- 883 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:13:37.61 ID:6P/4KFIuO
- 第五話「深まる闇」
- 895 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:24:19.80 ID:6P/4KFIuO
- 「もしもし母ちゃん? ――ああ、うん。そう、俺。明けましておめでとう」
「……どうしたんだって? なに言ってんだよ年が明けたんだからこの挨拶をするのは当たり前だろう?」
「む――そりゃ去年はしなかったけどさ。心境の変化ってやつだよ。やっぱ挨拶ってのはいいことだと思うし」
「うん、うん――母ちゃんも体に気をつけろよ。うん――俺は大丈夫だから」
「ん――じゃあ、またそっち顔出すわ。またな」
ガチャン。
電話越しに懐かしい黒電話独特の音が聞こえ、微笑んでしまう。
( 'A`)「ふう」
よし。やりましたドクオ。
今年こそ母ちゃんに『明けましておめでとう』が言えました。これは大いなる進歩だ。よくやった、俺。
充実感で心が満たされ、俺は幸せ気分のままこたつへ潜り込んだ。
( 'A`)「あー幸せだー」
一月一日。
年が明けて七時間後の現在。
- 902 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:36:36.14 ID:6P/4KFIuO
- こたつの中でごろごろと転がっていられるこの楽しさよ。しばらく外に出なくてもやっていけるよう食料はたんまり買い込んである。
三が日、最高だ。
( 'A`)「エロゲやり放題じゃねえか、ヒャッホイ」
興奮のあまり炬燵の柱に脛をぶつけてしまい、しばし悶絶した。
ふと目に入る、この前の映画のパンフレット。
( 'A`)「ツンちゃん、元気かなあ」
ツンちゃんとは映画館で号泣しそのままさんざんファミレスで語りつくして別れて以来、会っていない。
アドレスは交換したのだが、未だメールが送れずにいるのだ。
(*'A`)「会いたい、なあ」
自分で言って恥ずかしくなる。だが今回の出来事は毒男板及び喪男板常駐の俺にとって奇跡とも言っていい快挙なのだ。
ちょっとくらい恋に落ちそうになったって不思議じゃないはずだ。
- 907 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:42:22.26 ID:6P/4KFIuO
- ( 'A`)「……なんてさ」
気持ちをツンちゃん一直線に切り替えられたらどんなにいいか。
俺の心にはまだ忘れるには大きすぎるわだかまりが残っている。
内藤。
いま何をしているのだろうか。実家で俺を犯したこと忘れてのうのうと笑っているのだろうか。しぃと強く抱きしめあっているのだろうか。
( 'A`)「……しぃとは、別れたとか言ってたっけか」
そんなことは最早どうでもいいことだが、最近思うのだ。
内藤はしぃと別れたショックで俺にあんな行動をとってしまったのではないかと。今まで身近にあったはずのぬくもりを俺に求めてしまったのではないかと。
考える。
内藤にとって俺はなんという名前の存在だったのだろうか。
- 914 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:49:00.36 ID:6P/4KFIuO
- 親友? 憂さ晴らしの相手?
いくら考えても考えても、それは内藤にしか分からないことだった。
いよいよ休みも今日で終わり。気合いをいれてだらけてやるとマットレスに身を埋めていると、滅多にならない自宅の電話が鳴った。
寒さ対策に毛布を巻き付けながら受話器をとる。
( 'A`)「あい、もしもし」
( ゚∀゚)「俺だ。長岡」
( 'A`)「長岡……?」
どうしてあいつが俺の家の番号を知っているんだろう。
あ、そうか。
(
'A`)「会社の名簿を見たのか」
( ゚∀゚)「……唐突だな。そうだよ、名簿で調べさせてもらった。都合悪かったか?」
(
'A`)「いえ。えーと、用件はなんですか?」
( ゚∀゚)「それがよう、ドクオ――実はな」
聞かなきゃ良かったと俺は思った。
- 923 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 22:54:32.17 ID:6P/4KFIuO
( 'A`)「……来てやりましたけど」
( ゚∀゚)「おう、待ってたぜ!」
スウェット姿のジョルジュが「命の友よ」と某G田T君のような台詞を吐きながら抱き締めてきた。それを押し返しながら不機嫌な声で問い詰める。
( 'A`)「…修復しなきゃいけないデータってのは、九月の件の書類でいいんですね?」
( ゚∀゚)「いいんです!いいんです!ありがとよドクオ!」
ここはいつものオフィス。いつもと変わっているところは俺とジョルジュしかいないという点だ。
当然だ。いまは休暇中なのだ。
( 'A`)「まったくなんでデータを勝手にいじったりするんだ、あの男はアホなのか!」
( ゚∀゚)「あのーいまの独り言にしては大きすぎやしませんか?」
(
'A`)「うるさいです。来てやったんですから少々黙っていてください」
- 931 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:01:04.69 ID:6P/4KFIuO
- ぶつぶつ文句を言いながらUSBを差し込む。
事の経緯はこうだ。
休暇前にジョルジュが会社でエロ画像を漁る→ZIPきたこれ→ワクテカワクテカ→しかしそれは不正ファイルだった→まことに残念ですがぼうけんのしょいちは消えてしまいました。
そこでジョルジュはその件に深く関わっていた俺ならバックアップを持っているはずだと呼んだわけなのだ。
オフィスへは課長に頼み入れてもらったそうだ。部長にばれたらふるぼっこ間違いなしだからなー。
(#'A`)「これがもっとすごいやばいウィルスだったらどうなっていたか……部長には内緒にしておきますが反省してください」
あああこの時間のあいだにも俺はミックミクにされることが出来たというのに。
( ゚∀゚)「すまんかったすまんかった。反省します。このとーり!」
土下座でもするのかと思ったら後ろから抱きついてきやがった。何なのこの人。
- 935 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:07:24.04 ID:6P/4KFIuO
- 首に回されたジョルジュ長い腕から甘い香水のにおいが漂う。指にはごつごつしたシルバーのリングも。
スーツを着てなきゃジョルジュがサラリーマンだとは誰も気付かないだろう。ちゃらちゃらした大学生に見える。
( ゚∀゚)「そういやさあ、ドクオってオンナいるんじゃん」
( 'A`)「……オンナ?」
( ゚∀゚)「俺、見たんだけと。映画館で、アンタと頭巻き髪のオンナが一緒にいるの」
( 'A`)「……ツンちゃんのこと、か?」
( ゚∀゚)「知らねえけどさ」
拗ねた口調をいぶかしみながらも、俺は答えた。
(
'A`)「彼女なんかじゃないですよ、ツンちゃんは。たまたま会っただけで」
( ゚∀゚)「たまたま、ねえ」
- 948 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:14:20.62 ID:6P/4KFIuO
- ( ゚∀゚)「でも好きなんだろ?」
( 'A`)「はい?」
( ゚∀゚)「答えろよ、好きなの? あいつのこと」
( 'A`)「……答える義務は、ないだろ」
( ゚∀゚)「……」
沈黙が訪れる。だが、却って有難い。これ以上ジョルジュのペースに付き合ってたら頭が爆発しそうだ。
それに……こいつとはあまり馴れ合いたくない。
そろそろ取り込みも完了する。それまで煙草でも吸って時間稼ぎでもしよう。そう立ち上がったときだ。
( ゚∀゚)「答えろって」
顎を掴んで振り向かされた。視界いっぱいの、ジョルジュの端正な顔。
( ゚∀゚)「教えてくんないと……俺、なにするか分かんねえよ?」
( 'A`)「なに、言って……」
( ゚∀゚)「答えろ」
その瞳には拒否を認めないとはっきり主張している。
それに、今更だがこいつ力が強い。
腕と顎を掴まれてなかなか動けない。
- 971 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:23:47.99 ID:6P/4KFIuO
- ( 'A`)「好き……になりそう」
それは紛れもない本心だった。何度も何度も彼女と逢い、知っていけば間違いなく俺は彼女に恋心を抱くだろう。
好きではない。でもきっと、好きになる。
( 'A`)「これでいいでしょう。離せよ」
ジョルジュはにやりと嫌な笑みを浮かべた。
腰を寄せられ、顎を掴む指に力が入る。
( ゚∀゚)「好きにならせちゃ、いけねーんだよ」
ああ、まただ。ぼんやりと脳内で考える。
俺、また男にキスされている。
( 'A`)「ん――……っ」
嫌だ嫌だと頭を振っても、それは微かな抵抗になるだけだ。そればかりかくちびるが余計に深く合わさって――
( 'A`)「っ、」
- 31 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:48:43.95 ID:6P/4KFIuO
熱を帯びたジョルジュのくちびるがまるで後を残すように角度を変え何度も口づけてくる。その度に俺のくちびるも熱くなり、うるんでいった。
逃げなくちゃいけない。このままでいたら俺は、またあんな思いをしなきゃいけなくなってしまう。
( 'A`)「――くそ、ふざけるなっ!」
殴り飛ばしてやると振るった拳はいとも簡単に止められ、手首を机に押さえつけられた。そのまま机に頭を何度か打ち付けられ、激しい痛みに平行感がなくなる。
軸をなくした足を支えるようにジョルジュの体が入り、腰を押し付けられた。
ジョルジュの股間が固くなっていることを認知させられる。
( ゚∀゚)「俺さあ、ずっとあんたをこうしてみたかったんだよね」
両手首を押さえ、俺を身動き取れない状態にしてからジョルジュは口を開いた。
( ゚∀゚)「無表情なその顔、ぐしゃぐしゃに歪めてやりたくて」
( 'A`)「狂ってる、お前……」
( ゚∀゚)「何とでも言うがいい」
- 42 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/25(日) 23:58:17.92 ID:6P/4KFIuO
- ジョルジュがかがみ、キスをしようと顔を近づける。せめての抵抗で口をきつく結ぶとジョルジュが耳元で囁く。
( ゚∀゚)「なあドクオ。お前が一緒にいたあの女、俺の知り合いなんだよ」
( 'A`)「知り合い……?」
( ゚∀゚)「つーか、元カノ」
( 'A`)「……嘘、だろ?」
( ゚∀゚)「本当だよ、ドクオ。先月くらいまで付き合ってて、振ったの、俺」
瞬間ツンちゃんの寂しげな横顔が目に浮かぶ。
『お互い寂しいですよね』
おかしいと思っていた。あんなに可愛くて良い子がクリスマスにバイトをしているなんて。
あれは、ジョルジュを忘れようと懸命に働いていのか。
( 'A`)「お前は……ツンちゃんが好きだったのか……?」
声が震える。俺とツンちゃんの思い出がこいつにどんどん汚されてしまっているような気がした。
( ゚∀゚)「好きだったわけ、ねーじゃん」
視界が熱く染まる。もし腕が自由ならこいつをぶん殴っていたはずだ。
- 54 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:05:01.31 ID:gCKLeEt9O
- ( ゚∀゚)「そもそも俺本気の恋なんてしたことねーんだよ。おあいにく様だな、ドクオ」
(
'A`)「……お前と、お前とこれ以上喋ったら……俺が汚れる……」
( ゚∀゚)「へえ、よく言うじゃん」
感心したように呟いたのち、低い声ではっきりとジョルジュは言った。
( ゚∀゚)「取り引きしようぜ、ドクオ」
(
'A`)「……」
( ゚∀゚)「今からお前は俺に素直に抱かれろ。言うことをすべて聞け。もっとと欲しながら腰を振るんだ」
(#'A`)「そんな要求! 受け入れるわけないだろ!」
( ゚∀゚)「ばーか。これは取り引きだって言ったろ? ――もしお前がさっきのことを飲まなかった場合、俺はお前を解放してやるよ」
ただし、とジョルジュが楽しそうに顔を歪ませた。
( ゚∀゚)「その代わりツンを傷付ける。お前にしようとしていることを、すべてツンにする」
- 84 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:12:50.04 ID:gCKLeEt9O
- ジョルジュの顔がまるで悪夢のようにぐにゃりと曲がって見える。
( ゚∀゚)「どうする?
ツンはきっと心がずたずたになるだろうな――お前の大事なツンは、お前のせいで傷付けられるんだ」
( 'A`)「……お前最低だ」
( ゚∀゚)「最低結構。さあ、どうする?」
今までの俺の勘は当たっていたのだと思う。ジョルジュにはなるべく近づかないようにしていた。それはきっとこいつの本性を感じとっていたからなんだ。
俺がNOと言い、ジョルジュから逃れツンに連絡を入れる。だが知っているのはメールアドレスだけだし住所なんて分からない。それに今までメールをしていなかったのだ。もしかしたら忘れられているかもしれないのだ。
もし連絡がついたとしても、ツンちゃんは一人暮らしだと言っていたから――ジョルジュに先回りをされたらきっと叶わない。
俺は、俺は――
ξ゚听)ξ(そのかわり隣でもいいですか?)
俺は――
( 'A`)「……好きに、してくれ…」
- 142 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:30:31.37 ID:gCKLeEt9O
- ( ゚∀゚)「それでいい」
良くできました、と俺の髪をくしゃりと撫でた。
オフィスの床、仰向けになっている俺の上にジョルジュが覆い被さる。
( ゚∀゚)「ちゃんとスーツ着て来てくれたんだよな。ドクオは」
( 'A`)「……」
( ゚∀゚)「そういうとこ、なんかそそる」
何度か浅いキスの後、隙間から舌を入れられ舌同士を擦られる。
舌を絡め合わせしたたる唾液を受け取る。飲み込む気にはなれなくて、口の端から唾液を溢していく。
思う様に舌をねぶられればあっという間に互いの呼吸が乱れていく。
熱い吐息が重なり、それさえも逃すまいとふたたび深く口づけられた。
(;'A`)「ん――ぁ、あ……あ…」
(*゚∀゚)「なかなか…色っぽい声、出すじゃん」
- 183 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:42:32.46 ID:gCKLeEt9O
- 激しいキスの嵐が終わると、体を起こされジョルジュに抱き締められる。ジョルジュの肩が上下しているのは興奮しているからなのか。息も浅い。
( ゚∀゚)「どうしよ……アンタ、予想以上……」
( 'A`)「知るか……」
俺はというと喋るのも気だるくて、それどころか口の中の唾液を飲み込むまいと必死だった。
( 'A`)「――う、」
尻を強く掴まれてうめく。
- 208 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:49:55.34 ID:gCKLeEt9O
- 内藤によって残された鈍い痛みはまだ治っていなかったからだ。
( ゚∀゚)「痛いの? 痔?」
(
'A`)「そういうようなもん」
( ゚∀゚)「……へえ。ねえ、とりあえず下、全部脱いで」
( 'A`)「……」
くちびるを強く噛み締め、ジョルジュの強い視線を見ないよう俺はベルトを外した。一気にスラックスを引き下げ、下着のゴムに手をかける。
( ゚∀゚)「早く」
( 'A`)「……」
膝まで下ろすと冷たい外気にさらされたペニスがふるりと震えた。ジョルジュはまだ俺のそこを凝視していて、恥ずかしさに体が燃えそうになりながらも下着を足首から外した。
( ゚∀゚)「意外。剥けてる」
( 'A`)「どういう、意味だ…」
- 226 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 00:58:57.96 ID:gCKLeEt9O
- ( ゚∀゚)「特に意味はねー。ドクオ、寝ろ。んで脚広げて……俺にもっと見えるように」
黙ってジョルジュの言う通り股を広げる。この体勢じゃ俺がジョルジュを誘っているみたいだ。
もしかしたらジョルジュはそういう支配欲が人一倍強いのだろうか。そんな気が、する。
( ゚∀゚)「ちょっと我慢しろよ」
アナルに冷たいものが触れた。これは前に体験したことがある――たぶん、ローションだろう。
( ゚∀゚)「女用だけど、大丈夫だよな」
( 'A`)「…ん――、っぁ…」
おかしい。ジョルジュの指がアナルに液体を塗り込めていくたびに、痛みだけじゃない。快感を確かに感じとってしまっている。
(
'A`)「これ…、あ…れか? そういう効果……あんのか…」
( ゚∀゚)「ねーよ。ただの潤滑剤」
( 'A`)「……」
もう否定できない。俺の体は確実に心境地へと開拓されてしまっている。
- 246 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 01:08:25.32 ID:gCKLeEt9O
- ( ゚∀゚)「で、これも女モンだけど」
ジョルジュの手に握られているのは、バイブ。黒光りするそのバイブはかなりの太さで、あんなものが入ったら俺はどうなるのだろう。
( ゚∀゚)「入るかな……」
宛がわれ、めりめりと押し入ってくる。ローションで滑りがよくなっているとはいえ、物理的に無理に決まっているのだ。痛い痛い痛い!
( ;A;)「う、ぎ、ぃ」
( ゚∀゚)「息吐け、力いれんな」
( ;A;)「無、理」
ジョルジュは舌打ちをすると先端まで入ったバイブを抜き、代わりに自分の指を差し込む。
抜き差しを繰り返すたびにそこは甘く疼き、もっともっとと熱くなっていった。
( ;A;)「ぁ、――う、っ――……あ」
( ゚∀゚)「気持ちいいのか、ドクオ」
( ;A;)「ん、きも、ち――いい…っー…」
- 254 :い ◆zcmFYGOgmI :2007/11/26(月) 01:10:34.31 ID:gCKLeEt9O
- 快感を覚え始めたドクオ!
ジョルジュの本当の真意とはいかに!
二人の関係は!
そして内藤は!
ドクオはどうなってしまうのか――
まあなんだ。
ごめんなさいおやすみなさい。
明日またスレ立てます。
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