( ´_ゝ`)魔王が世界を征服するようです
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:01:04.51 ID:ZZLLnyWu0
-
まとめてもらってるサイトに、間接的に脅されました。
逃亡しようと思ってたのにあんなでかでかと……いやがらせか。スペース配分ミスりすぎだ。
http://boonkusomiso.suppa.jp/maou-sekaiseifuku/maou-sekaiseifuku.html
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:02:12.00 ID:ZZLLnyWu0
- 前回のあらすじ
・人間と魔物の戦争がはじまるぞー
今回のあらすじ
・戦力が足りないので仲間を集めるぞー
今回の主要メンバー
( ´_ゝ`) 魔王 のようなもので一発
( ФωФ) 獣人 どっちかというと人寄り
(*゚∀゚) 獣人 どっちかというと猫寄り
ξ゚听)ξ 氷 見た目は幼女、頭脳は子供
( ゚∋゚) 鳥人 常に燃えている
今回のポイント
ξ゚听)ξ「エターナルフォースブリザード(笑)」
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:03:46.02 ID:ZZLLnyWu0
- 森と海との接点。青々とした木々に守られるように、その城はある。
白く美しい壁には、太陽に照らされ輝いている緑が反射してうつり、
その城もまた海の細波に揺らめいている。
近くには蜘蛛の糸のように、青い空へと突き抜ける一本のタワー。
それに見守られるように、AA城は存在している。
その城の一番見晴らしの良く高い塔の部屋
……の更に上、円錐状の屋根の天辺にロマネスクは上って、
キラキラと眩い海を、ギラギラと光る大きな目で睨み付けていた。
( ФωФ)「ううむ……」
(*゚∀゚)「どしたんだ?そんなとこで唸って。うんこなら降りてからしろよ?」
( ФωФ)「誰がうんこしとるか。ただ単に考えていたのである」
(*゚∀゚)「へー。何を?」
玉座の間の窓から顔を出していたつーが、外壁に爪をたてて無理やりよじ登ってきた。
いつものこの時間なら、魔王の膝の上でうたた寝をしているのだが
不機嫌そうにしっぽを振っているところを見ると、どうやら放り出されたらしい。
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:05:49.74 ID:ZZLLnyWu0
- ( ФωФ)「まもなく、魔王が宣戦布告してから3ヶ月が経とうとしているのである。
人間側としては、そろそろ行動に移さねばならない時であるはず」
(*゚∀゚)「モライドのヤローがちゃんとおつかい出来てればの話だけどな」
( ФωФ)「ときめきバグベアー号の様子から見ると、
VIP城には送り届けているはずである」
(*゚∀゚)「ほうほう、それで?」
つーは空に負けないほど青い屋根の上で体を伸ばした。
その上毛づくろいまで始める。話を聞く態度とは思えず、ロマネスクは少し眉を寄せた。
( ФωФ)「それなのに、一向に非難……名無しの塔にくる気配はない。
無論、攻めてくる気配もないのである」
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:08:10.09 ID:ZZLLnyWu0
- AA大陸とVIP大陸、唯一繋がっている南の地に、ロマネスクは目線を移動させた。
しかし、そこも緑が風に靡いて、海のようにさざめいているだけだ。
つーは毛づくろいをしながら、耳をぴくぴくと動かした。
攻め入るにしろ、非難するにしろ、大量の人間が来る。
そうなると、足音もする。
だが今は、いつもののどかな――魔物の鳴き声なども入っているが――風の音しか聞こえない。
そしてつーは毛づくろいを続ける。
(*゚∀゚)「肛門かいかいかい」
(;#ФωФ)「もるぁああああああああああ!!!」
(;*゚∀゚)「ぬわああああ!」
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:11:41.07 ID:ZZLLnyWu0
- (*゚∀゚)「な、なんだよ急にでっかい声だすなよ」
(#ФωФ)「女の子なんだから、そんなはしたないことしない!」
(*゚∀゚)「なに言ってんだ、女の子なんだから"みだしなみ"に気を使ってんじゃねーか」
(#ФωФ)「語尾に(笑)が聞こえるような言い方が気になるが置いておく。
しかしいつもその舌でべろべろと魔王の顔を舐めてるではないか」
(*゚∀゚)「んー、でも綺麗だから大丈夫」
(*゚∀゚)「でも綺麗だから大丈夫?」
(*゚∀゚)「でも綺麗だから大丈夫」
(;ФωФ)「そんなに大事でもないのに、三度も言っただと……!?」
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:14:44.67 ID:ZZLLnyWu0
- (*゚∀゚)「そもそもロマネスクだって同じ獣人種なんだからわかるだろー」
( ФωФ)「………」
(*゚∀゚)「………」
( ФωФ)「そして問題はそこだけではないのである」
(*゚∀゚)「そこってどこだ、肛門のことか?」
ごほん、とロマネスクはわざとらしく咳払いをした。
そんなわけはないだろうと冷ややかに目を細める。
( ФωФ)「人間が大人しく地界へ移動してくれたら良い。
だが魔王は、それはないだろう、と言っていた」
(*゚∀゚)「お、なんだそしたら戦争じゃねーか」
( ФωФ)「そうなのだ、だが準備が足りないのである。
魔王は魔王で、あれからずっと地界との隔離に取り組んでいるから、
戦う準備が出来ていないのである」
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:18:34.51 ID:ZZLLnyWu0
- (*゚∀゚)「オレらがいるからいいんじゃねーの?」
( ФωФ)「そうも行くまい。人間は魔物と違って統率が取れている。
チームワークというものだな。
だからこそ100年前も敗れたのであるし」
( ФωФ)「同じレベルであったら我輩たちの方が有利だが、
いかんせん向こうは団体で攻めてくる。……統率のとれた、な」
(*゚∀゚)「ん、んー?つまりこっちも数集めれば良いってことか?」
つーは首を右に傾けたり左に傾けたりした。
例え戦うということになっても、頭を使うのは得意ではないらしい。
今まで、普通に野生で暮らしていたのだから教養がなくて当たり前だが。
( ФωФ)「数だけ集めても意味がないのである。
質がよくなければ……それも高Lv、ボスクラスの」
(*゚∀゚)「ボスクラスかぁ」
自分のレベルを考えて、つーはしょんぼりと耳を垂らした。
ロマネスクもその気持ちはわかるだけに、気落ちしてしまう。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:21:24.27 ID:ZZLLnyWu0
- ( ФωФ)「正直、今のまま大群で攻め入られたら、確実に勝ち目はないのである」
(*゚∀゚)「勝ち目がないって、負けるってことだよな?
負けたらどうなるんだ?」
( ФωФ)「それはやはり死ぬのである」
(*゚∀゚)「魔王は死なねーんだよな、魔王はどうなるんだ?」
( ФωФ)「それはやはり封印……」
と考えたところで二人は顔を見合わせた。
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:22:01.65 ID:ZZLLnyWu0
- そうだ、魔王は死なないのだ。
100年前も、そのせいで拷問のような扱いをうけた。
魔王が言葉を濁しているだけで、もしかしたら拷問よりも悲惨だったのかもしれない。
それが再び訪れようとしている。今のままでは、確実に。
(;*゚∀゚)「こここんなとこでぼーっとしてる場合じゃねーよ!集めようぜボスクラス!!」
( ФωФ)「うむ。意義なしなのである」
そういうと二人は屋根からひょいと飛び降りた。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:23:49.68 ID:ZZLLnyWu0
-
いつもの玉座に魔王はいなかった。
となると予想されるのは近頃研究に使っている地下室。
日の当たらないそこでは、壁や天井から生えた花が淡い輝きを放ってあたりを照らしている。
廊下の一番奥の部屋に魔王はいた。
100年間魔王が居座っていた部屋だ。
( ´_ゝ`)「へ?ボスクラス集めるの?なんで?」
美しい宝石と装飾を施したローブから、いつもの気の抜けた顔が首をかしげた。
その傾きで王冠がずり落ちる。
今は邪魔なのだろう、マントは部屋の隅に投げられている。
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:24:55.98 ID:ZZLLnyWu0
- ( ФωФ)「このままでは戦力が足りないのは魔王にもわかっているはずである」
( ´_ゝ`)「うーん、まぁそれはそうなんだけど」
魔王は部屋の中心に目線を戻した。
くるくると回りながら光を放っている「それ」をじっと眺める。あまり乗り気ではないらしい。
( ´_ゝ`)「俺、今やることが多いっていうか……。
とにかく動けないんだよね」
集めたいなら勝手に集めてくれ。ということだろう。
その表情からは面倒だとか、そういった雰囲気は読み取れないので、実際に忙しいのだ。
話はそれだけかな?と言うと、すぐに今までの作業にとりかかった。
付け入る隙はない。ロマネスクは眉をひそめる。
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:26:31.75 ID:ZZLLnyWu0
- ( ФωФ)「……ううむ」
(*゚∀゚)「どしたんだよ、魔王が行けないってのわかったんだから、早く行こうぜ?」
(;ФωФ)「そうはいかないのである。
ボスクラスっていうのは頭が固い者が多いし、プライドも高いのである」
( ФωФ)「そんなところに、我輩らのような普通の魔物が行ったところで、
追い払われるに決まっている」
(*゚∀゚)「で、でもでも魔王の知り合いだって居るだろ?
魔王がピンチだー!って言えば来てくれるんじゃ?」
( ФωФ)「そう上手くは行くまい……」
(*゚∀゚)「あ、じゃあ、アイスクイーンに頼もうぜ!ボスクラスだし!」
( ФωФ)「……ふむ、そうであるな」
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:28:04.68 ID:ZZLLnyWu0
- そして二人が向かったアイスクイーンだったが、
その反応は魔王と似たりよったりであった。
ξ゚听)ξ「嫌」
何度も唸った後に出てきた言葉は、そんな簡単な一文字だ。
(;ФωФ)「何故であるか、このままでは勝ち目などないのであるぞ」
ξ;゚听)ξ「そう言われても……あたしあまり他のボスたちとなかよくないのよ」
ξ゚听)ξ「だからあたしが行ったところで、何もかわらないと思うわ」
( ФωФ)「いいや、変わるのである。少なくとも"ボスクラス"が行くことによって少しは……」
ξ;゚听)ξ「そうね……なら話だけ聞くけど。
かんゆうしようとしてる人はだれだれなのかしら?」
つーがロマネスクをちらりと見た。
その視線に気付いて顔を背ける。
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:31:04.01 ID:ZZLLnyWu0
- (;ФωФ)「我輩の知っている中で、今までに交流のあったのは
アイスクイーンであるツン殿を筆頭に、フェニックス、グリムリーパー、デーモン……」
ξ;゚听)ξ「フェニ……嫌!!嫌に決まってるじゃない!あたしをころす気!?とけるわ!
自分たちで行ってきなさいよ!」
(;ФωФ)「ならばせめて死神や閣下だけでも……!」
ξ;゚听)ξ「いや!陰気くさい顔も男色戦隊も見たくない!
デーモンなら城の男供を引き連れてけば釣れるんじゃない!
とにかくあたしは嫌よ!」
甲高い声叫んで、自分の背丈よりも高い杖を振り回した。
それだけでも流石はボスクラスで、近くに居たロマネスクがそれを避けきれず叩かれる。
その衝撃でロマネスクのHPは0になり、スイーツを食べる暇もなく、いともあっさり事切れた。
(*゚∀゚)「あひゃ?」
( ω )
(;*゚∀゚)「あひゃあああああーーー!
ブー……ロマネスク!死ぬなぁああああ!
やべえ、20分以内に復活させないと地に還っちまう!」
ξ;゚听)ξ「ご、ごめんなさい、つい……」
(;*゚∀゚)「ついで死んだら戦争なんておこらねーんだよ!」
ξ゚听)ξ「でも、大丈夫よ、フェニックスの尾で復活できるわ。
不死身・傷を受けても即治癒するから尾なんて抜き放題」
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:33:03.49 ID:ZZLLnyWu0
- (*;∀;)「そんなもん持ってねーし、
20分以内に仲間に出来なかったら意味ねえじゃねえかよー!!」
ξ;゚听)ξ「じゃあ魔王の血でも飲ませてみたらどうかしら?」
(*゚∀゚)
ξ゚听)ξ
(*゚∀゚)
ξ゚听)ξ
(*゚∀゚)
グッ
ξ゚听)ξbd(゚∀゚*)
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:35:23.31 ID:ZZLLnyWu0
- とりあえず結果だけ発表しよう。
ロマネスクは見事生き返った。生き返ったついでにステータスがUPした。
ロマネスクが目覚めたとき、目の前には手と手を合わせ喜び合う少女が二人。
その横には不機嫌そうに顔をしかめながら、左腕を押さえている魔王が一人。
さらにその横では、何か新しい生物が生まれようとしている。
左手によく似た生物が、うねうねと動きながら、新しい形へと――
(;ФωФ)「まままままままおう!どうしたのであるか!左手!」
( ´_ゝ`)「そこの脳みそぴーかんレディ2人に切られた。
しかも跳ねた血がちょうど読んでた書物に付いて、変化して読めなくなった。
大事な本だったのに……」
しょんぼりとこうべを垂れる。
腕を切られたことよりも書物がなくなった方がショックらしい。
(;ФωФ)(その本とは、今部屋を飛び回っている謎の飛行物体のことだろうか。
それとも部屋の隅で蠢いている人型に成り損ねたものだろうか。
それとも……いや、そんなことより)
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:38:38.68 ID:ZZLLnyWu0
- (;ФωФ)「アイスクイーン!つー!なんてことをしたのであるか!
魔王の腕を切るだなんて……」
ξ゚听)ξ「でも
ロマロマを助けるためだし(・∀・)」
(*゚∀゚)「だって あたしわるくないし(・∀・)」
ξ゚听)ξ「騒いでる人は暇なだけ
すぐに納まるよ(・∀・)」
(#ФωФ)「貴様らああああ!!」
(;´_ゝ`)「ま、まぁまぁ、このくらいすぐに治るから良いよ」
(#ФωФ)「そういう風になんでもかんでも許すから調子に乗るのである!」
( ´_ゝ`)「良いよ、ロマネスクを助ける為だったんだろう。
まぁもう少し冷静に行動してほしかったけど、今更だからな」
(;ФωФ)「む、むう……」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:40:15.93 ID:ZZLLnyWu0
- ( ´_ゝ`)「――それで」
魔王はその場を片付け始めた。
本をまとめ、魔方陣を消し、
生まれたばかりの自分の子供――ひょんなことで出来た失敗作――を廊下へ追いやる。
( ´_ゝ`)「どこいく予定だったんだ?」
更に細くなった目からは、これ以上邪魔されたらたまらない。という意思が見て取れた。
だがそれだけでは納まらず、ロマネスクが今までの経緯を話すと
目玉が消えてしまうのではないかと思うくらい細くなる。
( ´_ゝ`)「それは、そうだな……正直あまり、呼びたくないな」
(;ФωФ)「好き嫌いを言っている場合ではないのである。
せめて一人だけでも呼びたいのである」
( ´_ゝ`)「そうだな、じゃあ消去法で……クックルかな」
とたん、アイスクイーンがくしゃりと顔を歪めた。
薄く張った湖の氷が、石をぶつけられたように。
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:42:42.74 ID:ZZLLnyWu0
- ( ´_ゝ`)「強いし、性格も捻じ曲がってないし、呼ぶならあいつだと思うけど。
でも俺嫌われてるから、来てくれるかわかんないな」
ξ゚听)ξ「それならやめときましょうよ、それよりもサキュバスクイーンなんてどうかしら。
しぃがいるから呼ぶのはたやすいと思うわ」
( ´_ゝ`)「しぃなら実家に帰ってるぞ。戦が始まりそうなら呼んでくれって」
ξ゚听)ξ「あらそう」
アイスクイーンは溜息をついた。
口元から冷気が走って、魔王の服に霜が付く。
(;´_ゝ`)「もし来た場合、2人の部屋は一番遠いところにするから安心してよ」
ξ゚听)ξ「それなら良いんだけど……溶けたら敵わないもの」
( ´_ゝ`)「……溶けるほどやわじゃないくせに」
ξ ゚听) ( ;´_ゝ
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:43:16.78 ID:ZZLLnyWu0
- ――場所は火山に移動する。
ときめきバグベアー号を麓に待たせ、3人は流れ出るマグマを避けながら上っていた。
( ´_ゝ`)「あーあ」
( ФωФ)「魔王、どうしたのであるか?」
( ´_ゝ`)「仲間がもさいなと思って」
( ФωФ)「もさい?」
( ´_ゝ`)「男と子供ばっかりっていうか……」
(*゚∀゚)「オレは大人のレディだぜ!」
( ´_ゝ`)「それなのに更に筋肉キャラが増えるというか」
(;ФωФ)「申し訳ないのである」
(*゚∀゚)「無視するんじゃねえ!」
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:46:04.38 ID:ZZLLnyWu0
- 舞い上がる熱気に汗を垂れ流しながら2人は魔王についていった。
なんせ何千年も前からずっと活動している火山であり、
大地のあちらこちらから湧水のようにマグマが湧き出している。
火山というよりも、炎の沼と言った方が正しいかもしれない。
それなのに魔王はいつもの分厚いローブを着て涼しげにしているのは
マグマや熱気の殆どは魔力で形成されているからだ。
それでも、川のように流れているマグマの中をざぶざぶと歩いて行った時には、
魔王の行動を見慣れているはずのロマネスクも言葉を失った。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:47:42.05 ID:ZZLLnyWu0
- (;´_ゝ`)「しかしクックルかー。俺来なかった方がよかったんじゃないか?」
( ФωФ)「何を申しますか」
(*゚∀゚)「嫌われてるんだっけ?何で嫌われてんだ?魔王なのに」
( ´_ゝ`)「え?覚えてないなぁ。
如何せん最後に会ったの2・300年ほど前だし。
でも怖いやつだったぞー」
(;*゚∀゚)「こ、こわいのか!?弟者とどっちがこわいんだ?」
( ´_ゝ`)「即答でクックルだな」
好奇の目で見つめてくる周囲の魔物らと
目線を合わせないように注意を払いながら歩く。
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:48:07.05 ID:ZZLLnyWu0
- ( ФωФ)「フェニックス殿は前王とは喧嘩仲間だったのである。
なのに魔王と言ったらむかしっから平和主義者であったから」
(*゚∀゚)「喧嘩できなくてつまんねえんだな」
( ФωФ)「恐らくそれが原因だと思うのである。
期待外れだと毎日こぼしていたからな」
(;´_ゝ`)「そんなこと言われてもこまるしー」
ぶつぶつと言いながら辿り着いたのは一本の木の前だ。
火口のマグマから伸びた木は、魔王らの頭上より少し高いところで黄金色の葉を輝かせている。
見上げると、そこに何かがとまっていた。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:48:24.20 ID:ZZLLnyWu0
- ( ´_ゝ`)「あ、いたいた、おーい、クックルー!」
( ゚∋゚)
( ФωФ)「お久しぶりであるフェニックス殿」
( ゚∋゚)
(*゚∀゚)「なぁ、無視されてるけど、ホントにあいつなのか?」
( ´_ゝ`)「……うん」
(;ФωФ)「魔王、そんな気落ちされなくても」
( ´_ゝ`)「……うん」
( ФωФ)「フェニックス殿、少々お話があるのだが、よろしいだろうか?」
( ゚∋゚)
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:48:46.66 ID:ZZLLnyWu0
- ようやくフェニックスが魔王らを見た。
巨大な翼をばさばさと羽ばたかせると、火の粉が雨のようにふりかかってくる。
( ゚∋゚)「人などに虐げられた魔王様が、私に何の用だ?」
地を這うような声は、嘲笑と侮蔑を含んでいた。
( ФωФ)「戦が始まる。手助けを――」
( ゚∋゚)「私は魔王に聞いているのだ」
(;ФωФ)「ぬっ」
( ゚∋゚)「さぁ、魔王。何の用で来たのだ」
( ´_ゝ`)「え?いやさー、最近色々調べ――」
( ゚∋゚)「答えは簡潔に良いたまえ」
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:49:04.67 ID:ZZLLnyWu0
- ( ´_ゝ`)「む、むう。人間に宣戦布告しちゃったんだけど戦力が足りないんだよね。
クックルが来てくれると戦力的に助かるんだけど、来てくれるかな?」
(*´_ゝ`)「イイトモー!」
( ゚∋゚)
( ФωФ)
(*゚∀゚)
(;´_ゝ`)「うう、沈黙が痛いなー……すべったみたいじゃん……。
いや実際すべったのかもしれないけど、せめて『だめともー』くらい言ってくれたって――」
( ゚∋゚)「……魔王、一体どうしてしまったんだ?」
煌々と燃え盛っていたフェニックスの炎の威力が落ちた。
表情に変化はないが、声色には侮蔑の雰囲気は消えていて、新たな不安で満ちている。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:51:34.14 ID:ZZLLnyWu0
- クックルはオレンジの炎を撒き散らしながら飛び降りた。
( ゚∋゚)「熱でもあるのか?
それとも人に捕まった時に変な薬でもうたれたか?」
魔王の腕を掴んでひっぱり、その額に手を当てた。
その手もメラメラと燃え盛っている。
それなのに魔王はただ困ったようにクックルを見上げているだけだ。
(*゚∀゚)(ホントは熱くないのかな?)
離れていても火傷をしそうなほどの熱気が放たれているのは感じている。
それでもつーがそう思ってしまうのも仕方がない。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:53:37.72 ID:ZZLLnyWu0
- そっと指を伸ばしてその翼に触れてみた。
炎が指に絡みつき、指先で煌々と燃え始める。熱くないわけがない。
(* ∀
)「△δ?♂ζβ?×?梶`〜〜!!!!」
(; ∀ )「フーッ!!フーッ!!!フッ!!!」
(*;∀;)「あひゃーん!!消えねえよーー!!」
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
17:55:30.83 ID:ZZLLnyWu0
- 助けを求めてロマネスクを見た。
しかしそのロマネスクが、今度はピンチになっている。
フェニックスが火力を倍増させて、ロマネスクに迫っているのだ。
( ゚∋゚)「どういうことだ、私が城に居た時はまだマシだったぞ」
(;ФωФ)「わ、我輩に言われても……」
クックルが一歩進むと、ロマネスクが一歩後退する。
当たり前だ。触れられたら大火傷ではすまない。
( ゚∋゚)「普段からこうなのだとしたら、貴様の育て方が悪いのではないか」
(;ФωФ)「100年前まではまともだったのである!
我輩ではなくて人間のせいだと!」
( ゚∋゚)「……そうか、人間のせいか。そのせいで頭がおかしくなったのか」
( ´_ゝ`)「頭おかしくなった覚えはないんだけどな」
つーの指の炎を消しながら、気落ちした様子で魔王は呟いた。
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:02:29.34 ID:ZZLLnyWu0
- ―――
――時が経つのは早い。
3ヶ月など、忙しい毎日を送っている者にとっては瞬く間に過ぎていくもので、
毎日同じように怠惰な生活を送っている者にとって、あってないような時間だ。
(,,^д^)「……3ヶ月が経ちますね」
VIP城のテラスからはるか彼方を眺めながら、王が囁くように口を開いた。
そこからAA大陸を見ることはできない。
地平線になる少し手前で、海がキラキラと顔を出しているくらいだ。
(,,゚Д゚)「本当に来るのか?こっちから攻めていった方がいいんじゃ?」
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:04:45.66 ID:ZZLLnyWu0
- その様子を、ギコが壁に背を預けて見ている。
背には魔王に渡ったはずの魔剣・ザリチェが背負われていた。
かなり血を吸ったのだろう。前よりも赤みが強くなっている。
(,,^д^)「こちらからAA大陸に移動するには時間がかかりすぎます。
その上途中に魔物も多い。魔王と戦うのに消耗した状態では不利です」
(,,^д^)「となれば、多少の被害は目をつぶって、向こうからやってこさせれば良い。
相手はどうせドラゴンに乗ってやってきます。
魔王が生きている今、大軍で来ることはないでしょう」
( ・∀・)「しかし、街で戦うのはあまりにも……こちらから場所を指定するのはどうでしょう」
ちらりと街を見た。
そこには毎日同じように生活している民衆の姿がある。
魔王らの力は――彼らがどんなにふざけた性格でも――わかっているつもりだ。
ボスクラスが力を揮えば、この街がどんなありさまになるのかも。
- 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:05:57.94 ID:ZZLLnyWu0
- (,,^д^)「何も問題はありませんよ、モライド」
( ・∀・)「……避難させるのですか?それならばそろそろ……」
(,,^д^)「いいえ、何も問題はありませんよ、モライド。
彼らは私を倒しにくるわけではありません。人類を滅ぼしにくるのですから」
――民なんて低俗なものは、どこに居たって死にます。
そう言っているように聞こえて、一斉に不快感があふれ出した。
その場にいたら堪え切れない気がして、モライドは急いでテラスを後にする。
後ろからギコリオが何かからかうような言葉を投げかけてきた。
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:07:22.85 ID:ZZLLnyWu0
- ( ・∀・)(それでも王か、貴様は)
王なら民のことを考えるのが当然だろう)
( ・∀・)(あーあ、こんなことなら――)
そこまで考えて、慌てて続きを頭の中から掻き消そうとした。
魔物側で居たかったなんて、彼らに追い出された今となっては何の意味もないことだ。
それでも、この城の中のどろどろとした空気には嫌気がさしていた。
右を向いても、左を向いても、欲ばかりが顔に張り付いている者ばかりだ。
それが嫌だった。
なんせこの城の中じゃ、鏡を見てもその顔が現れるのだから。
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:10:31.08 ID:ZZLLnyWu0
- ( ・∀・)(魔物はよかったなぁ……少なくとも
嫌いなやつに向かってへこへこしてるやつは一人もいなかった)
欲がないのか元々純粋なのか。
( -∀・)(いいや、だから……そんなことを考えたった無意味だっていうのに)
一度外の空気を吸って気分を入れ替えようと、モライドは城門をくぐった。
今日は本当に天気が良い。
そうだ、さっきテラスからも海がよく見えた。
――それにしても、今日は随分と冷え込むな。コートを着てくればよかった。
( ・∀・)「……コート?」
おかしい、今はそんな季節じゃない。
しかも寒いどころじゃない、急激に冷え込んできている。
(;・∀・)「……雪?こんな晴れてて……冬でもないのに!」
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:12:54.47 ID:ZZLLnyWu0
- 辺りを見渡せば、兵も平民も皆、恐怖を顔に張り付かせて空を見上げている。
モライドも彼らと同じく空を見た。
遥か彼方に小さく、大量の飛行モンスターが浮かんでいる。
一番奥にはドラゴンだ。今まで見たことがないほど大きな竜がそこにいる。
――そして雪が降る。
霧雪のように小さな雪が、シャワーのように降ってくる。
人も街も、触れた箇所全てが冷えて固くなった。
(;・∀・)「!? アイスクイーンだな!」
モライドは急いでフードを被った。
髪は既に凍っていて、風に靡くことはない。
頭にまでその冷えが伝わってくる。頭痛がする。
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:14:52.19 ID:ZZLLnyWu0
- モンスターがまだ攻めてくる気配がないのを確認して、モライドは城内に戻った。
いくら魔法防御力の高いローブだといっても、
このまま雪を受け続けたら凍ってしまう。
(;・∀・)「門番、おまえらも中に入ったほうが……ああ、もう遅いか」
門番だけでない、振り返れば殆どの人が時を失われたように固まっていた。
その肌からは血の色が失せ象牙色になり、
恐怖を貼りつかせたまま太陽に照らされている。
まだ動いているのは体力がありそうな者や、魔力が高そうな者ばかりだ。
部屋に戻って、魔石をとりにいこう。
戦うにも、逃げ出すにも、それからだ。
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/24(木)
18:17:12.38 ID:ZZLLnyWu0
- 今回はこれで終わり
こんな微妙な時間に支援どうもありがとうございました
魔王軍のあまりの能力の高さに描写がおいつきません
誰ですかこんな厨二設定作ったのは
厨二すぎて戦闘シーンかけそうにないです
以下おまけ
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