蹴り飛ばすと、床を這いながら兄者は玉座に座った。
それは座ったというよりも、上った。と言うようなお粗末なものだった。
が、それを機に玉座は眩い光を放つ。
光は魔力に満ちていて、その光に当てられた物は、
時を巻き戻したかのように生命を取り戻していく。
薄暗かった城内のキャンドルには火が灯り、
崩れ落ちた壁は傷一つ無く。
城内に満ちていた魔物以外、全てが100年前にもどったのだ。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:45:54.18
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「よし」
城内全てが元通りになったのを見届けてから、
玉座にしがみついている兄者の元へ駆け寄った。
( ´_ゝ`)「なー俺もう帰って良い?」
(´<_` )「待て」
着ていた闇色のマントから、俺は王冠を取り出した。
金をベースに、魔力を秘めた宝石がちりばめられていて、
これだけでかなりの重量になる。
それを兄者に被せると、やはり重いのか少しずり落ちてきた。
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:48:12.96
ID:Wc1NCvU20
-
(´<_` )「よし!これで準備は満タンだ」
(´<_`*
)「あとは調子こいてる人間をぱぱーっとやっつけるだけだからな」
( ´_ゝ`)「はぁ」
な!と兄者に笑いかけたが、兄者は胡散臭そうに俺を見上げただけだった。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 19:57:10.33
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「良いか兄者、100年もひきこもってて、ボケてると思うから説明するけどな」
(´<_` )「この世界は海を挟んで2つに別れてるんだ」
(;´_ゝ`)「いや、そんな当たり前のこと言われてもな」
( ´_ゝ`)「海を挟んで東側の大陸が人間の治めるVIP大陸で、
西側が俺のAA大陸だろ」
(´<_` )「だが、今はAA大陸にも人が多いんだ。
ハンターだかなんだか知らんが、どんどん人が来て村が出来ている」
(;´_ゝ`)「なんと……」
(´<_` )「だから、俺らはその偏った人口を元に戻さねばならんのだ」
AA大陸から人間を排除するのが先か、
それともVIP城に魔王復活の挨拶がてら軽く攻め込むか。
いやいや、それよりもまず魔王軍を再結成するのが先か?
(´<_` )「さて、これからどうしようか。>>20」
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:00:20.89
ID:lX6c6fQV0
- ( ФωФ)に喧嘩売る
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:10:06.41
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「ということで、ロマネスクに喧嘩を売ることにした」
(;´_ゝ`)「いやいや、何でそういうことになるんだよ、全く関係ないじゃないか」
(;´_ゝ`)「それにロマネスクにはお世話になってるし、駄目だよ、ロマネスク強いし」
兄者は慌てた様子で俺のマントを引っ張った。
そのしぐさは、親にねだる子供のようで、まるで魔王だとは思えない。
(´<_` )「うむ、だから仲間を集めるために」
(´<_` )「仲間集めには、そいつを倒すのが一番手っ取り早いって攻略本に書いてあった」
(;´_ゝ`)「なんの攻略本だよ!俺にツッコミさせんなバカ!」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:13:23.59
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「とにかくそういうわけだから、ロマネスクの所へ行くぞ」
(;´_ゝ`)「えー、気が乗らないんだけど……」
(´<_`#)「それでも兄者は魔王か!」
(;´_ゝ`)「だってお前が魔王やってくれるっていうから……」
(´<_` )「じゃあ魔王命令だ、行くぞ、さっさと立て、俺の下僕」
( ´_ゝ`)「なんだこいつむかつくんだけど……」
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:18:11.57
ID:Wc1NCvU20
- 城を出たところで、兄者はぼーっとつったっているばかりになった。
何があったのかと問うと、空を見上げてのたまいなさる。
( ´_ゝ`)「竜は?」
(´<_` )「は?」
( ´_ゝ`)「あれ、竜って言わなくなった?ドラゴンのことだよ」
(´<_` )「飛んでけば良いじゃないか」
( ´_ゝ`)「俺、飛べないんだけど。いつもドラゴンとかに乗ってたから」
(´<_` )「………」
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:24:09.30
ID:Wc1NCvU20
- (;#´_ゝ`)「痛い!いっ痛い!痛い!!苦しい!やめろ!死ぬ!!」
ひょう、と風が唸った。
翼が風を切り、冷たい空気が頬を叩く。
(;´_ゝ`)「ほんと!勘弁して!頼むから!もう魔王やだとか言わないから!」
空を飛んでいると、雑音など気にならなかった。
風の声だけが耳を覆って、他のことは何も聞こえなくなる。
兄者を落とさないように、掴んでいる首を握りなおすと、
時々叫び声が聞こえるくらいだ。
(;´_ゝ`)「このっ……おまえ!俺のことなんだと思ってるんだ!!」
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:28:36.34
ID:Wc1NCvU20
- 30分ほど魔王の城から飛び続けていると、密林地帯にたどり着いた。
天気が良いこともあいまって、じめじめとした蒸し暑さがある。
(´<_` )「ロマネスクって、ここで良かったっけ」
(;´_ゝ`)「あ、うん、100年前はここにいたぞ」
(´<_` )「100年前だと微妙だなぁ」
兄者は赤い手跡のついた首を入念にさすりながら歩き出す。
( ´_ゝ`)「言っとくけどなぁ、本当に強いんだからな」
(´<_` )「魔王のくせに、弱気だな」
( ´_ゝ`)「魔王だから強いってわけじゃないだろ」
(´<_` )「そうなのか」
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:31:20.90
ID:Wc1NCvU20
- ( ´_ゝ`)「考えてもみろ、人間の王なんて、ちょおおおおう弱いじゃないか」
(´<_` )「確かに、強いのはその周りだもんな」
( ´_ゝ`)「そうそう、だから俺なんか、周りに強い魔物がいないと簡単に封印されちゃうわけ」
(´<_` )「ああ、魔力だけ有り余ってるクズってことか」
( ´_ゝ`)「お前初対面のくせにすごいむかつくんだけど」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:34:53.85
ID:Wc1NCvU20
- 話をしながら歩いていると、突然兄者がずっこけた。
そのずっこけかたがあまりに酷い。
手で受身を取ればいいのに、顔面から地面にぶつかったのだ。
そして、
(´<_` )「大丈夫か?」
なんて言って助け起こす暇はなかった。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:40:15.76
ID:Wc1NCvU20
- チリン、チリン、とジャングルの中で鈴がなり響く、
その背後で、影があちこちに飛び回る。
それは威嚇ではなく、まさに攻撃する気配が漂っていた。
素早さにより、どこにいるのか、どこから来るのかを惑わせる。
(#ФωФ)「たぁあぁあああああ!」
(´<_`#)「おっ……!」
が、背後から爪が襲い掛かったのは明確だった。
その辺のやつらと俺を一緒にしないで頂きたい。
俺は右腕を上げて、ロマネスクの爪を食い込ませた。
肉が裂けるが、勢いは俺の方がある。
そのままロマネスクを木に向かってぶつけてやった。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:46:11.51
ID:Wc1NCvU20
- (;´_ゝ`)「うわぁ……ぐろっ……」
(´<_` )「うるさいな」
ロマネスクはすぐに体を起こした。
元々木にぶつかっただけだ、大したダメージは与えられていない。
(#ФωФ)「ふんっ」
そのまま空中に飛んだかと思うと、体を半回転させ、腕を大きく振るった。
途端、空気が大きくぶれる。
(´<_` )「カマイタチか……!」
それも一つだけじゃない。
無数のカマイタチが、広範囲に広がって襲ってくる。
かわしきれない。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:52:22.96
ID:Wc1NCvU20
- その時、兄者が俺の横から手を伸ばした。
両手のひらを目の前に突き出して構える。
カマイタチは、その手に当たる前に拡散して空気中に消えていった。
(;´_ゝ`)「あのさあ、ちょっとちょっと、俺だよオレオレ!」
次の攻撃が来る前に、兄者は前に躍り出て、ロマネスクに手を振る。
その様子を見て、木々の間からロマネスクがひょっこりと顔を出した。
( ФωФ)「む、俺であるか、久しぶりであるな」
(*´_ゝ`)「そうそう、俺俺!」
(#ФωФ)「我輩には俺という知り合いはおらああああああん!」
そして体当たりで兄者につっこんでくる。
もろに当たった兄者は、そのまま数十メートル先まで吹っ飛んでいった。
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 20:58:07.88
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「あれ、兄者の知り合いなんじゃなかったの」
肉が割けて真っ二つになった右腕を撫でながら、ロマネスクに声をかけた。
兄者、と言うとロマネスクは首をかしげて俺を見る。
(;ФωФ)「お、おお!お主、兄者……魔王であったか!とんだ失礼をした!」
(´<_` )「あ、いや、俺は良いんだけど」
( ФωФ)「いやぁ、100年も経つと人の顔など思い出せなくてな。
それで魔王よ、封印されておったと聞いたが、いつ復活したのだ?」
(´<_` )「ついさっき」
( ФωФ)「おお!記念すべき今日の日に我輩に会いに来てくれたのであるか!
何の用であろう!我輩全力を持って受けさせていただくぞ」
(´<_` )「えーと、喧嘩をしに」
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:03:31.63
ID:Wc1NCvU20
- (;ФωФ)「なんと!喧嘩であるか!
申し訳ないが、我輩魔王に手を上げるなど恐れ多くて……」
(´<_`;
)「いや、たった今、手どころじゃなくて体当たりしてたけど」
一通り撫でて、右手がくっついたことを確認する。
それから兄者の元へと走っていった。
案の定目を回してぶったおれている。
(´<_` )「おーい、兄者〜〜、大丈夫かー」
( #)_ゝ`)「お、お、おお……」
何度か往復ビンタを続けていたら、ようやく目を覚ました。
魔王のくせに、なんて世話のかかるやつなんだろう。
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:09:30.04
ID:Wc1NCvU20
- ( #)_ゝ`)「おお、ロマネスク……久しぶり……」
(;ФωФ)「おや、魔王が二人?」
(´<_` )「えーと、そっちが魔王。俺は弟」
( #)_ゝ`)「ロマネスク、お前相変わらず手が早いっていうか、気が早いっていうか……」
(;ФωФ)「すまないことをした」
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:11:04.02
ID:Wc1NCvU20
- ( ФωФ)「それで、喧嘩をしに来たと聞いたのだが、本当か?」
(;´_ゝ`)「まさかまさかとんでもない!」
( ´_ゝ`)「また前みたいに、城にきて欲しく思ってきたのだ」
( ФωФ)「なんと、そんなことなら問題はないぞ」
(*´_ゝ`)「そうかそうか!よかったよかった!」
二人は手を取り合って、笑いあった。
そして100年前の話に花を咲かせる。
俺がうまれる前の話だから、内容はよくわからない。
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:15:46.23
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「それで、ここに用がないなら帰るんだが」
( ´_ゝ`)「む、そうだな。じゃあ帰るとするか」
( ФωФ)「我輩もついていくぞ」
(´<_` )「……あんた飛べる?」
( ФωФ)「……10秒くらいなら、跳ねれるぞ」
(´<_` )「………」
( ´_ゝ`)「こいつのタクシー最悪だから、走ってきたほうが良いかmぐっ!」
仕舞っていた翼を羽ばたかせて、兄者の首を引っつかんで。
俺は再び城への帰路についたのだった。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:18:51.75
ID:Wc1NCvU20
-
空がなにやら不穏だ。
いつもならサンサンと照りつける太陽が眩いばかりなのに、
今日はその中に冷たさがまじりこんでいる。
(;><)「うーん、こっちの方向で良いんですかねー」
( <●><●>)「あなたに地図を任せたのが間違いでした」
(;><)「そんなこと言わないでほしいんです!
これでも僕がんばってるんです!」
こう見えて僕らはハンターだ。
世界にはびこる、無数のモンスターどもをやっつけるという、
子供なら誰しもが憧れを抱く職業だ。
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:21:38.71
ID:Wc1NCvU20
- ( ><)「それにしても、いくら倒しても倒しても、ゴキブリみたいに湧いてくるんです」
( <●><●>)「良いことじゃあないですか」
( <●><●>)「モンスターが居なくなってしまったら、私たちは食べていけませんからね」
(;><)「そうなんですけど、村の人たちは安心して生活できないんです」
( <●><●>)「良いことじゃあないですか」
( <●><●>)「村の人は困っているから、モンスターの為にお金を出すんです」
( ><)「ワカッテマス君って、なんて腹黒いんですかね!」
ふい。とソッポを向いて歩き出したのに、
ワカッテマス君が僕の肩を叩いてきた。
謝るのかと思いきや
( <●><●>)「ニューソク街はそっちじゃありませんよ」
なんて、しれっとした顔で言うものだから、怒りを通り越して呆れるのも無理はないと思う。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:24:57.37
ID:Wc1NCvU20
- ハンターは、確かに金を稼げることができる。
モンスターを倒して、素材を集めて売るのも勿論だけど、
最近ではモンスター自体を捕まえて売るっていうのが流行りなのだ。
( ><)「そういうことはもっと早く言って欲しいんです!」
( <●><●>)「あなたが地図役をやりたいって言ったんじゃないですか」
だからお金目当てでハンターになる人が殆ど。
まぁ僕らもそのうちの一人なんですけど。
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:26:36.35
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「あ、見えてきましたよ、街です」
( ><)「あ、本当だー……」
( ><)「結局僕もそんなに間違った道を選んでなかったと思います」
( <●><●>)「途中で何度も私が道を正したからでしょう。
いい加減方向音痴をどうにかして下さい」
(;><)「ぐう……言い返せないんです」
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:28:32.64
ID:Wc1NCvU20
- やっとのことで街について、長旅に疲れた僕は、さあ宿屋に止まってさっさと寝るぞ!
と意気込んでいたのに、せっかくついた街の門は硬く閉ざされていた。
( ><)「すいませーん!」
と大きく声を張り上げると、ようやく門番らしき鎧がはるか頭上に現れた。
( ><)「僕らハンターなんですけどお!なんで閉まってるんですかー!
あけて欲しいんですー!」
「お前らが人間っていう証拠はー!?」
(;><)「えっ、ええっ!?人間っていう証拠っていわれても……。
頭が一個あって、手が二本あって、足が二本あるんです!」
「ほとんどの動物がそれに当てはまるぞー!」
- 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:32:09.72
ID:Wc1NCvU20
- そんなこと言われてもこまる。
何でこの門番はこんなイジワルなことを聞くのだろう。
そう思って怒鳴ってやったけれど、門番は門番で真面目な顔で僕らを見ていた。
( <●><●>)「僕らの所属している、ブーン系ギルドの会員カードです。
これでは証拠になりませんか?」
「おー!確かに本物だ!門を開けるからさっさと入れー!」
ただうろたえるだけの僕とはうってかわって、
冷静なワカッテマス君のおかげで門が開いた。
感激して、一人で拍手をしていると、「早く入って下さい」と言われてしまった。
その声があまりにも冷たくて、僕は少し落ち込む。
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:38:12.44
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「何故このような厳重体制なんですか?」
( ・3・)「なんだ、君しらないのかYO。魔王が復活したんだってYO」
軽鎧に身を包んだ兵が肩をすくめてそう言った。
厳重に空を見上げている他の兵と違って、飄々としている。
( ><)「魔王が……!?」
( ・3・)「SOSO。だからこうやって門を閉めてるのSA」
( ・3・)「MA、魔王が本気で攻めてきたらこんな街なんてひとたまりもないと思うけどNE」
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:41:09.73
ID:Wc1NCvU20
- それだけ言うと、しっしっ、と犬を手で追い払うように僕らに手を向けた。
暇そうにしているんだから、別に話をするくらい良いじゃないか。
( <●><●>)「それにしても、魔王ですか……」
(;><)「怖いですね……、今までみたいに簡単にモンスターも倒せなくなりますよ」
( <●><●>)「ねらい目ですね」
( ><)「はい?」
( <●><●>)「だから、魔王ですよ。魔王が復活したんです」
ふっふっふ、と笑うワカッテマス君は、ちょっとどころじゃなく気味悪い。
- 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:43:48.91
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「魔王を倒せば英雄になれます」
( <●><●>)「英雄になれば、国から資金がもらえます」
( <●><●>)「魔王の持っている装備や、城にある宝を奪えば金になります」
( <●><●>)「つまり、一生遊んで暮らせます」
(;><)「あんまりワカッテマス君だけで喋らないで下さい。
黒く光って目に痛いんです」
ぽかりと頭を叩かれた。
表情はいつも通りだけど、本気のようで結構痛い。
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:47:26.93
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「かの勇者の父、バドも言いました」
( <●><●>)「若い頃勇者になるつもりだった。修行もした。だが肝心の魔王がいなかったのだ。
今の世は魔王がいる。幸せだ!と!」
( ><)「誰ですかバドさんって」
( <●><●>)「つまり、勇者になれば将来は安泰ってことです。
さあ魔王を倒しに行きましょう」
(;><)「いやいやいやいや」
- 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 21:51:46.31
ID:Wc1NCvU20
- ( ><)「そもそも魔王っていうのは、
そんじょそこらにいる程度のLvじゃ勝てないと思います」
( ><)「僕らなんか、ハンターズレベルで言うと、中の下程度ですから!」
( <●><●>)「じゃあ何か策を打ちましょう」
( ><)「策ですか……あんまり乗り気じゃないんですけど」
( <●><●>)「そうですね、ならここは安価で、変なのでても恨みっこ無しで」
(;><)「まー安価なら仕方ないんです」
( <●><●>)「>>82の方にお伺いしましょう」
- 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:04:57.83
ID:zPIXHRHw0
- 先に世界征服
- 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:10:27.05
ID:Wc1NCvU20
- ごめんちょっと、一人称に挑戦してみたものの、結局苦手なので三人称にします。
- 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:11:40.33
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「と、いうわけで、魔王よりも先に世界征服することにしました」
(;><)「いやいやいやいやwwwwwwwwちょwwwwwwwwをまwwwww」
( <●><●>)「なんですか草なんかはやして」
(;><)「どう考えてもおかしいんです!
僕らが世界征服したところで何にも問題は解決しないと思います!」
( <●><●>)「いいえ、これは意外といけるかもしれません」
(;><)「無理だと思います!」
- 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:15:45.47
ID:Wc1NCvU20
- 私「私が世界を征服した、新しい支配者です」
魔王「なんだと、それでは私に世界を下さい」
私「私の僕になったら世界を半分くれてやろう」
魔王「ははあ、ありがたく頂戴致します」
私「それでは私の言うことはきちんときくのだよ」
魔王「もちろんです」
私「王、魔王を捕まえました」
王「なんと、おぬしが勇者か」
(;><)「ワカッテマス君!どこに頭のネジ落としてきたんですか!!」
- 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:19:39.18
ID:Wc1NCvU20
- ( <●><●>)「まあそういうことだから、さっさとVIP城に乗り込みましょうか」
( <●><●>)「こんな辛気臭い街からはおさらばですよ」
(;><)「ええっ!せめてあったかい布団で寝てからいきたかったんです!」
( <●><●>)「良いですか、布団は待ってくれますが、魔王は待ってはくれません」
(;><)「正しいような気もするけど、何か違うんです!」
- 88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:24:46.04
ID:Wc1NCvU20
-
魔王は居心地の悪そうに玉座に座っていた。
一人で座るには十分な広さのはずだったのだが、
今は自らの弟と自称する者が、玉座の左の肘掛に踏ん反りかえっているのだ。
(´<_` )「それで、やはり街や村の1つくらい潰しても良いと思うんだ」
その弟が、魔王の頭をぽんぽんと叩きながら提案した。
魔王は鬱陶しそうにその手を払うが、気にした様子はない。
( ´_ゝ`)「3人しかいないのに?」
( ФωФ)「我輩が居れば100魔物力である」
( ´_ゝ`)「語呂わりぃー」
(´<_` )「兄者は戦力外だから実質2人だな」
(#´_ゝ`)「くそ……こいついちいちむかつく……」
- 90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:29:38.91
ID:Wc1NCvU20
- ( ´_ゝ`)「あ、でもあれだろ、ロマネスクにも部下いただろ?」
( ФωФ)「全員人間に殺されたのである」
(;´_ゝ`)「あ………ごめん……」
(;ФωФ)「いいや、皆、魔王を護るためにちって行ったのである。
何をあやまることがあろうか!」
(;ФωФ)「むしろ、護りきれず封印などされて
我輩申し訳ない気持ちでいっぱいである……」
(; _ゝ )「うっ……」
ロマネスクの言葉は、精神的にチクりときた。
ただでさえ居心地の悪い空間を、更に悪化させる。
- 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:34:23.67
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「しかし、魔王のくせに、声かけて来るやつ他にいないのかよ」
(´<_` )「普通魔王復活って言ったら、
魔物の実力者たちがこぞって城にかけつけるもんだろ」
(;´_ゝ`)「あ……いや、それは……」
(;ФωФ)「弟者殿、魔王に使えていた者は殆ど人間にやられたのである」
(´<_`; )「あー……」
( ´_ゝ`)「今生きてるやつが誰だか、俺も知らんし……」
(´<_`;
)「仲間集めからしなきゃいけないって、クソめんどくさいな!
どこのLv1勇者パーティだよ!」
( ´_ゝ`)「何も言うことはない……」
(´<_`; )「あーうーん、じゃあ、あれだ、まず>>97をするぞ」
- 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:37:44.87
ID:SryaRer6O
- >>92を探す
全力で
-
- 92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:30:59.34
ID:DBIfexJy0
- 他に仲間いないのか
セクシーサキュバスとかどじっ娘魔女とか美人精霊とか
獣娘とかロリ系小悪魔とか
- 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:38:01.49
ID:DBIfexJy0
- こんなむさ苦しい魔王軍いやです><
- 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:40:01.98
ID:u8ZXVqNI0
- >>97
GJ!!
- 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:41:22.48
ID:WpraWrmDO
- >>97
GJ!!!
- 101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:41:58.03
ID:hK+dpwwtO
- >>97
GJ
- 102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:42:11.47
ID:Wc1NCvU20
- (´<_` )「というわけで、仲間を探すことにした。
時間短縮のために手分けして探そう」
( ФωФ)「了解なのである」
(*´_ゝ`)「おれ!おれ!セクシーサキュバスと美人精霊が良い!」
(*´_ゝ`)「玉座にはべらせたい!」
(´<_` )「お前は床にでもはべってろ」
- 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:45:50.57
ID:Wc1NCvU20
- ( ´_ゝ`)「うーん……というわけで、城を出てみたのは良いんだが」
兄者は空を見上げた。
一面に青空が広がり、その先にはずっと森や草原が広がっているばかりだ。
(;´_ゝ`)「みつかんのかぁこれ?」
弟者といえば空を飛べるし、ロマネスクは飛べないと言えど、その脚力が半端ない。
それに比べて、魔王である兄者は、特技といえる特技がない。
(;´_ゝ`)「くそっ、魔王のくせになんだこのステータスの低さ!」
文句を言っていても仕方が無い。
黙々と森の中を歩いていった。
- 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:51:08.74
ID:Wc1NCvU20
- 歩き難いことはないが、100年もひきこもっていた魔王には、
歩くだけで中々しんどい作業だった。
それに、魔王の城の周辺には、うじゃうじゃとモンスターが潜んでいる。
魔王である兄者に襲い掛かるということはまずないが、
それでも気味の悪い生物が多いことは確かだ。
( ´_ゝ`)「うーん……」
( ´_ゝ`)「バグベアー……コカトリス……」
(;´_ゝ`)「ドレッドスパイダー……ハニービー……」
(;´_ゝ`)「ジャイアントアント……ムリアン……虫多いな!」
- 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:55:08.58
ID:Wc1NCvU20
- 早く人型の魔物に会いたいものだ。
兄者は歩を早めると、森の一部がひらけたようになっていた。
集落のようだった。
(*´_ゝ`)「これは期待できるぞ!」
小走りに近づいてみると、人影があった。
テントがはってあり、焚き木の中で火が踊っている。
「おおい」と言おうとした矢先、喉元に刃物が突きつけられた。
- 109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 22:59:14.47
ID:Wc1NCvU20
- ノハ#゚听)「モンスターだ!!みんな、出会え!!」
(;´_ゝ`)「げえ!人間!!」
ノハ#゚听)「人型だ!レベルも高そうだ!捕まえるぞ!」
( ゚д゚ )「把握!」
集落はハンター達のものだったのだ。
女が叫ぶと、あちこちのテントから人の頭が現れては、
それぞれ武器を持って飛び出してくる。
兄者もまた戦闘体勢に入ろうと、腰に手を伸ばした。
が、武器など一つももっていない。
人などいないとたかを括っていたせいだ。
- 110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:03:49.07
ID:Wc1NCvU20
- 慌てて、転がるように走っていった。
その後をすぐハンターが追いかける。
川 ゚ -゚)「……くらえ!」
ハンターの中には弓を持っている者が多い。
その弓の一斉射撃。
レベルの低い者だったら当たらなかったかもしれない。
だが、AA大陸の、この城の周辺にまで来ているほどのレベルのハンターだ。
丸腰の魔王など、まともに戦っても容易に勝てるだろう。
(;´_ゝ`)「うぐっ……」
何本もの矢が兄者の背に突き刺さった。
場所によっては貫通している。
筋肉を動かすたびに軋み、はじけるように痛む。
- 113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:08:42.50
ID:Wc1NCvU20
- (;´_ゝ`)「やばい、やばいやばいやばい!」
なるべく兄者はモンスターの多い地域を逃げるように心がけた。
しかしそのモンスターなど彼等の目には入っていなかった。
所詮は雑魚なのだ。
人型のモンスターの方が、レア値が高い。
どうにかしなければ、捕まってしまう。
兄者は何か武器になるようなものを探しながら走った。
(;´_ゝ`)「ああ、もうこれでいいや!」
と、拾ったのは、ひのきの棒。
ないよりはマシだと思い、兄者はハンターに向き直った。
- 116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:12:41.95
ID:Wc1NCvU20
- (;´_ゝ`)「ええと、攻撃魔法、攻撃魔法……やばい、やばい!
俺って何できたっけ!」
が、100年のブランクは伊達ではない。
昔であれば、欠伸をするよりも楽に出せたものが、何もだせないのだ。
(;´_ゝ`)「ええと、ええと、あ、思い出したぞ!」
兄者はひのきの棒を構えて、ハンターに向けた。
もうすぐそこまで迫っているが、問題はない。
息を大きくすいこんで、唱えた。
| / > > _/
|  ̄|.ィ
ゝ 〉 _┌┘ ┌─、_
└‐┐ \__,ハ Y ゝr―-、,. -┬- 、 _r┘┌──┘
l__ ヽ / └〜〜〜-┘ _\ ̄ ̄
|/ ̄ゝ `-'\ /
Vへへへ./|へへr┘ `、__|\/\/\/|/|__
`\厂\, // / | > 二二``
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|儿|l_|_|!_|_l|_| |_l_|_|!_j_|_j> ノ ノ <
 ̄L.へ、 r-、 (~ヽ r‐ヽ 二Uニ` ´ニU二 /、> イ / <
,.ヘ..二=-_\ \ヽ \
| ̄|._ , - 、 /__.> ヽ /__ヽ <
_,/ ̄ `‐- ..`_ ´ | | ノ、 ‘、__ノ /、
> __ノ <
'-‐〃-、_____,| Lニ= ┐ ̄ ̄//>、> /// <
/l ,/`-‐'〈 「`ー|___ __.. | 「 / rー;  ̄| ・・・ <
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_/ `ー:―‐''"| | | | |/ |/ /\  ̄|/V\/V\厂
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- 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:19:06.06
ID:Wc1NCvU20
- 川;゚ -゚)「くっ……!?」
ハンターは構えた。
魔法が来る。と思って。
しかし、何も起きない。
そっと目を開けると、真っ青な顔をしたモンスターが一人。
かぶりを振って「うそだ、うそだ」と連呼している。
しかも半泣きだった。
ノハ;゚听)「………」
( ゚д゚ )「………」
川;゚ -゚)「……と、とらえろー!」
- 130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:26:27.06
ID:Wc1NCvU20
- ハンターは鎖を取り出して、輪の部分を兄者に投げかけた。
ルーンが刻まれた魔法の鎖。
モンスターを捕らえるのに、ハンターがよく使用するものだ。
それが兄者にふりかかる、その瞬間。
真紅の、血のように紅い影が横切った。
鋭い爪と牙で鎖を跳ね返し、兄者の目の前に構える。
豹を大きくしたような姿の魔物だった。
- 132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:30:57.19
ID:Wc1NCvU20
- (#゚∀゚)「この腑抜け魔王!乗れ!」
(;´_ゝ`)「え?あ、あああおう?」
(#゚∀゚)「良いから乗れっつってんだよ!
このオレサマでもこの人数は相手しきれねーっつの!」
グルル、と睨まれて、慌てて兄者はその背に乗った。
ハンターは再び矢を放ってきたが、紅い魔物は素早くそれを避ける。
ただしそれは本人だけのもので、
兄者はそのうち数本を、頭と肩に受け止めた。
(*゚∀゚)「まったく、バカじゃねえのか!復活してそうそう捕まってどうすんだよ!
俺ら普通の魔物のことも考えろ!」
森の中を疾走しつつ、紅い魔物が吼える。
兄者は必死でしがみついているしかできなかった。
- 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:37:12.39
ID:Wc1NCvU20
- 城につくころには乗り物酔いがひどかった。
魔物の背中でぐったりとして、死にかけている。
(*゚∀゚)「おい!起きろ!降りろ!おい!」
という魔物の呼びかけにも無反応だ。
(*゚∀゚)「ったくしゃーねえなぁ。城とか入ったことねーんだけど」
魔物の気配のする玉座の間まで兄者を運び、
玉座でくつろいでいる、魔王とそっくりの人物の前で荷物をおろした。
- 140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:41:58.46
ID:Wc1NCvU20
- (´<_`; )「うわ、何があったんだ、ぼろ雑巾じゃないか」
(*゚∀゚)「ハンターに襲われてたぞ、この魔王。大丈夫か?」
4本足で歩いていた獣は、ぐぐ、と体を伸ばす。
ところどころ獣のままだったが、シルエットは人型にまでなった。
(´<_` )「駄目だと思うけど、ありがとう。えーっと」
(*゚∀゚)「アヒャ種のツーベル。つーで良いよ」
つーは兄者を揺さぶる。
口元に手を押さえながら、兄者は「ゆらさないで…」と力なく呟いた。
- 144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:49:29.05
ID:Wc1NCvU20
- (*゚ー゚)「うふふ、魔王ってはじめて見るけど、そんなに怖くなくてよかった」
(´<_` )「なんだ、怖いの想像してたの?」
(*゚ー゚)「だって、魔王っていうくらいだもの」
玉座の横に立っていた女が、くすくすと鈴を転がすように笑った。
その女の声におどろいて、兄者は顔を上げて玉座を見る。
怪しげに、黒いしっぽを揺らしている、妙に露出の高い女と、
ゆらゆらと、薄く発光している神秘的な女が、玉座の両隣に立っていた。
- 146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/04(月) 23:53:25.35
ID:Wc1NCvU20
- (;´_ゝ`)「お、おい、おま、おま……それ」
(´<_` )「ああ、兄者がセクシーサキュバスと美人精霊が良いっていうから」
(*゚ー゚)「やだ、セクシーだなんて」
うふふ、と笑うサキュバスに対し、精霊はぺこりと頭を下げた。
サキュバスは弟者の腕に体を絡めて、こてん、と首をかしげている。
はたから見れば普通の魔物のカップルだ。
(; _ゝ
)「う、裏切りもの!!何が!何が俺が良いって言うからって!!」
- 151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:03:15.04
ID:EvQFRELh0
- 兄者の叫びは、つーによって遮られた。
頭を押さえて、口の中に布をつめられる。
(*゚∀゚)「魔王あんまり動くなよ、今、矢とるから。
痛いと思うから、布でも噛んで耐えてろ」
言い終わる間もなく、背中から矢が引き抜かれた。
つーはつーで、ぐりぐりと無理やり引き抜くから、痛さが倍増させられている。
ばたばたと暴れるのを、弟者とつーと、それからしぃに押さえられて、
最後の一本が抜けるまで、兄者は痛みで気絶することもできなかった。
- 154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:07:04.77
ID:EvQFRELh0
- その死にかけている兄者を玉座に戻すと、
ロマネスクが申し訳無さそうに、とぼとぼと扉から現れた。
その顔には大きく引掻き傷のようなものが増えている。
( Ф彡Ф)「………」
しょんぼりとしたロマネスクは、玉座の前で項垂れた。
( Ф彡Ф)「我輩は勧誘というものは苦手らしい」
(´<_`; )「あんた一体何したんだ……」
問いには答えずに、やはりしょんぼりと項垂れた。
- 155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:13:29.53
ID:EvQFRELh0
- (´<_` )「まーとにかく、仲間集めもすんだし、これで攻めこめるよな」
( Ф彡Ф)「そうであるな。6人となると、そこそこの人数である」
( Ф彡Ф)「……100年前のこの城を知っている身としては、かなり寂しいものがあるが……」
再び100年前の話題をだされて、弟者は少しむっとした。
魔王が封印される前の話など、されても弟者にはわからないのだ。
(´<_` )「……そういうのは、これからおいおい戻して行けば良いだろう」
( Ф彡Ф)「それも一理ある」
(´<_` )「というわけで、次に何するか決めよう」
( Ф彡Ф)「うむ、>>160が良いのではないかと思うのだが」
- 160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:16:43.65
ID:FBUIxc6V0
- とりあえず腹ごしらえしようぜ
- 166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:22:38.67
ID:EvQFRELh0
- (´<_` )「あー、確かにそろそろ腹減ってきたもんな」
( ФωФ)「であろう?」
と、二人が言うと、つーが両手の肉球を交互にふにふにさせて、
目を輝かせた。
(*゚∀゚)「め、めし!?なぁ、オレサマも食べて行って良いか!?」
( ФωФ)「勿論である。今日から我輩たちは皆仲間なのであるからな!」
(*゚∀゚)「やったー!ナカーマナカーマ!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるつーを横目に、
しぃは相変わらず「うふふ」と笑いながら首をかしげた。
(*゚ー゚)「でも、誰が料理するのかしら?ここってコックとか居るの?」
すると、一瞬にして場が凍りつく。
- 169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:28:51.35
ID:EvQFRELh0
- (´<_` )「いない……な。
俺、ずっと人間くってたからなんとも……」
(*゚∀゚)「オレサマも肉だ!肉食だからな」
(;ФωФ)「我輩も似たようなものである。焼いて塩かけただけで……」
(*゚ー゚)「私はちゃんと料理したのじゃないと嫌よ。
でもずっと下女のサキュバスがやってくれてたから、したことないわ」
と、4人の視線が精霊へと集まる。
一瞬びくりと肩を震わせた精霊だが、やはり4人と同じように首を振った。
川; 川「したことないわ」
(´<_`; )「これは……あれだな。
安価で、あたったやつが責任を取ってつくろう」
(;゚ー゚)「ええ!私出来ないわよ!」
(´<_`;
)「俺だってできないよ! とにかく、>>173!」
- 173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:33:36.43
ID:u1n/WDoN0
- つー
- 176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:40:19.05
ID:EvQFRELh0
- (´<_` )「っていうことで……」
(*゚∀゚)「お?オレサマか!まかせろ!」
ぴょんと一度跳ねると、再び獣の姿になって、窓から飛び降りて行った。
呆けていた魔物の中で、しぃだけが苦い顔になる。
(;゚ー゚)「いっちばんまともなの作ってくれなそうな子に当たったんだけど」
( ФωФ)「まぁ、食堂に移動しよう」
(´<_` )「おう」
(;゚ー゚)「ねえちょっと聞いてるー?私生肉なんて嫌よ!?」
- 179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:44:35.38
ID:EvQFRELh0
- しばらく待っていると、すぐにつーは現れた。
どこに行っていたのかは、誰もが単純に予想できた。
つーが咥えてきた巨大な袋の中に、人間の子供が入っていたからだ。
(*゚∀゚)「やっぱ子供が一番だよな」
(´<_` )「同意」
( ФωФ)「流石はつー殿、わかってらっしゃる」
(;゚ー゚)「魔物だからって何でも許されるわけじゃないんだからね!」
- 180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:50:53.45
ID:EvQFRELh0
- しぃがテーブルを叩いて、怒りを露にすると、
弟者がしぃの顎を指でくい、と上げた。
(´<_` )「わかってるよ。サキュバスだもんな、こっちがほしいんだろ……」
そのまま壁に押し付ける。
ひんやりとした壁と、弟者の熱い吐息に、しぃは溶かされそうになりながらも口付けを
(#´_ゝ`)「うわあああああああああああああああああああ!!くぁあああああああああ!!!」
(;*゚ー゚)「うっひゃあ!!何!?急に大きな声を出さないでよ!」
(#;_ゝ;)「魔物だからって!サキュバスだからって!
何でも許されるわけじゃないんだからな!」
- 182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 00:58:24.33
ID:EvQFRELh0
- (*゚∀゚)「魔王、そんな急に暴れると、傷が開くぞ?」
( ;_ゝ;)「傷なんてとっくに開いてるよ!心の傷ってやつがな!
魔族の敵は人間だとしても!俺の敵は!目の前のこいつだ!」
(*゚∀゚)「おちつけ魔王、血が漏れてる」
( ;_ゝ;)「この溢れる血はっ!俺のっ!心の涙だっ!」
弟者に殴りかかろうとする兄者を、つーが羽交い絞めにして押さえ、
兄者視線の先ではサキュバスと、自称従者がラブコメを繰り広げている。
その光景を、少し離れたところでロマネスクと精霊が傍観していた。
川д川「楽しそうだね」
( ФωФ)「何よりなのである」
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